少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

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著者 : 桜庭一樹
  • KADOKAWA (2009年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044281052

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少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • かんばせ。かんばせ。呪いのように何度も出てくるこの言葉。ひらがなで読んだときはピンとこなかったけれど、『顔』と書くそう。そんな、桜庭一樹の言葉選びが良い。

    平凡な家族の元に生まれ、平凡な街で平凡に育った優菜はある日突然、男と寝たい、と思い立つ。七回竃に入れないと燃えない七竈のように、七人の男と寝て、立派な炭になるのだと。

    そうして誰の子かわからぬまま生まれた美しい女の子は七竈と名付けられ、いんらんな母親を嫌いながら育った。

    自分の美しすぎるかんばせ。
    幼馴染の美しいかんばせの少年。
    すぐ旅に出てしまういんらんな母親。

    たくさんの葛藤の中、七竈は自分の存在理由を模索していく。

    一方で、七回竃で燃やした母親の心には、悲しくも美しい理由があった。

    物語を滅多に読み返すことはないのに、この本は半年に1度読み返してしまう。読み返すたびに、ファンタジーでもサスペンスでもないのに、その独特な世界観に恍惚としてしまう。
    本当の七人のかわいそうな大人は誰か、探しながら読んでほしい。

  • 作者の本が読んでみたくて探していた時に
    たまたま旅行予定の旭川が舞台の小説をみつけて
    読み始めた1冊

    初めての桜庭作品だったが
    とてもスラスラと読めた。

    だが、ビショップがむくむくと呼んでいるモノを
    子犬だと騙され続けて後で、あぁ・・・と納得したり
    途中で七竈に会いに来た東堂さんはナニモノなんだろう?
    ・・・結局ナニモノだったんだろう? と読み手が翻弄される1冊でもあった(笑)

    今まで好んで読んでいた小説とは違った1冊で
    また読んでみたら楽しいカモ、と思った

  • 「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、そして出奔を繰り返す母の優奈―誰もが七竃に、抱えきれない何かを置いてゆく。そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が―雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。

  • 平凡とは何か、美しいとは何か、愛とは何か、終始考える本。白でも黒でもなく、灰色の感じ。

  • いんらんの母親を持ってしまった娘の物語かと思いきや、「母と娘」という永遠のテーマで締められて、最後は思わずじんわりきてしまった。

    純愛。それぞれに、「一番側にいて欲しい」と心から願う人が、側に居てくれない切なさ。母にかけられた呪い。叶わぬ想い。永遠につきまとう呪縛。かんばせ。

    桜庭一樹さんは、作品によってガラリと作風が変わるので楽しい。少女七竃と少年雪風の、丁寧で独特の喋り口調がとても味わい深くて良かった。また、飼い犬ビショップ目線で描かれた章もとても良かった。

    「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。ある瞬間は、ゆるせる気がする。ある瞬間は、まだまだゆるせない気がする。大人の女たちは、だいたい、そうさ」

  • 桜庭一樹さん 3冊目。
    七竈のキャラ好き。
    文体や、セリフ
    とても好きでした。
    美少女を想像するのは
    楽しい

  • この度再読。

    雪風が語り手となりサンボマスターの「さよならベイビー」と共に七竈を想う章「機関銃のように黒々と」が切ない。そして美しい。

    桜庭一樹さんは「私の男」がとても印象的なんだけど、北海道という凍てつく土地の舞台にしてることで物語に「最果て」感と、雪国の静けさ、寂しさを作品の背後に据えていると感じる。だからいつも閉塞感と寂しさがつきまとって胸が苦しくなる。それが良い。

    あと著者は「女」というもの(言い換えるなら女という「性」)をとても意識的に取り上げ描いていると感じる。
    ''可愛そうな大人''である七竈の母、雪風の母、田中教諭の奥さんはとても「女」を背負わされている。
    わかっていても自分でもどうすることもできない「女」を。

    ''弱さについてわたしは考えた。
    自分という女の、とてつもない、弱さと、あさましさ。男たちの衝動。''

    大人になる前の、言い換えるなら「女」になる前の七竈。青春と表すれば陳腐だけど、読み終えてみるとこの作品は七竈の青春の終わりで幕を閉じる形になっている。相容れなかった母との別れ、初恋の終わり。
    読み終えてみると自らを異形と言い続けた彼女の、普遍的な青春の物語であったのかもしれないと思った。
    (2016.2.20)

  • 綺麗で切ない。
    終わりはいつも通りすごいハッピーエンドじゃないのになんだかストンとして、報われた気もしてる。
    なんでだろうなー。
    桜庭さんってすごいなー…

