今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)

  • 96人登録
  • 3.32評価
    • (4)
    • (7)
    • (12)
    • (4)
    • (1)
  • 21レビュー
著者 : 朱雀門出
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年10月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094096

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
森見 登美彦
小野 不由美
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印

今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)の感想・レビュー・書評

  • 第16回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作を含んだ短編集。
    表題作が受賞作。

    ・今昔奇怪録
    主人公は妻と小さな娘がいる男性。この男性がひょんなことから『今昔奇怪録』という奇妙な本を見つける。そこには住んでいる町に伝わる奇妙な出来事や妖怪の話が書かれていた。読み進めるうちに、主人公や家族たちが奇妙な出来事に巻き込まれていく。
    巻末のホラー小説大賞の選評で、林真理子さんが書かれていた以下の言葉に同意。
    『ネタ本が何もなく「三人相撲」や「ぼうがんこぞう」をつくり出した、この人のセンスはすごい。』
    話の中に出てきた『今昔奇怪録』の内容が作中作として登場するんだけど、人から聞いた話を記録した本という設定なので、途中で番号が抜けてたり文章がおかしかったり、とりとめもなく終わってたりする。それがまたリアル。ほんとにこんな本があるんじゃないかと思わせる。
    結局その奇妙な本が何なのか、何で奇妙な現象が起きているのか分からないまま幕が下りる。最近、ホラーではこういう結末が流行なのかな。確かに「???」と奇妙な感じに果てしなく包まれるよね。

    ・疱瘡婆
    食べてしまいたいほどかわいい…。
    たとえその子が死んでしまっていても。

    ・釈迦狂い
    「世にも奇妙な物語」の「バーチャルリアリティー」みたいな話かと思ったけど、それと近いようでまた違ってた。「CUBE」の方が近いかな…。
    よくある設定だとは思うけど、そこに「釈迦狂い」という要素が上手くハマっている。

    ・きも
    ちょっと前に「呪いか何かで人が死ぬと、その分地蔵が増えている」という話を読んだ。
    逆に、何人か人が描かれている絵がかけてあり、人が死ぬとその人物が塗りつぶされて減っているとかいう話もあった気がする。
    呪いで人が死ぬと数がカウントされていくのはテンプレといえるけど、この話では、(多分死んだ人の)肝細胞が増える。現代科学の叡智が集まった研究施設でそういう謎のカウントが発生してるのが、まさにこの話の怖さの「きも」。

    ・狂覚(ポンドゥス・アニマエ)
    ポンドゥス・アニマエという言葉の意味が良くわからないんですけど、ラテン語で、ポンドゥス=重さ、アニマエ=魂・心とかいうことでいいのでしょうか?
    これまた奇妙な話。
    『被験者』『干渉者』『観察者』『統括者』がそれぞれ語り手となり、話が進んでいる。
    一見、何かの実験をしているようではあるけど、それが何の実験なのかは最後まで明らかにならず。
    被験者は夢の中にいるような感じではあるけど、痛みを感じたりしているし、実際はどうなってるんだろう。
    被験者の精神状態が干渉者や観察者に影響しているようだけど、何故…?
    とにかく何をやっているのか分からないのが不気味だし、『実験』中で被験者が体験することがいちいち気持ち悪い。
    特に皮膚に虫が埋まっている描写が最高にゾクゾクしました。
    ホラーは割と強い方だけど、この描写は思い出しただけで鳥肌。最高。

    巻末に、第16回日本ホラー小説大賞の選評が載っていましたが、『化身』を読んでみたくなりました。
    今度買ってこよう。

  • 表題作は、ジワジワと侵食されていくような感じが
    怖いというか不気味。
    疱瘡婆は、時代小説風で、なんとも哀しいお話。
    釈迦狂いも、出口のない恐怖ってのがツボだったというか
    こういうのが一番怖い(^◇^;)
    「きも」も、そのままじゃないかぁ~とか思いながらも
    その後が気になって気になって・・・
    最後の狂覚が、どうにもこうにも意味不明。
    自分の理解力の無さに凹みました。

    現実逃避するはずだったのに、出来なかったぁ~
    最後の話は理解できなかったとして、他の作品達は
    面白いというか、上手いですねぇ
    やはりホラーは、元気な時に読まないとダメね

  •  表題の『今昔奇怪録』は不思議な話しである。町会館で偶然見つけた2冊の本、地域の奇怪談を綴るこの本を読むと妖怪が目の前に出現するという奇怪な現象が起こる。過去と現在が交じり合う不思議な感覚を覚えた。

  • 短編集。 表題作の『今昔奇怪録』は番号が抜けてたり記述が無かったりしてたけど自分には意味が分からんかった。なので、もう少し長い話にしてくれた方が自分には良かった気がする。 短編やからか全体的に物足りなかった気がする。それぞれ長編やったら良かったのになぁ。

