尾崎紅葉の「金色夜叉」 ビギナーズ・クラシックス 近代文学編 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044072179

作品紹介・あらすじ

許嫁・宮に裏切られた貫一は、金本位の世の中へ復讐を誓い、冷徹な高利貸"金色夜叉"となる。「今月今夜のこの月を…」の名文句で有名な熱海の別れや、貫一をめぐる女たちの壮絶な修羅場など、尾崎紅葉晩年の渾身作から名場面を凝縮。貫一・宮の恋の顛末、個性的な登場人物たち、偽続編の存在など、近代文学研究の第一人者による詳細な解説とコラムで名作の新たな魅力に迫る。平易な現代語訳で、難解な原作を手軽に1冊で味わえる。

感想・レビュー・書評

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  • ビギナーズ・クラシックスの構成のおかげで古典的な文体で描かれる本作を理解しながら読むことが出来ました。原作の文体だけだと多分途中で挫折しただろうと思います。
    思っていた以上に面白かった。
    あまりにもメロドラマで出てくる人はみんなすごいテンションで笑ってしまうくらい芝居がかっているような、とても映像的で感情にぐいぐい訴えかけてくるある意味暑苦しいお話でした。


    以下ネタバレです。(本書にネタバレを隠す必要があるなら。)


    宮の裏切りの理由もはっきりしないし、婚家ではすごく大事にされてるのに終始気の狂わんばかりの大騒ぎなのが面白かった。
    なにより富山唯継っていう富の山を唯で継いだっていう名前をつけられたこの人がすごいいい人なのに可哀想で笑ってしまう。
    貫一も高利貸しになった割にはそれがなんのためと言うか、そこら辺もはっきりしないし女同士の修羅場には喉になんかが詰まったように声は出ないは、なんだかんだ弱腰過ぎて、しかも宮を蹴り飛ばしたり感情の起伏が激しすぎる。
    こういうなんというか、もうはちゃめちゃなストーリーが当時の新聞読者を引き付けたんだなぁとしみじみ思いました。
    ただ、「金色夜叉」っていうタイトルはずば抜けてかっこいいと思う。

  • 記録

  • 熱海でバスガイドさんが「ここが金色夜叉で有名なお宮の松ですよ~」と言うので、どんな物語か気になり読んでみました。
    実は原文を読んで挫折していたので、この本では現代語訳と解説つきで助かりました。

    とても面白い!明治時代の昼ドラという感じ

    このシリーズは時代背景や筆者についても解説してくれるので古典や難しい近代文学も楽しめるし、当時の読者と感想を共有できる感じがして良いです。
    夏目漱石の夢十夜や草枕との共通点を知って、次はそれを読んでみようと思いました。

  • 熱海と言えば「お宮の松」そして貫一がお宮を足蹴にしている銅像。有名なセリフもこれがどんな場面なのかもなんとなくわかります。でもなぜこうなってこの先は?何度か原文を読もうとして数行で挫折していたのですが、この本では上手く名場面を切り取り原文と現代語訳を対比させながら解説やコラムを挟み、とても読み易くしていました。いろいろな資料もとても興味深く楽しめました。とはいってもこれで全部理解した気になろうというのは甘かったです。しかしながらこの後全文にあたればきっと今までより理解しやすいと思うので挑戦してみます。

  • 熱海にある貫一とお宮の像のイメージしかなかった。
    解説と訳のついた金色夜叉の入門書。日本人の書いた日本の小説なのに、訳と解説がいるとはどういうことか、と思うが、原文を読むともはや古文の域で、難解すぎる。この1冊では全文が掲載されているわけではないので、ざっくりとあらすじと楽しむところが分かったところで原文全文を読みたい。
    2018/9/16

  • 男は女を殺してやりたいくらい憎んでるんだけど、女の方はもうあなたに殺されたいみたいになってて、あなたに殺されないなら自分から死にますと言って崖に向かって行くのを、男は追いかけて止めようとするが間に合わない、そういう夢を見て、女を愛しているのだと知る。女を背中におぶったら女がいつの間にか白百合の花になっているシーンがすごくすきだし、夏目漱石の夢十夜?って感じだし、尾崎紅葉のほうが前だし、とても素敵だった。究極の贖罪とは死であり、究極の赦免もまた死なのかなあって。死は愛を生むんだけれども、それはとても美しくて、悲しいなあって。でもそういうのがとっても好きだなあって。ロミジュリも、金色夜叉も、そういうお話。あと女が川に身を投げるシーンも、女の死体が川に浮かび、流れていくさまが、オフィーリアを連想させ、これも夏目漱石の草枕を思い出すし、やっぱり尾崎紅葉のほうが前なの。

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著者プロフィール

1943年生。東京学芸大学名誉教授。著書に『深層の近代----鏡花と一葉』(おうふう)、『幻想の近代----逍遙・美妙・柳浪』(おうふう)、『制度の近代----藤村・鴎外・漱石』(おうふう)など。

「2013年 『女流文学の潮流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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