遠まわりする雛 (角川文庫)

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著者 : 米澤穂信
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年7月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044271046

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米澤 穂信
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遠まわりする雛 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 題になっている、『遠まわりする雛』のラスト2ページが気になって仕方ない・・・。

  • 「しかし、どうしたことか。言おうと思っているのに、その実、ぜんぜん言える気がしないのだ。こんなことは初めてだった。そして、初めての経験は、これまで解き得なかった疑問を解く大いなる鍵となる。」(「遠まわりする雛」より)

    古典部たちの1年が7つの短編に分かれて登場。
    物語の中で、関係性が少しずつ、少しずつ変化していくさまが愛おしい。

    当然ながら春では、全くお互いどんな人間なのか手探り状態だったものが、夏、秋、と季節を経るごとに人となりが分かってきてだからこそ気づくこともある。ということが、短編を通してよくわかる。
    その様子が、いじらしくてとてもいいのだ。
    特に、最後の表題作は、にんまりしてしまった。
    とても良かった。

    「やるべきことなら手短に」
    「大罪を犯す」
    「正体見たり」
    「心あたりのある者は」
    「あきましておめでとう」
    「手作りチョコレート事件」
    「遠まわりする雛」

    【9/17読了・初読・市立図書館】

  • 「古典部シリーズ」第4弾。
    『氷菓』から始まって、前作の『クドリャフカの順番』で文化祭も終了し、“文集”にまつわるお話も一旦、区切りがついたということでしょうか。

    今回は、春までさかのぼり、『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』の間を縫う出来事や、文化祭終了後のエピソードも拾って、また春までの一年間を、短編で描いています。

    毎回、奉太郎の、人生哲学と言うか、人間心理の観察と言うか分析と言うか…とにかくこのくらいの年齢の知能の高い文系男子にありがちの、回りくどい(笑)モノローグからスタートします。
    中学からの友人である里志との、牽制し合い研鑽しあう、男同士の友情と…そして、苦手→気になる→信頼(?)、いいかんじ?…と変化していく、千反田えるとの日々が描かれています。


    「やるべきことなら手短に」
    春、部活動の勧誘ポスターで掲示板は花盛り。
    正体の分らない海賊版メモを追え!
    近道したつもりが回り道?

    「大罪を犯す」
    いやいや、大罪を犯すところだった。
    自分の大罪は“怠惰”が似合っている、とうそぶく奉太郎。

    「正体見たり」
    一人っ子の千反田は、きょうだいというものに、ほとんど幻想とも言っていい憧れを抱いている。
    温泉合宿で、奉太郎、湯あたりする。

    「心あたりのある者は」
    えっと、瓢箪から駒?
    韜晦する奉太郎。

    「あきましておめでとう」
    ドキドキエピソードと、友人の機転。

    「手作りチョコレート事件」
    キャッチボールで隠し玉?
    トムとジェリーみたいな、里志と摩耶花の関係。

    「遠まわりする雛」
    バレンタインの事件で、人間は心の中でどう考えているのか分らないものだと考察していた奉太郎だが、千反田と出会ってそろそろ一年、彼女の置かれた“旧家の跡継ぎ”としての立場と、濁りのない人格をだんだんと理解していく。

  • 古典部シリーズ。4人とも頭がよく、表現力豊かで、感性が鋭い。読んでいて、少し嫌になるほどに(笑)。
    たぶん、古典部シリーズを頭から順番にちゃんと読んだほうがより楽しめるんだろうな。
    話を追うごとに、千反田さんがますます可愛らしく、魅力的な女性だな…ということが際立ってくる。それは、折木くんと千反田さんの距離が縮まってくる、ということに比例しているんだろうな。

  • 里志の気持ちってなんか分かる。古典部の今後の恋模様、わたし、気になります。

  •  前三作を踏まえると、まさかここまで来るとは思わなかった短編集。
    表題作「遠回りする雛」の春めきっぷりが異常で、つまり、388ページの「ただ俺は、ひたすらに、これはしまった、これは良くないぞと思っていたのだ」が決め手で、終盤がもうドキドキして、もう春か!

