遠まわりする雛 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 9712
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044271046

作品紹介・あらすじ

省エネをモットーとする折木奉太郎は"古典部"部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する-。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか"古典部"を過ぎゆく1年を描いた全7編。

感想・レビュー・書評

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  • この作品を読んで、

    著作がこのシリーズを、

    そしてこの4人のキャラ達を、
    とても好きなんだろうなって、
    すごく感じました。

    私も同じくらい(恐らく少し下)に、
    このシリーズとキャラが好きです。

  • 〈古典部〉シリーズ第4弾は短編集でした。
    一話目は四月の終わり頃、まだ数回しか言葉を交わしたことがない奉太郎と千反田が、今ではとても懐かしく思えます。
    一年を振り返るような形で7つの話が進んでいきます。
    夏休みに四人揃って古典部の温泉合宿へ出かけたり、正月の伊原の巫女さん姿や千反田の晴れ着姿など、今回は学校以外の場所での四人の様子が見られて楽しかったです。
    高校生の日常の何気ない疑問をミステリー風に仕立てた作風には、若者らしい想像力や思いやりが感じられて、読後がとても爽やかです。

    中三から高校受験を経て高校生になって一年。
    恋愛模様も描かれていて、相手の意外な一面を知ったり、将来のことをすでに考えていたりと、この先の四人の成長が楽しみです。

  • 〈古典部〉シリーズ第4弾読破しました!
    期末試験期間ということもあり、読書時間が極端に減ってしまって、ペースダウンしてしまっていましたが、やっと夏休みです。たくさんの本に触れる夏休みにしたいです。

    今作は、〈古典部〉の1年を描いた短編集でした。 特に好きだった話は、『心あたりのある者は』と表題の『遠まわりする雛』です。前者は推理のスピード感がすごく好みでした。後者では、最後に奉太郎が千反田さんに言いかけた言葉が個人的にはグッときて、次作への期待がさらに高まりました。

    〈古典部〉シリーズも残すところあと1冊となりました。最後までこの青春ミステリーを楽しみたいです!

  • 短編7作品だが、神山高校古典部のサブストーリーが描かれている。これまでの作品で各キャラクターを必要最低限理解しているものの、この短編集で更に深みが増す。しかし、無くても支障はないと感じる。

    総務委員会未承認の秘密クラブは神山高校の七不思議で、もしかして7作品はここから来ているのか?
    大罪を犯すでは、通常なら間違わないことを数学教師の尾道が間違ったことから始まる。最後に大罪の意味がわかる。それを大罪と言うなら、私も犯している。
    夏休みに温泉旅行に行く古典部一堂、伊原の親戚が経営する温泉宿の本館7号室、おや、ここでも7が出て来た。ますます7絡みが疑わしい。ちょっとホラーか?

    校内放送で生徒の呼び出しがある。なぜ教師は呼び出したのか?生徒は何をやらかしたのか?謎を千反田と折木が解いていく。
    元旦、神社の社に千反田と折木が閉じ込められる。2人の距離は縮まるのだろうか?
    バレンタインチョコに纏わる伊原と福部の話し、こちらも2人の距離は縮まるのだろうか?

    表題となった「遠回りする雛」、雛は誰のことだろうか?なぜ遠回りなのか?物理的な遠回りなのか、精神的な遠回りなのか、私の仮説は楽しめる結末を描かれているだろうか?

    高校1年間を時系列で古典部の4人が絆を強くしていく様子が上手く描かれている。そして、私の稚拙な予想(勘違い?)の「7」に関係するものは如何に。

  • 古典部の1年を描いた短編集。
    男の子ってずるいよね。
    奉太郎にしても里志にしても、プライドみたいな哲学みたいなものが厚い壁となって自分の前に立ちはだかってる。そして、それを乗り越えるべきではないと思ってる。これが青春なのか。
    えるや摩耶花のほうが先に大人になるんだよ、きっと。

  • 古典部シリーズ4作目。
    7つからなる短編集。
    1年間にあった今までの事件以外が描かれています。
    なんだかんだ折木はいろいろなことをやっている感じ。
    みんあなどうなっていくのでしょう。

  • 古典部シリーズ第4段。
    基本的には今までのような日常系のミステリなのでが、これまで以上に青春のほろ苦さが描かれているような気がした。
    主人公を始め、登場人物たちは皆、自分の立ち位置をすでに決めているように見える。
    省エネ主義のホータローや気楽さを求める福部里志。
    でも彼らを含めた高校生は、これから先、多くの出来事に遭遇し、良くも悪くも変化していく。
    それが分かるのは大人になってからで、学生のうちはまだ気づかない。
    ただ、それこそが高校時代の楽しさでもある。
    自分もそうだった。
    どこかほろ苦い青春時代を思い出させてくれるような、そんな小説だった。

  • 古典部四作目。奉太郎とえる、里志と摩耶花の関係性が季節の流れとともに変化をみせる短編集。恋愛の話が好きな人は楽しめる。私はなんとなく全員の思考回路に現実感がなく、共感が薄かった印象。いつもの日常の謎なんだけど、ミステリとしてあまり唸るエピソードはなし。

  • 【再読】何回読み返しただろうか。このシリーズ、生産性のなさそうな会話が大好きなんだよなぁ。淡々としてるのに面白い。あと、それぞれの章の名前も好き。"あきましておめでとう"は、そういうことか!という大きな驚きじゃないけど、ちょっと笑ってしまう、好き。

  • 「古典部シリーズ」第4弾。
    『氷菓』から始まって、前作の『クドリャフカの順番』で文化祭も終了し、“文集”にまつわるお話も一旦、区切りがついたということでしょうか。

    今回は、春までさかのぼり、『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』の間を縫う出来事や、文化祭終了後のエピソードも拾って、また春までの一年間を、短編で描いています。

    毎回、奉太郎の、人生哲学と言うか、人間心理の観察と言うか分析と言うか…とにかくこのくらいの年齢の知能の高い文系男子にありがちの、回りくどい(笑)モノローグからスタートします。
    中学からの友人である里志との、牽制し合い研鑽しあう、男同士の友情と…そして、苦手→気になる→信頼(?)、いいかんじ?…と変化していく、千反田えるとの日々が描かれています。


    「やるべきことなら手短に」
    春、部活動の勧誘ポスターで掲示板は花盛り。
    正体の分らない海賊版メモを追え!
    近道したつもりが回り道?

    「大罪を犯す」
    いやいや、大罪を犯すところだった。
    自分の大罪は“怠惰”が似合っている、とうそぶく奉太郎。

    「正体見たり」
    一人っ子の千反田は、きょうだいというものに、ほとんど幻想とも言っていい憧れを抱いている。
    温泉合宿で、奉太郎、湯あたりする。

    「心あたりのある者は」
    えっと、瓢箪から駒?
    韜晦する奉太郎。

    「あきましておめでとう」
    ドキドキエピソードと、友人の機転。

    「手作りチョコレート事件」
    キャッチボールで隠し玉?
    トムとジェリーみたいな、里志と摩耶花の関係。

    「遠まわりする雛」
    バレンタインの事件で、人間は心の中でどう考えているのか分らないものだと考察していた奉太郎だが、千反田と出会ってそろそろ一年、彼女の置かれた“旧家の跡継ぎ”としての立場と、濁りのない人格をだんだんと理解していく。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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