  • 日本ホラー小説短編賞を受賞した「今昔奇怪録」を含む
    計5作のホラー短篇集。

    現代ホラー、古典ホラー、科学(SF?)ホラー、実験的意欲作など
    同じホラーでもバラエティに富んでいて
    飽きさせない作りになっている。
    どの短編も水準が高くて、あっさり読めるけどハズレがない。

    ■疱瘡婆
    江戸時代に只野真葛によって書かれた「奥州波奈志」に登場する
    妖怪を題材にした話だけど、これが一番怖かった。

    最初は、空き家に住んでいた猫の祟りかと思っていたけど、
    その後疱瘡婆の仕業かと思い直し、
    最後にああ、そういうことだったのねと。
    人間が一番怖いというお話だった。

    ■狂覚(ポンドゥス・アニマエ)
    祟りがあると思われている幽寂庵という屋敷で
    実際に祟りはあるのか被験者が体験していくのを
    干渉者・観察者・統括者の3人が観察していく
    というストーリーで、実験的な作品。

  • なかなか、怖い。話のオチが欲しい気もするが、これはこれで、ゾワッとしたままの気色悪さ、不安定さが、怖さをしみつかせているようにも思う。

  • 「文字化という怖さ」
    伝わる恐怖は連鎖する。
    ライト京極。

  • ふらっと立ち寄った本屋にて表紙買い。
    多様性のある“怪談"を書くのがうまい作者だと思うが、表題作から三番目までは私の好みではなかった。

    まあ怖いっちゃ怖いけど・・・別に取り立てて何か言うこともない、って感じ。

    その代わり「きも」と「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は気に入った。

    前者はどことなく鈴木光司の「らせん」を思い出した。こういう実験データの挿絵を小説に入れる手法は別段珍しくもなんともないのだが、私が初めてその手法を目にしたのがそれだったからだ。

    で、話しを戻すと、途中の“会話”が怖いんだな。163pの最後4行から165pまでの流れがこわい。「うわっ」っと一歩引いてしまうような後味の悪い怖さだ。
    でもなー、怨霊()のヤマキがそこまで執着するのか?あんまりなっとくいかないなー。でもそれこそが“狂ってしまった”ってことなんだろうか。

    後者の「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は一番気に入っている。
    実験的要素の多い作品であり、居心地の悪い気味の悪さを感じる。
    夢でも見ているようなフワフワしたイメージだが、この作品はすばらしい。コレがあったから「この本買って良かった~」と思ったもの。


    オチもまた良し。でもこの3.2cmには元ネタあるんだろうか。
    21gは知ってるけど。ダンカン・マクドゥーガル博士だっけ・・・?(そういや映画『21.3g』はなかなか好きだったな。チョコレート・バーと同じ重さの魂・・・)

    同じ作者の本も読む・・・かもな~。狂覚みたいのなら。

  • あっさり、さっぱりした読後感の短編怪談集。

    首ざぶとんが面白かったのでこちらも購入しました。
    すごく感情を揺さぶるというわけではないのだけど
    この作者の書く怪談の雰囲気が好きです。

    一番気に入った話は「きも」。

  • 表題作ほか4作の短編集

    「今昔奇怪録」
    町会館で見つけた「今昔奇怪録」という地域の怪異を纏めた本を見つけた私は不思議な出来事に巻き込まれてく。

    「疱瘡婆」
    疱瘡で娘を亡くした摂津屋の主人であるが、その娘の墓が荒らされた事件が起こる。この出来事を主人の周りの人々は疱瘡婆の仕業と噂する。

    「釋迦狂い」
    釋迦狂いという言葉の元となった出来事を元にしたアトラクションに入った私はお化け屋敷とは思いながらも徐々に恐怖を感じていき...。

    「きも」
    培養器に見知らぬシャーレを発見した渡島。それを先生に見せたところ、普段とは違う様子であったが、いたずらだとして処分するように言うが...。

    「狂感(ポンドゥス・アニマエ)」
    被験者、観察者、干渉者、体験者という4者からのとある実験を描く。

    どの作品もすごい恐怖というものはないもののじわじわとくる。個人的にはもう少し長い方がいいけど、このくらいの方が纏まってていいかもしれない。

  • 本書は、大学講師であり

    怪談専門誌『幽』を中心に活躍する著者による初の短編集。


    町会館の片隅で、ふと目にした『今昔奇怪録』

    どうやら、町で起きた不思議な事件を記録した本らしいが

    軽い気持ちで読み始めた若夫婦の周りでは、

    次第に不思議な出来事が起こりはじめる(表題作『今昔奇怪録』)


    圧倒的な取組み成績で人気を博したが

    熱狂的なファンによって殺された伝説の力士

    彼の死をモチーフにしたアトラクションを舞台にした『釋迦狂い』


    愛娘を次々に疱瘡で失った豪商。

    彼の悲しみに追い討ちをかけるかのように、娘の墓が荒される。

    遺体の頭だけが持ち去られ、巨大な墓石すら動かす凶行を

    人々は、死者の屍肉をむさぼる疱瘡婆の仕業と噂するのだが・・(『疱瘡婆』)


