木島日記 (角川文庫 お 39-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044191122

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  • 折口信夫と木島平八郎が主人公。実在の人物と架空の人物をうまく絡めながらフィクションを現実に混ぜ込んでいる。舞台は昭和初期の東京(時代も世相も現代の私からしたら十分に現実離れしている)で、未来予測装置、偽天皇、草薙剣、ロンギヌスの槍、人魚、変若水、ムー大陸などの題材がこの物語世界の中で溶け込み融合している。こういった作風は、作者の真骨頂とも言える。漫画『サイコ』の登場人物や用語も出てくるため、知っているとますます楽しめる内容だ。

  • 民俗学者・折口信夫は仮面で顔を隠す木島に出会ってから、奇妙な人々に出会い、さらに奇妙な出来事に巻き込まれていく。 ロンギヌスの槍や偽天皇など、とにかく好きな人にはたまらないネタが盛りだくさん。

  • 本棚整頓中に手に取って再読。

    昭和12年の夏、民俗学者の折口信夫は、勤務校のひとつ国学院大学に向かっていた。
    歩き慣れた道を間違え、だらだら坂を引き返しもせず歩いていた折口は、坂の途中で少女「美蘭」と出会う。
    そして坂の上に現れた古書店八坂堂で仮面の男「木島平八郎」と邂逅したそのときから、折口の現世と幽世の境をさまよう日々、「あってはならない」物語が始まる―

    折口信夫を狂言回しに仕立てた、大塚英志の偽史三部作のひとつ。
    昭和初期という舞台設定に民俗・伝奇・オカルトがネタと来れば、個人的嗜好を満たしまくりド真ん中射抜きまくり。
    小説家が本業でないからかちょっと読みづらい部分もあるけど、文句なく5つ星を付けてしまいませう。

    サヴァン症候群の少年たちを用いた人間計算機、キリストの墓と偽天皇、ジプシーの「記憶する水」の秘技とナチス…
    オカルティズムと軍部の接近というものをひとつの軸にしながら描かれる、作中世界の空気感がたまらない1冊。エンターテインメント小説としてオススメ。

    それにしても、大塚英志ほどエンターテインメント作品に堂々と昭和天皇を登場させる作家もいないかもしれない。
    この作品でも天皇その人とは言わないけどその人でしかない形で登場させ、しかも主戦論者であるかのような振る舞いをさせる。大丈夫か。
    まぁ大塚が原作を手がけて絵でズバリ描いてしまった『オクタゴニアン』よりはおとなしめか…

  • 木島うわああああ好きだああああ!!昭和の謎、っていうか裏、っていうか、そういうのに淡々と迫っていくのがいいです。木島さん男前。月ちゃんをいつまでも引きずり続ける木島さん。そして根津。根津かっこいいよ根津。

  • 土玉がすき。美蘭かわいいよ美蘭。

  • 〜2009.8.15.

    ちょこちょこのんびり読み進めた本。
    ぐろいんだけどおもしろかった。

  •  大学で民俗学を学んだ作者が折口信夫を主人公に、昭和初期のサブカルチャーを虚実織り交ぜて(まぁ、殆どフィクションですが)書き綴った作品。<BR>
     黄泉比良坂を開いてみたり、子どもの頭を繋いで高機能な演算機を作ったり、日本でキリストが蘇ってみたり、ヒトラーの産湯を廻る因果があったり。<BR>
     民俗学の政治的利用等、微妙に見え隠れする真実味や、これ以上ない程に怪しい空気感が大好きです。

  • 身体障害者や精神異常者にこそ、全てを委ねられる本来的な価値があるという根底思想に貫かれた、まさに偽史の戦前価値観に胸が熱くなり、そして悶絶。

    ハードな前半からライトノベル(マンガ原作)調の後半への織り交ぜ方も、オムニバスをアリバイにした巧妙さは決して悪くない。

    電車内で読んでいたのですが、天皇に献上するサヴァン式未来予測計算機の登場に爆笑! …を必至で堪えた。

    イイ!

  • 漫画と同名の作品。
    文の描写だけでも結構ドキドキします。

  • 折口信夫が主人公
    いろいろ濃い 

著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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