  • 「古典部」シリーズ第四弾。
    主人公達の入部からの1年間で、ここまで語られなかったエピソードが短編集的に納められています。

    ちょっと、こういうのってズルいと思います。
    だって・・・気に入った映画やドラマとかの“未公開シーン集”みたいで楽しいんだもん!(^_^;)

  • 短編よりも長編の方が好きかもな、と思って途中しばらく離れてしまった。でも最後はいい、とてもいい。

  • 短編集。古典部シリーズ4作目。
    どんなに若くても、どんなに未熟でも、誰にだってそれなりに譲れないものはある。
    大人から見れば取るに足らないような、他人には受け入れがたいようなこだわりだったとしても、本人はけっこう本気なのだ。
    未来は開けている。
    大人のようで大人ではない中途半端なときを過ごしている。
    驚くほどに自分自身のことがわからない。
    何が欲しいのか、何が必要なのか。
    思いがけない自分を発見して戸惑ったり悩んだりもする。
    古典部に所属する折木奉太郎の譲れないこだわり。
    「やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」
    里志が手作りチョコレートを砕かなければならなかった理由。
    たぶん説明しても千反田には本当のところはわからなかっただろう。
    奉太郎が千反田についた小さな嘘は、仕方のないことだったと思う。

    この年代にしか味わえない葛藤や揺らぎが詰まっている古典部シリーズ。
    「氷菓」を読んだときほどの衝撃はないけれど、相変わらず大好きなシリーズだ。
    少しずつだけれど変わり始めている奉太郎を、果たして里志たちは気づいているだろうか。
    第5弾が待ち遠しい。

  • 米澤穂信の古典部シリーズ第4弾。これまでの長編3作と違い、神山高校1年目の1年間を追いかけながらの短編集7作品です。

    短編が進むごとに古典部4人の距離が縮まり、最後はホータローと千反田さんがほんの少しでも接近していくのが、何とも「青春」って感じですね。
    あー。学生時代に戻って、いろいろやりなおしてみたいw

    特に、表題作の「遠まわりする雛」と「手作りチョコレート事件」が印象に残りました。

    「遠まわりする雛」は、ミステリ的な側面よりも、やっぱり、ホータローと千反田さんでしょうか。
    ホータロー自身が突っ張らず千反田さんへの思いを見せる(行動にまでは表れませんが)のが見どころですね。まあ、これは既定路線への流れでしょうけど、応援したくなりますよね。

    「手作りチョコレート事件」は倒叙ということですが、完全には犯人は明かさず、多分そうだろうなー、くらいで読ませるところが、また面白かったと思います。

    で、ちょっと余談ですが、ふとこの「倒叙」という手法を考えた時に、ミステリって、ちゃんと勉強したら、読ませるための手法や、トリックの形式も定番や新しいスタイルなど、いろいろあるんだな、と改めて思いました。

    それらを頭においてから、ミステリを読むと、単純に楽しむ以上に、知れる世界があるんじゃないかと気づかされたので、ちょっと時間があるときに、その辺も意識しながらミステリ漬けになってみようかなあ。

    さあ、次は5作目。

  • 古典部シリーズ4作目
    今回は、何かイベントがあるわけでもなく、日常の色々なお話し

    そうそう、こんな日常系が読みたかったのよ
    それでいて、登場人物たちの人間関係も複雑ですなぁ
    ま、特に二人の関係だけなんだろうけど、なんだかやきもきする(笑)

  • このシリーズはどれも学園ドラマの
    平凡でありながら誰しもが懐古する甘酸っぱさやほろ苦さが描かれていて
    とても好きなのだが
    この巻も非常に好き。

    全てのエピソードが流れて繋がっていく感じと
    タイトルの付け方が秀逸だと思う。
    生き雛が遠回りをして行列を作った、ということは勿論のこと
    まだ若い彼らが遠回りしつつも前に進んでいく様を感じ
    爽やかな感動が得られる作品だと思う。

  • 学園ミステリーは鳴りを潜め、古典部の一年をなぞるように7つの短編が綴られていました。一編目と七編目を読み比べると奉太郎のこころの変化がとてもよくわかります。

    里志が摩耶花の好意をはぐらかしていることをずっと不思議に思っていましたが、それも“手作りチョコレート事件”でスッキリ。謎が解けても答えが出ないことってあるんですね。

  • 古典部シリーズは短編の方が似合う様な。

    今回も物悲しいとは言わないまでもちょっとひっかかる終わり方をする話しが何編かあった。
    苦みとは言わずかといって酸味でもなし全く以て奇妙な後味。
    珍しく大人の登場する話があった。シリーズを通して大人があまり出てこない気がするが、何か意図があるのだろうか。
    私、気になります。

  • 遠回りする雛、特に謎という謎はなかったけれど短編の中で一番よかった。千反田の地元に対する思いで泣きそうになった。最後のもう春という言い回しは上手いなぁと思った。

  • 古典部シリーズ第4弾。
    千反田えると、折木奉太郎の2人を含めた4人の古典部員の関係性がだんだんと変わっていく1年間のことを7編の短編にまとめてあります。

