妖怪文化入門 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版
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本棚登録 : 267
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044083038

作品紹介・あらすじ

憑きもの・河童・鬼・天狗・山姥・幽霊・異人-。太古の昔から、日本人は妖怪や迷信とともに生き、不安や恐れ、神秘感といった思いを共有して文化をかたちづくってきた。絵巻や物語に残された異形・異類・異界のものたちは、どのように描かれ、なぜ再生産され続けたのか。その歴史をたんねんにたどり、豊かな妖怪文化を築いてきた日本人の想像力と精神性を明らかにする。妖怪・怪異研究の第一人者によるはじめての入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 近年妖怪への関心が高まっている。
    本文では、憑き物、妖怪、河童、鬼、天狗と山姥、幽霊、異人・生贄、境界、などの妖怪文化を通して、日本人の生活や心境を考察している。
    ”妖怪”とはもともと学術用語。民俗語録としての「化物・百鬼夜行」などと同類の言葉。
    日本の妖怪の認識は、学術としては井上円了や柳田国男が研究してきた。
    近年は、水木しげるや京極夏彦により現在認識されている妖怪になった。
    妖怪とは、要するに怪しい物や怪しい事柄。人が何を恐れるか、何を敬うか。
    ・現象の妖怪
     ⇒「誰もいない場所で音がする」などの不思議な出来事に対し、恐怖や神秘から「小豆洗い」「天狗倒し」などの名付けが行われた。
    ・存在の妖怪
    ⇒人間の範疇を越えたとして、怪異現象の理由づけとして妖怪の存在が作られた。
    このように「しないはずのところで音がする」ということが、「”現象”が起きたから名付けた」から「妖怪と言う”存在”が音を出した」になっていった。
    日本では絵巻により妖怪(当時の呼び名では”化物”)に姿が与えられ、恐怖であり娯楽の対象となった。さらにそれが付喪神などの妖怪の多様化していった。
    また妖怪と呼ばれるものの中には、日本の中でも異文化で暮らす人々だったという説から、日本人の”境界意識”や、そこを外れたもののへの認識など、日本の人類学も見えてくる。
    国を隔てても妖怪譚があれば形を変えて理解しあえる。日本の”鬼”が”悪魔”と訳されるなど。しかし死んだ者の魂という概念がなければ幽霊譚は通じない。本当にその国を理解するなら”鬼”は”鬼”のまま伝わっていくこと。すると、妖怪研究は文化研究であり、人間研究だということ。

  • 入門書という事でしたが、思っていたより少し専門的な話が多く、読むのにかなり時間が掛かってしまいました。ちょっと学術的な感じです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「少し専門的な話が多く」
      集英社新書の「百鬼夜行絵巻の謎」は購入して積読中。他の本は何が手頃だろうかと思っていたので、割と最近出たこの本にし...
      「少し専門的な話が多く」
      集英社新書の「百鬼夜行絵巻の謎」は購入して積読中。他の本は何が手頃だろうかと思っていたので、割と最近出たこの本にしようかな、、、
      まぁ専門的なところは飛ばして読みます。。。
      2012/12/25
    • birraさん
      遅くなりました(^_^;)以前出た本はかなり学術的だったので、入門というくらいだからわかりやすいのかな?と思ったらそうでもなかったですw
      遅くなりました(^_^;)以前出た本はかなり学術的だったので、入門というくらいだからわかりやすいのかな?と思ったらそうでもなかったですw
      2013/01/09
  • この著者の文章は、自己の思考を主張しようとする表現が多く、アクが強くて読みにくい。言い換えれば押し付けがましい。
    端から終わりまでこの調子で、途中何度か読みたくなくなる。
    忍耐強く読み進めてはみたものの、もう二度とこの人の文章に触れたくないと思わせられた。

  • 388-K
    文庫(文学以外)

  • 極めて真面目な入門書。そして従来の民俗学の強烈な批判書。千達の業績を認めつつも自らが切り拓き、その展望を述べる。

  • 2017年8月5日に紹介されました!

  • 気軽に妖怪について知ることができると思ったのですが、まるで論文を読んでいるような難解な内容でした。
    娯楽として本を楽しんでいるので、もう少しポップな語り口の入門書を探したいと思います。

  • 知識を体系化するために必要なタブや妖怪という語の成り立ち,妖怪文化へのアプローチなど興味深い話が多々あった.漠然としていた妖怪への認識がはっきりしていくのを感じた.

  • 憑きもの・河童・鬼・天狗・山姥・幽霊・異人―。太古の昔から、日本人は妖怪や迷信とともに生き、不安や恐れ、神秘感といった思いを共有して文化をかたちづくってきた。絵巻や物語に残された異形・異類・異界のものたちは、どのように描かれ、なぜ再生産され続けたのか。その歴史をたんねんにたどり、豊かな妖怪文化を築いてきた日本人の想像力と精神性を明らかにする。妖怪・怪異研究の第一人者によるはじめての入門書。

    妖怪各種の研究本かと思いきや、妖怪文化とはなにか?、妖怪研究の歴史・・・といった学術的な色が濃い一冊でした。水木妖怪や京極妖怪の解説を期待しているとがっかりするかもしれませんが、これはこれで興味深い内容でした。個別妖怪の紹介も俗に言う妖怪ではなくて、河童、鬼、天狗、山姥、幽霊といった本来は妖怪の範疇にあるものの、あまりに個性が強すぎて独立したブランド(?)となり妖怪と認知されていないものを取り上げて、その成り立ちと研究の経緯が膨大な文献を元に紹介されています。京極夏彦の「妖怪の理 妖怪の檻」は難解でいまだ読み終えていませんが、こちらは簡単ではないものの、タイトルどおり入門書としては最適かもしれません。

  • 座敷わらしと枕返しの関係を理解するのに役立った。この本に紹介された書籍、文献も大変参考になるものばかりです。個人的には御霊信仰絡みの『日本の幽霊』『日本の怨霊』はマイバイブルなのでニヤリとした。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター教授、同副所長

「2011年 『【対話】異形 生命の教養学Ⅶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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