ダンタリアンの書架4 (角川スニーカー文庫 123-24)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044241162
作品紹介・あらすじ
郊外の寄宿学校に招かれたダリアンとヒューイ。上流階級の令嬢が集まる女子校で、"幻書"を探す二人は、中等部五年のジェシカと出会う。ジェシカの狙いは、学園に"幻書"を持ち込んだ、連続猟奇殺人犯ディフリングを見つけ出すこと。学園で相次ぐ神隠し事件、その被害者の一人はジェシカの親友だった。神出鬼没のディフリングに対し、ダリアンの仕掛けた罠とは-!?悪魔の力を封じた書物"幻書"を巡る少女の冒険、第4弾。
感想・レビュー・書評
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捨てキャラと思われていたアルマンが性懲りも無くまた現れて、さすがに笑いました(笑)
音楽を嗜む身としては、幻曲がとても興味深かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
978-4-04-424116-2 318p 2010・3・20 再版
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2月24日読了。図書館。
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【収録作品】第一話 「間隙の書」/第二話 「幻曲」/第三話 「連理の書」/断章一 「催眠の書」/第四話 「調香師」/断章二 「屋敷妖精の受難」/第五話 「幻書泥棒」
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借本。
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“ダリアンは不愉快そうに顔をしかめて、
「この女は、生きたまま腹を裂かれて殺された、というのですか」
「ああ。彼女の死因に不自然なところは何もないよ。これは普通の人間の犯行だ」
ヒューイが素っ気なく説明する。それを聞いて憤慨の表情を浮かべたのはジェシカだった。
「普通の人間の犯行……!?これがまともな人間のやることだっていうの!?」
感情的になって詰め寄ってくるジェシカに、ヒューイは優しく微笑んで、どこか寂しげな口調でぼそりと告げた。
「犯人の精神状態がまともかどうかは僕には判断がつかないな。戦場では、これよりも悲惨な死体をいくつも見たよ」
ジェシカは一瞬、驚いたように動きを止め、
「……あなた、兵士なの?」
「まさか」
ヒューイは、軽く両腕を広げて微笑んだ。
ジェシカは無言で、彼の横顔を見つめた。いかにも育ちの良さそうな貴族風の青年が見せた思いがけない一面に、戸惑っている表情だった。
そんなジェシカの反応を、黒衣の少女が面白くなさそうに横目で睨み、
「普通ではないのは、死因以外のところなのです」
抑揚の乏しい声でそう言った。”[P.23]
「調香師」が一番良かった。挿絵の表情が素敵で泣きそう。
“「人を見た目で判断するから、そのような目に遭うのです」
アルマンは弱々しく肩を落とし、ひどく真剣な顔でぶつぶつと呟き始めた。
「ええ、ええ。そのとおりですよ。これからは慎ましやかで清楚な女性はやめにして、明るく活動的な女性を探すことにします。あと、そうだな、もう少し髪が長いほうが好みだな。ついでに胸も大きいほうが……」
そんなアルマンの様子を眺めて、ヒューイが呆れたように溜息をついた。
「あいつ、まったく懲りてないな」
ダリアンもやる気をなくしたように頷き、
「やつほどの大馬鹿は、どうやら死んでも治らないらしいのです」
「ああ、そうらしい」
ヒューイはそう言って愉快そうに笑った。そんな彼の横顔を見つめて、ダリアンは、不意に泣き出す寸前のような寂しげな微笑を浮かべた。
「死が二人を分つまで……ですか」
「え?」
「なんでもないのです」
ヒューイが振り返ったときには、ダリアンの儚げな微笑は幻のように消え去っていた。
彼女の艶やかな黒髪が、柔らかな月明かりに照らされてきらきらと輝いた。”[P.167] -
「幻書泥棒」
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読了。個人的には調香師が好きでした。調香師を扱った作品を読むのは2作目、1作目は内田康夫先生の「幻香」。香りというものを言葉にするのすごいと思う。
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フランは良い感じかも。