    古典部の文集の名前の由来と、文化祭の名前の由来を解き明かした氷菓、
    文化祭に出す予定のクラス映画のラストを予想した愚者のエンドロール、
    文化祭本番での連続窃盗事件とにまつわるクドリャフカの順番、
    その3部作の裏でこんな風に4人は動いていたんだなーと、改めてキャラクターに生命が吹き込まれるこの遠まわりする雛。

    あきましておめでとう、
    遠まわりする雛、
    のあたりで千反田さんの気持ちも見え隠れするのがよいですよね。

    まだまだ続くんだろうなぁ。
    楽しみ。

  • 「心あたりのある者は」が大変好きです。
    それにしても里志面倒くさいよ里志。
    そして理屈が良く分からない。こだわらないことにこだわってる時点で破綻しているような気がするけどどうなのかしら。
    折木さんと千反田さんは遠回りしすぎて一足飛びになってる。恋愛どうこうの前にそれ口に出してたらプロポーズじゃん。

  • 短編集のためか、一つ一つ区切りながら読んでしまって思いのほか読み終わるまでに時間がかかってしまった。アニメにも登場したエピソードがほとんどですが、「手作りチョコレート事件」では、まさに青春群像劇の名のとおりのほろ苦さを感じながら、最後の「遠回りする雛」で見せる千反田さんの凛とした決意に胸を打たれます。いつか奉太郎が言えなかった台詞を言えるときは来るのだろうか。

  • 一大イベントが終わって、幕間的な要素を含んだ短編集かと思っていましたが、そうじゃなかった。今までは事件が軸だったのに対して、この短編集は4人の距離や心情の移り変わりが軸として描かれていました。この短編集を4巻目に持ってきたのはお見事。粋な演出でした。
    先を行く女の子に戸惑う男の子。頑張れというか、見守りたくなります。

  • アニメ化された話だったから、映像が浮かんできてすごく読みやすかったー。しかし、原作をちゃんと再現しててすごいと思った。古典部シリーズ読みやすくていいね。

  • 短編集。
    最初はいまいちなのかと思いましたが、最後の2つのお話がとても良かったです。
    特にタイトルになっている「遠まわりする雛」はとても素敵でした。

  • 九マイルは遠すぎるゲームの「心あたりのあるものは」など、ミステリ愛にあふれた短編集。氷菓事件、女帝事件、十文字事件の合間やその後の話を描いており、古典部の関係性の変化を堪能できる。表題作は謎解きは淡泊だが、美しい話だった。恋愛要素が絡むのは青春という感じで嬉しい。折木自身もまた変化の中にあり、薔薇色に近づいている印象がある。

  • ああ、アニメでちょこちょこ入ってくる細かいネタはコレ由来だったのかと納得。というよりも、全体として一貫した時間軸にエピソードを並べてアニメ化しているってことね。
    朴念仁が恋心みたいなものを自覚するまでのお話、というか何というか。
    どこまでも薄味にね。高校生の心情なんて、もっと極端から極端に振れるものだと思うのだが、それやってるのは4人のうち一人だけ、ってのは、むしろリアリティがあるのかないのか、サンプルが少なすぎてなんとも分からないね。まあ、神ならぬ身が感じるリアリティなんてそんなモノですか。

  • 読み終わってやっぱり作者の文章が好きだなーと感じた。
    微妙な恋心の表現がいいなー。

  • 自分にとって、古典部シリーズの特に本書のような純粋な青春物を心から楽しんだのは全く初めてで、新鮮なウキウキ感で読み終えました。
    今回は時系列的に今までのお話の間に挟まるようなストーリーを含めて、四季折々の1年間の物語に仕上がっていました。それによって、奉太郎の心境の移り変わりが他の巻より鮮やかに描き出されています。僕の高校時代なんて本当に色恋沙汰とは無縁で、そのせいでなのか学園物の恋愛に距離感が合って無感動だったのが、ラストでえるが密かに(思い返せばはっきりとしてたかも?)奉太郎に思いを寄せていたという事実、自分もえるに恋心を抱き始めて戸惑う奉太郎、美しさすら感じました。
    読んでいて胸がポッと温まって満たされていくこの感覚にもっと早く出会いたかったです。

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遠まわりする雛 (角川文庫)の作品紹介

省エネをモットーとする折木奉太郎は"古典部"部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する-。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか"古典部"を過ぎゆく1年を描いた全7編。

遠まわりする雛 (角川文庫)の単行本

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