失はれる物語 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044253066

感想・レビュー・書評

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  • 「しあわせは子猫のかたち」
    人と関わらなければ、人から害されることはないという主人公の気持ちはとても共感できました。しかしその副作用として愛されることもないという事を改めて教わった気がします。関わりがあるからこそ出会える幸せもあると感じました。

  • 久しぶりの短編集。表題の失られる物語やしあわせの子猫のかたちは、深く考えされられる物語でとても、良かった。

    ・「calling you」
    頭の中の携帯電話で他の人と繋がれる主人公。そして、それを見守る未来の主人公。たまたま、他人とその携帯電話がつながった時、主人公の世界観が変わっていく。成長していく主人公がとても良かった。

    ・「失はれる物語」
    交通事故により右腕の感覚のみを残して他は不随に。彼の妻は右腕を鍵盤に見立てて想いを伝えていくが。。。
    ラストシーンで、妻と娘、医師が来なくなった描写があったが、それは彼が死んでしまって意識だけ残ってしまったからそのように彼が思ってしまっただけなのではないかな?とも思った。

    ・「傷」
    相手の傷を自分にうつせる能力を持つ少年。彼を通じて居なくていい人間など居ないと問いかける作品だった。

    ・「手を握る泥棒の物語」
    腕時計の職人の物語。次回作をつくるには資金が必要。そして、タイミング良くお金持ちの親戚が彼に会いに来ることに。親戚だと思って泥棒をした彼だったが、その被害者は親戚ではなく、時を同じく泊まっていた女優さん。因果なことにそこに忘れてしまった腕時計が元で彼の腕時計は人気が出ることに。

    ・「しあわせは子猫のかたち」
    事故物件にすることになった主人公。そこでは、事故物件になった原因の女性と暮らすことに。少しずつ彼女のことを理解しながら、事件の核心に迫っていくことに。

    ・「ボクの賢いパンツくん」
    オネショ克服のための絵本みたいな内容だった。

    ・「マリアの指」
    他の短編とは、ちょっと経路の違うミステリー色濃い目の物語だった。

    ・「ウソカノ」
    二次元の彼女を彼女だと言っている人たちの物語。

  • 何かを失ったり手に入れたり?普通ではない人の話が多くてその描写がとても良かった。
    あまりハッピーでは無い中に幸せを見出していく感じの物語は少しくらい物語だが前向きにさせてくれた。
    僕は『手を握る泥棒の物語』と『傷』が特に好きだったが他の物語も好きだったのでまた乙一さんの作品を読みたい。

  • 本書に収録されている同名作品「失はれる物語」について。
    読み終わった時、苦しくて、悲しくて、切なくて。あぁこの主人公はこの後どんな気持ちで一秒一秒を過ごしていくんだろう、と思わずにはいられなかった。

    妻子ある主人公が大きな事故に遭い、指先の感覚以外の全感覚を失ってしまう。
    視覚も、聴覚も、嗅覚も、味覚も、、、
    唯一残った指先の触覚を通じて、どうにか医者や家族と意思疎通を図れるようになるが、回復の見込みがないまま何年も過ぎて。

    妻や娘がお見舞いに訪れる回数が段々と減っていき、心境の変化を敏感に感じ取った主人公は、ある決断をすることになる。
    それが、あまりにも切ない。 「もし自分だったら…」と想像するのも苦しい。

    心が健康な、それも昼間に、読んでほしい作品。

  • 久し振りに乙一を読みました。
    この人の短編集は素晴らしいなぁ・・・。

    心あたたまる話でも、なんでか物語の最後はなにか切ないような
    もどかしいような不思議な感覚にさせられます。

    不思議不思議。

  • 表題作と「Calling You」、短いが「ボクの賢いパンツくん」が好き。

  • 13歳のときに各文庫版で読んでから、何度読み返してきただろう?それでも新鮮な驚きがある。
    「失われる物語」を初めて読んだときは、そのあまりの救いのなさに呆然としたのをよく憶えている。「傷」を読んだときの一縷の希望も、「手を握る泥棒の話」を読んだときの爽快感も、「しあわせは子猫のかたち」を読んだときの切なさも。
    私の中にまだかろうじて残ってるイノセンスの一部だなぁと思う。

  • 幸せは子猫のかたちがいちばんよかった。せつなすぎる。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。

    表題作が切ない。こういう風な切なさを書かせたら天才的。美しく壊れていくのが胸に痛くて痛くて。全ての感覚を失った人に一つだけの感覚を残し、それを愛ゆえに封印しなければいけないという、優しくも有る意味鬼畜な展開は美しくも怖い。優しさしかない話なのだけれど自分に当てはめて読んだ時にゾッとする。それは自分が昏睡状態なのに実は意識があるという状態が恐怖を誘い、唯一残った希望も手放すことが出来るのかという事に自分の心を試されるわけです。閉塞感で少し苦しいです。
    他の作品もどれもこれもいい作品ばかり、お気に入りは「傷」「ボクの賢いパンツくん」です。

  • 評価が良かったので期待したけど、自分には向いてなかった。
    どれもこれも後味が悪い。
    読み終えた後何も残らない。
    ただ、幼い頃家庭環境に恵まれない主人公が多いので、わが子を大切に育てようとだけ思った。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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