愚者の道 (角川文庫 な 34-14)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044125295

作品紹介・あらすじ

デビュー以来、買い物依存症にはじまり、ホストにハマり、美容整形にハマり、そしてついには風俗へと足を踏み入れてしまった作家・中村うさぎ。これは無目的な狂態なのか?はたまた確信犯的挑戦なのか?いばらの道を突き進む自分を「愚者」であると認識し、一見無軌道とも思えるこれまでのハチャメチャな迷走ぶりを総括した、傑作エッセイ!「愚者」は何かを悟れたのか-。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本の読後感があまりにも深く胸に突き刺さって、文庫になったら絶対買おうと思っていた。これまでの中村うさぎが自らの心と体を使って経験してきたこと全ての総括がここにある。普段のおちゃらけた表現とはうって変わって、哲学書のような難解な表現によって書かれている。それでも、とにかく魂がこもった文章で、それは読む側にものすごい力を吹き込んでくれる。個人的には、中村うさぎのエッセイとしては間違いなく最高傑作。とくに最後の「信頼と赦し」の章。これほど明解に自分の、そして人のさまよいの理由を表現しきったものを私はしらない。(以下同書より抜粋)「我々が長い人生を放浪しつつ求めているものは、『赦してくれる他者』だ。そのためにも、我々は、『他者を赦す』技術を身につけねばならないのだ。他者を裁くだけでなく、赦す技術を。基本的にエゴイスティックでナルシスティックな存在である我々にとって、それは一朝一夕では手に入らない『悟りの境地』にも似た技術だ。」

  • 自分の経験に重なる部分が多くて、とっても共感できた。人生破滅寸前の快感は無敵。

    「美味しいものは好きなだけ食べて、欲しいものは好きなだけ買って、強欲に生きれば良い。そうしたら全部飽きて、欲から解放されて幸せになれる」って、滅茶苦茶だけど魅力的。どう転んでも私の人生は幸福で、無敵だなって思える。それがこの本の一番の魅力でした。

    私の生まれた意味はないけど、生きる事に価値がある。生きてられるのが嬉しい。

  • 自分について客観的に言葉で述べるのは難しいけど、それができる彼女はすごい。あと、旦那さんの考え方も素敵だ。

  • まだまだ読みます、中村うさぎさん。

    『「すべてのものを手に入れ、すべてのものを無に帰すもの」
     ・・・・・・素晴らしきアンポンタンではないか。』

    これはエッセィでも、
    かなり哲学とか心理分析とかが含まれていて
    私は読むのに時間がかかりました。苦笑

    自分の事を作中に「愚者」と呼び、
    行動や感情を客観的に見つめた作品。

    愛されない女の価値、
    イメージの価値観。

    「他者が憎い。他者が怖い。
     だからこそ、他者から愛されたい。」

    愛を人質にとる行為。


    読み進めていくにつれ、
    自分も愚者なんぢゃないか、と思うところ多々。

    男と女だけぢゃなく、
    誰かと接することで生まれるもの。

    自分が何を欲しがっているのか、
    少しわかった気がしました。

  • 自分を正面から見つめて自分を分析したエッセイ。面白可笑しいいつものエッセイと違って哲学的で真面目な文章だったけど解りやすくて読みやすかった。

    信頼と赦しの章より。。。
    「我々が長い人生を放浪しつつ求めているものは、『赦してくれる他者』だ。そのためにも、我々は、『他者を赦す』技術を身につけねばならないのだ。他者を裁くだけでなく、赦す技術を。基本的にエゴイスティックでナルシスティックな存在である我々にとって、それは一朝一夕では手に入らない『悟りの境地』にも似た技術だ。」

  • 買い物、ホスト、美容整形、風俗・・様々なものにはまってきた著者の迷走ぶりを総括したエッセイ。

    この人、時々気になって読むのです。とても極端ではありますが、現代女性の抱える悩み、病理をよく表現しています。
    あまりに哲学的でついていけない部分もありますがところどころにドキリとするような部分が・・。
    あんまりオールオアナッシングな考え方をしているので、「完璧」にたどりついたときの恍惚と、それ以外のときの自虐を繰り返すような生き方になっているんだなーと思いました。それこそシヘキの本質ですが・・。

    「ナルシズムの強い人間ほど高い自己像を思い描き、それに到達しえない自分に嫌悪を感じる」・・と自分でもわかってんじゃんと思いますが、この人の場合「ナルシスト」だと自分を責めすぎなんでしょうね。自分にも人にも厳しすぎ。

    現代女性の抱える病を的確に表現した言葉があちこち。
    「ほんの一瞬、ナルシシズムが満たされたかのような錯覚を持ったときには万能感がどっとばかりに押し寄せ、これまで経験したことのないほどの強烈な快感に身を貫かれるのだった」

    「とにかく、ひととき自分を慰めてくれるような快感を、自分を再び価値ある者と錯覚させてくれる幻想を求めて、愚者は狂ったようにバケツに水を汲み続けるのだ。」

    この人は「おばさん」になれない人。「女たちを苦しめる美醜の自我意識地獄から美容整形以外の方策で抜け出す道はないのか」と重いテーマを投げかけてますが、うーむと答えにつまります。

  • 共感出来るところが、恐ろしいほど多かった。自分の今までの人生を振り返って、何故つまづきばかりなのか納得してしまった。

  • 今までのエッセイ類はほとんど読んでるけど
    この本では「どうしちゃったの?」というぐらい文が固い。
    ちょっと神懸っちゃってついていけない…
    取り上げてるテーマも特におもしろみを感じなかった。

  • なぜかうっかり読んでしまった本。
    ひとつひとつつづられる言葉の切迫感に
    嫌な共感を感じた。
    まともにイきたいの、あたしだって。
    できないからこういうふうにやってるの♪

  • 中村うさぎが好きだ

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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