  • 七竈が主人公なのだけれど、スポットは周りの大人達と言う感じかな。
    はかなさとかジレンマとか、苦悩とか表現したい物が色々な感情となって伝わってくるけど、その正体はぼんやりしてる感じがとても印象深い。
    まあ、僕がちゃんと読めてないだけと言う話もあるけど。
    そう言えば桜庭一樹ってこう言う作品書くんだったなあと思い出させてくれた感じでもありました。
    GOSICKも並行して読んでたので、それを強く感じたのかもしれません。

  • 白い雪の中で広がる狭くて小さな世界。
    しかし小さな世界というものは、美しく甘い。

  • 淡々としだ独特の(美しい?)語り口に段々と慣れてくる。
    後半の七竃の成長や母親の人間的な心情が吐露されてから、一気に感情移入できた。
    みすず後輩がとても愛くるしい。
    「私、七竃の実にはなりません。私は熟して、食され、わたしを食って羽ばたいた鳥の、やわらかな糞とともにどこか遠い地に種を落として、また姿を変えて芽吹く。そういう女になろうと思います。」

  • 面白かったけど、ここまで美を嫌悪するのはやりすぎだと思うけどなあ。
    比類なき面貌と知性を併せ持つと、色々と思い悩んでしまうのだろう。
    天に二物を与えられた人間もそれはそれで大変なのね。

  • 桜庭さんはどうしてこんなに"少女"を上手に表現できるのだろうか。すごい。

  • 本作の中で一番好きなのが『辻斬り』。淫乱って言われればそれまでなんだけど、なんとなく彼女の気持ちがわかる。衝動的な気持ちに駆られると言いますか。七竃可愛い。雪風との絡みも好き。

  • 辻斬りのように男遊びをしたいと思った平凡な白っぽい丸、な母親から産まれた、少女七竈の物語。七竈は、「大変遺憾ながら、美しく生まれてしまった。」それを体現するかのような整った文体で、多方向の視点から七竈は描かれる。整然とした少女に、大人たちは抱えきれないものを置いていく。哀しくもはかなく散るように、こうしてみんな、大人になってしまうのだ。

  • 七竃と雪風、大人と子供の狭間の物語。
    共感出来る部分もあれば、私には理解できない部分も。
    全体的に古めかしい文体で、少し辞書が欲しくなる時もありました。

  • 桜庭さんの作品で初めて読んだ本。
    「男なんてみんな滅びてしまえばいい」そう思う七竈にとても共感し手にとった。
    そして、その容姿、顔の表現を「かんばせ」と表している所もとても気に入った。
    母、優奈の狂った行動にも自分に重なるような感覚に襲われ、共感したのを覚えている。
    七竈をはじめ、優奈や雪風など登場人物の様々な感情が交差し、変化していき、最後は親子として接し合える2人を読めてとても良かったと思った。

  • 言葉の使い方が好みでした。七竈と雪風の。あとジュピター目線が面白くて良かった。少女が大人になっていく素敵なお話でしたが、個人的には雪風と逃避行くらいしてほしかったなあ。

  • 七人の男と交わった母が産んだ少女 七竈。
    鉄道が好き。
    男など死ねばいいと思っている。
    自分の美しさを持て余している。
    せまい世界の奇妙な人間関係の被害者。
    自分の身の周りに存在する気に入らないものたち、母を、自分の境遇を、どれだけ許せる?

  • 主人公はだれもが振り返る「かんばせ」の持ち主。だが本人はそのかんばせをいんらんな母のせいだと思っていていやに思っています。そんなところが美人なことを鼻にかけていなくて憎めません。
    文章も淡々と綺麗に書かれていて割とさらっと読むことができます。

  • 美しすぎる少女の苦悩の物語。

  • ある日辻斬りのように男と関係を持とうと思った25歳の小学校教師。狂ったような季節の先に妊娠して、生まれたのはあまりにも美しい容姿をもった少女七竃。

    そのあまりに美しい容姿とは関係なく、本人はぼーっとしているというかちょっと理屈っぽいというかとにかく淡々としている。そんな七竃が関心を持つのが鉄道と、同じく鉄道を愛し、七竃に良く似た美しい少年雪風。

    やがて七竃はゆっくりと消費され美しくなくなってしまうことを目指して上京する。若い女は若くなくなると「若くない女」になるのだ。なんという恐ろしい話。

    でもなんとなく七竃はいつまでも美しい気がする。誰にもその実を食することを許さず、冬になっても赤い実を実らせたままただそこにある植物の七竃のように。

    少女から大人になっていく過程が上手くかけていると思いました。なんかめんどくさいんだ、この季節って。

  • 言葉がとても上品で綺麗です。素敵な世界観。

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少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)の作品紹介

「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、そして出奔を繰り返す母の優奈-誰もが七竃に、抱えきれない何かを置いてゆく。そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が-雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。

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