    実話系、時代物、サイエンス系・・・と

    まったくタイプは異なるものの、

    巧みな構成と繊細な人間観察に裏打ちされた珠玉の5編を収めます。


    どの作品も、類書にはない魅力を放ちますが、

    個人的にとりわけ印象深いのは

    被験者、観察者、干渉者、体験者という

    何らかの実験を行っている4人の独白で描かれる『狂覚(ポンドゥス・アニマエ)』

    次第に明らかになる実験の目的もさることながら、

    じわじわと迫りくる恐怖の正体にとても驚き

    読後しばらくの間、冷や汗が引きませんでした。


    怪談の定石を踏まえつつも

    独創的な設定・展開を惜しげなく披露する本短編集


    怖さはあるものの、過剰な暴力や残虐さとは無縁ですので

    怪談・ホラーファンに限らず

    一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。

  • ぶっちゃけて言ってしまえば、私はあまり好きじゃありませんでした。
    なんて言うんだろう、尻切れトンボというか。
    これから盛り上がるのかなーって思った瞬間、呆気なく終わるんですよ。
    この作家さんと自分のペースと違うのかとも思いますが、ちょっと残念でした。


    でも唯一すごいと思ったのは、その知識量。
    表題作はタイトルから想像できる通り、古典的な怪談を題材にしたもの。
    文系な人なのかなーと思って他の作品も読み進めると、
    完全な理系話もあり、果ては心理学的な話まで出てきました。
    とにかくどこまで出てくるだと驚きでしたよ。



    正直、すべての話で肌があわなかったのですが、
    もしこの方が長編を出すのであれば読んでみたいかな、と思ってます。

    ……題材的には結構好きなんだけどな。
    とにかく残念の一言です。

  • 非常に面白かったがなくした。売ったっけ?

  • 装画に魅かれて読んでみた。怖いと云うより、むしろ奇妙で不思議な短編集。
    アンドロイドが登場する小編、バイオ系の小編と趣向は様々であるが、何れも何処かおどろおどろしい雰囲気がある。ぼうがんこぞう、三人相撲、忌む屋号…。怪談好きの人間が見たら、思わず飛び付きたくなりそうな単語を創造するのが巧み。残酷なグロ的描写は避けている点も好感が持てる。
    作者の談として、「怪談というジャンルにこだわりを持っている」とあるが、この拘りは今後も持ち続けて欲しいと思う。
    空回りしてしまっている小編もあったが、表題作「今昔奇怪録」と「釋迦狂い」は面白い。

  • それで終わりかい、という惜しさ。ぞわぞわするというホラーを求めるなら「釋迦狂い」か。

  • ホラー大賞短編賞受賞作。受賞作はホラーというよりも、じわじわとした怪奇譚。こんな本があったら、思わず手にとってしまいそうですね。そして怪に呑み込まれてしまいそうな。怖いながらも、惹かれる世界観です。
    お気に入りは「釋迦狂い」。どこからどこまでが現実なのか、どこからどこまでが事実なのか。そのあやふやな境界線の恐ろしさと、情景そのものの恐ろしさ。これはまさしく「覚めない悪夢」です。

  • 著者が怪談というジャンルに強い拘りを持つだけあって、その世界観を活かしつつも単純な怪談風モダンホラーに堕していないところがいい。収録作5編ともテイストは異なれど安心して読める。引き続きフォローしたい作家。

    詳しくはこちらに。
    http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2009-11-07

  • 読んでいて結構引き込まれる内容で面白かったです。次回また書籍化されるようなら買い!ですね。
    あと、在学中にサインのひとつもらいたかったです。

  • 第16回日本ホラー小説短編賞受賞作。
    が、4作目の「きも」まで読んで続きが読めなくなった。
    神経の端っこをキリキリとねじってつままれている様な薄気味の悪さ。
    向こうの世界をのぞいてちょっとそっちの住人になってしまいそうになって、あわてて戻ってきた感じ。
    ある意味天才肌の作家さんでしょう。
    でも、もう読みたくはないですが。

  • 気がつくと怪異に組み込まれていた感じが薄ら怖い。

全21件中 1 - 21件を表示

今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)に関連する談話室の質問

今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)の作品紹介

町会館の清掃中に本棚で見つけた『今昔奇怪録』という2冊の本。地域の怪異を集めた本のようだが、暇を持て余した私は何気なくそれを手に取り読んでしまう。その帰り、妙につるんとした、顔の殆どが黒目になっている奇怪な子供に遭遇する。そして気がつくと、記憶の一部が抜け落ちているのだった-。第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作を含む5編を収録。新たな怪談の名手が紡ぎだす、珠玉の怪異短編集。

ツイートする