マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)

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著者 : 米原万里
制作 : 山本 皓一 
  • 角川学芸出版 (2012年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094430

マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)の感想・レビュー・書評

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  • バナナで釘が打てます。濡れタオルを振り回すと凍る……。自分の”寒い冬”の概念がことごとく覆されました。
    滑って転ぶ、しもやけになる、車がスリップ等が、寒い国では日常茶飯事。
    子どもは、かまくらを作って、雪合戦や雪だるまを作って遊ぶのだろうと、この本を読むまで思い込んでいました。

    んがっ!全然違うのです。マイナス五〇度以下の世界おそロシア☆
    とにかく世界観が違います。まるで氷魔法の使えるファンタジーな世界。
    本を読みながら『マジで!?ひぇ〜』と何度も声にだし、たまげました。

    あまりにも寒いと、雪は粉のようで、道路も固いので滑らないのだそうです。
    スケートしたり、雪合戦は春先の遊びで、ある程度気温が上がり、湿気がないとできない遊びなのだそう。車が滑って危ないのも春先なんだとか。

    マイナス五〇度の日は、無闇やたらに金属類に触ってはいけない。
    瞬間やけどで皮ふがくっついて取れなくなっちゃう!
    あまり時間のかかる処置をしていると、その間に凍死の可能性があるので、最短のことをやるみたいで、恐い話がひとつ載っていました。

    マイナス五〇度以下になると、飛行機が飛べないことは、はじめてしりました。
    なんでも機体の水分が氷結してエンジンの動きがにぶり、機体が重くなるので墜落の恐れがあるとか。
    南極よりロシアのほうが寒いようですが、だから探検は犬ぞりだったり氷破壊する船なのかと、やっと理解しました。

    自然の製品しか使うことができず、マイナス四〇度以下でプラスチック製品を持ち戸外にでると、瞬間に凍って粉々に崩れ去るそうです。

    うぉーっ!まるで魔法のようです。
    生活の細かい描写まではなかったのですが、きっと私の生活と全く違うものがあるんだろうなぁと強く感じました。

    本書はヤクート人のことが書いてありますが、温厚なヤクート人のヤクート語には、あられもない言葉がほとんどないそうで、喧嘩するときはロシア語を使うそうです。
    これには、大爆笑しました。狩猟民族なのに、大人しいというところもほのぼのしています。狩猟民族の概念も覆されました。

    こんなに極寒なのに、マイナス三〇度のモスクア等より過ごしやすいんだとか。
    空気に湿気があると、風が吹いたときに、より寒いそうです。

    そして、そして!さらにマイナス六五度以下になると、ちょっと具合の悪い鳥などが落っこちてくるそうです。
    小さな点に見えるぐらいの空を飛ぶ鳥のフンが肩に落ちたときに、強力なGを感じたことのある私は恐怖に震えました。
    大きな氷が空から落ちてくるようなもんだ。恐いわー。

    巻末の椎名誠さんの解説も面白いです。
    飛行機も大体みたいで、シートベルトがあるところとないところがある。壊れたらそのまま。
    墜落したら全員死ぬんだからそんなの気にしないという考えを読み、その思い切りのよさについ爆笑してしまいました。

    黒い馬で走っていると、いつの間にか白馬に変わってる!
    馬のかく汗が凍るので、自然と変身してしまうそうです。

    わーお!なんとファンタスティック!
    凄く夢中になって読んだ一冊です。
    写真もたくさんあって、わかりやすい。薄い本なのですぐに読み終わりますが、大満足の内容です。
    やっぱり、自分が知らない世界のお話って興味深いですね。

  • 寒い場所好きのワタクシとしては、著者の睫が凍っている表紙を見ているだけでもたまりません(変態(何

    通訳者であり、作家・米原万里氏の処女作。200年前にシベリアに漂着した日本人の足跡をたどるTBSのドキュメンタリー番組に同行した際の滞在レポート。

    いきいき楽しく読めます。

  • 表紙の写真が印象的だったので衝動買い。
    米原さんのエッセイ風のものを読むのは2冊目だけれど、平易な言葉遣いでユーモアがあって読みやすい。そして食べ物の話には熱が入る。写真も多く掲載されていてよりイメージが膨らむ。
    4章のタイトル「さいはてのさらにはて」という言葉から想像させられる世界が、幻想的で良い。

