今昔奇怪録 (角川ホラー文庫 す 3-1)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094096

感想・レビュー・書評

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  • なかなか、怖い。話のオチが欲しい気もするが、これはこれで、ゾワッとしたままの気色悪さ、不安定さが、怖さをしみつかせているようにも思う。

  • ふらっと立ち寄った本屋にて表紙買い。
    多様性のある“怪談"を書くのがうまい作者だと思うが、表題作から三番目までは私の好みではなかった。

    まあ怖いっちゃ怖いけど・・・別に取り立てて何か言うこともない、って感じ。

    その代わり「きも」と「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は気に入った。

    前者はどことなく鈴木光司の「らせん」を思い出した。こういう実験データの挿絵を小説に入れる手法は別段珍しくもなんともないのだが、私が初めてその手法を目にしたのがそれだったからだ。

    で、話しを戻すと、途中の“会話”が怖いんだな。163pの最後4行から165pまでの流れがこわい。「うわっ」っと一歩引いてしまうような後味の悪い怖さだ。
    でもなー、怨霊()のヤマキがそこまで執着するのか?あんまりなっとくいかないなー。でもそれこそが“狂ってしまった”ってことなんだろうか。

    後者の「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は一番気に入っている。
    実験的要素の多い作品であり、居心地の悪い気味の悪さを感じる。
    夢でも見ているようなフワフワしたイメージだが、この作品はすばらしい。コレがあったから「この本買って良かった~」と思ったもの。


    オチもまた良し。でもこの3.2cmには元ネタあるんだろうか。
    21gは知ってるけど。ダンカン・マクドゥーガル博士だっけ・・・?(そういや映画『21.3g』はなかなか好きだったな。チョコレート・バーと同じ重さの魂・・・)

    同じ作者の本も読む・・・かもな~。狂覚みたいのなら。

  • 表題作ほか4作の短編集

    「今昔奇怪録」
    町会館で見つけた「今昔奇怪録」という地域の怪異を纏めた本を見つけた私は不思議な出来事に巻き込まれてく。

    「疱瘡婆」
    疱瘡で娘を亡くした摂津屋の主人であるが、その娘の墓が荒らされた事件が起こる。この出来事を主人の周りの人々は疱瘡婆の仕業と噂する。

    「釋迦狂い」
    釋迦狂いという言葉の元となった出来事を元にしたアトラクションに入った私はお化け屋敷とは思いながらも徐々に恐怖を感じていき...。

    「きも」
    培養器に見知らぬシャーレを発見した渡島。それを先生に見せたところ、普段とは違う様子であったが、いたずらだとして処分するように言うが...。

    「狂感(ポンドゥス・アニマエ)」
    被験者、観察者、干渉者、体験者という4者からのとある実験を描く。

    どの作品もすごい恐怖というものはないもののじわじわとくる。個人的にはもう少し長い方がいいけど、このくらいの方が纏まってていいかもしれない。

  • 著者が怪談というジャンルに強い拘りを持つだけあって、その世界観を活かしつつも単純な怪談風モダンホラーに堕していないところがいい。収録作5編ともテイストは異なれど安心して読める。引き続きフォローしたい作家。

    詳しくはこちらに。
    http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2009-11-07

  • 第16回日本ホラー小説短編賞受賞作。
    が、4作目の「きも」まで読んで続きが読めなくなった。
    神経の端っこをキリキリとねじってつままれている様な薄気味の悪さ。
    向こうの世界をのぞいてちょっとそっちの住人になってしまいそうになって、あわてて戻ってきた感じ。
    ある意味天才肌の作家さんでしょう。
    でも、もう読みたくはないですが。

著者プロフィール

朱雀門 出 (すざくもん・いづる)
二〇〇九年「今昔奇怪録」で第一六回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。実話怪談では『第七脳釘怪談』をはじめとする「脳釘怪談」シリーズほか。共著に「怪談五色」シリーズ、『京都怪談 神隠し』など。

「2022年 『怪談四十九夜 合掌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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