推定少女 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 3767
感想 : 340
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044281038

感想・レビュー・書評

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  • 砂糖菓子に続き、心のもやもやした、自分でも手付かずの部分に触れてくるなこの人の作品。どうしても「自分はどうだっただろう」と振り返って感傷的になってしまうので気力がいる。中・高で読んでいたら、確実に今とはまた違う揺さぶられ方(共感や憧れ)で影響受けまくりだったと思う。
    お話自体はSFやら幻やら先が見えずにダレかけたけど、最後は勢いで引っ張られて面白く読めました。分岐エンドは全部でひとつな印象だけども、[放浪]がインパクトあるしなんか好きだな。そのまま逃げ続ける、怖いけど羨ましい。

  • 普段起こり得ない事だけど、そんな文章の中に青春を感じました。

  • 若い頃特有の(私がこの言葉を使っていいのか?)疑心暗鬼で単純な子供たちが抵抗するんだけど、結局夢オチだったっていう話。

    何も分かってない!と思うことが子供である証拠、みたいなシーンがあったが、大人は本当に分かってるの?!と思った。
    でも、“分かっている”ならあんなこと言わないよねぇ、とどうしても思ってしまう。私は子供。

    もうちょっと歳をとってからまた読みたい本。きっと感じ方がかなり変わるから。

  • 大多数の人に受けるタイプの話ではないが、小説の芸術とはこのことだな、と感じた。

  • 再読。「ここから物語は分岐し、三種類のエンディングがあります。」と書かれたときには驚きと少しの落胆があった。あとがきによると編集部の要望で書きかえたものも含めて全部収録したという事情らしい。こういうゲーム的なエンディングはあまり好きではないが、作家が自由に書けないこともあるのだろう。自分を「ぼく」と呼ぶ少女は脅えながら戦っている。ただ生き延びるために戦っている。そんな時代が自分にもあったことを思い出させてくれる。

  • 唐突に日常からはみ出してしまった女の子が出会ったのは、記憶喪失を自称する美少女。
    ある事情から追われる二人の少女の逃走劇です。桜庭さんならではの個性を感じる作品。
    2004年にファミ通文庫から刊行。今回は角川文庫の再刊を読みました。ボツになった幻の
    エンディングを含む三通りの結末が楽しめます。RPGみたいで面白い試みです。

  • 15歳の僕は中学校裏にUFOが落ちた日
    義父を弓で撃ち逃走する
    逃走中、隠れるためダストシュートをあけると
    裸の少女、白雪を発見する

    逃げるふたりと秋葉原で出会った千晴
    3人の束の間の生活

    白雪がめちゃくちゃで、ちぐはぐで
    読んでいてフラフラしてしまう

    エンディングが3パターンあり
    どれもピンとこなかった

  • これを読んで、アラサー主婦はきんぴらごぼうを作るためにしぶしぶ千切りを始めるのであった。
    家出少女の奇想天外で不思議な体験を描いたハイスピードでポップでちょぴりダークな雰囲気が漂った小説。今の生き方に失望している少年少女たちの逃亡劇。ファンタジー展開に振り回されながら着地するエンディングは3種類。
    思春期の溢れんばかりのキモチが表現されていて、懐かしく思う反面、もっとやりようがあったと思うのは完全に大人側の視点によるものですね。
    エンディング2,3のような現実的な収まりはハッピーエンドであることは間違いないのだけど、エンディング1のように少女たちが子どものままでいるエンドが小説として美しく心に留めていたいと思った。

  • 読み終わった当初、その時の状況にも依存していたのかもしれないけど鬱蒼とした気分になった。
    こういった絶望系の小説に慣れていないせいなのかもしれない。
    人によっては絶望系ではないと言うかもしれないが、雰囲気が始終暗いというのはあると思う。
    終わり方が三種類あって、ゲームのマルチEDのようだが、
    あくまでも自分はどの終わりかたも納得できなかった。

  • 2回ほど積ん読になってしまったけど、後半をいっき読みしたら、なんだかよかった。あのころの私が、いるなあ、と思った。いつか大人になったら、「あの頃はなんにも考えてなかったわ」とか言っちゃうんだろうか、っていう不安。大人に対する羨望のような軽蔑。家出。大人の女性に対する嫌悪感。そういうもの全部、自分に対する絶望だってこと。わかってくれている本があってよかった。

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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