  • ヤクート(Yakut)語はテュルク語族に属し、ロシヤ生まれの言語学者ベートリンク(Otto von Böhtlingk:1815-1904)の物した研究書"Über die Sprache der Jakuten (ヤクート人の言語に就いて)"は、テュルク言語学の出発点となったと言われている。ヤクート族の自称はサハ(Sakha)。ヤクートはブリヤート(Buryat)族の言葉で「最果ての更に果て」を意味するのだそうだ。
    本書中に触れられているヤクート族の英雄伝承群オロンホ(Olonkho: 14-15c./ca.)というのが興味深い。口伝伝承には当然ホメリダイの様な伝承者が存在するが、ヤクート族にはオロンホ•スーティと呼ばれる語り手があるとのこと。これは調べてみよう。

    巻末に付された椎名誠氏の解説で、取材当時の微笑ましいエピソードが語られており、それが喪失感と相俟って、哀調に胸に響いて来た。

  • いや~、やっと復刊してくれたよ。ロシア語通訳でエッセイスト。
    2005年に亡くなった米原万里さんの幻の処女作である。

    晩年、政治を語るようになってからは面白味に欠けるようになった
    のが残念だったが、この人の作品のほとんどは我が家の本棚に
    ある。

    あ、全部読んだ訳じゃないです。積んだままになっている作品も
    あります。ワインじゃないんだから寝かせるなと言われるけど。

    さて、本書である。江戸時代にシベリアに漂着した日本人の
    足跡を追うというテレビ番組の取材に、通訳として同行した
    際のシベリア紀行である。

    取材期間は1984年から1985年。ソ連邦崩壊以前のヤクート
    自治共和国(現サハ共和国)での体験談である。

    そこは南極よりも北極よりも寒い国。真冬には連日マイナス50℃
    以下になる極寒の地だ。こうなると「寒い」って言うより「痛い」の
    だよね。真冬のモスクワやサンクトペテルブルグに行った時、
    痛かったもの。まぁ、さすがにマイナス50℃ではなかったけれど。

    そんな極寒の地でも人々は暮らしているのである。人や動物の
    呼吸、車の排気ガスが瞬間に凍って常に町には霧が立ち込め、
    あまりの寒さにプラスチック等の石油製品は使い物にならない。

    そんな地に、何故、人々が暮らすのか。その経緯は少々哀しい
    物語だった。

    元々は子供向けに書かれているので紀行文を読み慣れていると
    物足りないかもしれないが、これはこれでいいのだと思う。

    写真も豊富なので文庫だと勿体ないかな。でも、米原さんの
    処女作をやっと読めたことに感謝。

    行きたいな、シベリア。勿論、真冬に。あ、マイナス70℃も記録
    した場所だからよっぽどの覚悟が必要だな。汗。

  • 2017年8月5日に紹介されました!

  • 暑い時には極寒の地の話に限る。
    世界で最も寒い土地であるシベリアへの取材旅行を記したエッセイ。すごい世界だな。気分だけでも涼しく。

  • 極寒の冬のシベリア、その環境、生活、人々に触れている。
    文章は子供向けで読みやすい。

  • こんな世界があるんだな、というなかばファンタジーの世界。写真がたくさん載っているので何とか想像できるが、本当に世界にはいろんなところがある、と実感できる。

  • 暑さを和らげようと思い「マイナス50℃の世界」に足を踏み入れました! しかしながらマイナス50度は想像を絶していて、涼しいどころの話じゃありませんでした。
    人間っていろんな環境に適応できるんだなあ。極寒の世界では氷は滑らない、というのは面白かった。知らない世界をもっともっと知りたいと思いました。

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マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)の作品紹介

トイレには屋根がなく、窓は三重窓。冬には、気温が-50℃まで下がるので、釣った魚は10秒でコチコチに凍ってしまう-。世界でもっとも寒い土地であるシベリア。ロシア語通訳者として、真冬の横断取材に同行した著者は、鋭い観察眼とユニークな視点で様々なオドロキを発見していく。取材に参加した山本皓一と椎名誠による写真と解説もたっぷり収められた、親子で楽しめるレポート。米原万里の幻の処女作、待望の文庫化。

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マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)のKindle版

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