はかせのはなし

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 80
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046013910

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  • 文章とは誰かに向けた手紙でありタイムカプセルである。つまりは想いという目には見えないものを告白して形にすることだ。
    著者が向けた人に届けば、過去と現在と未来が同時に存在することにもなるだろう。向けていない人だとしても、そこには自分とは違う感性や人生を持った他者のことを知れる。同時に他人の感情と触れ合うと自分の感情について考えることにもなる。

    書籍という形だったとしても、ネットという広大な記録の海の中に浮かんでいても、書かれた「文」は偶然なのか必然なのかいつか届いてしまう。
    届いた先の読み手にとってそれがどんなものになるのかわからない。
    ただ、どんなに長くても百年程度しか生きられない僕たちが、その時感じた想いや出来事を記すことはどうしても抗えない時間という概念を受け入れることでもあり、何かを託したいというロマンチックな気持ちでもある。

    どんなに時間が流れて、この肉体が滅んでも書かれた言葉が残されて、まったく知らない誰かに届いたりするかもしれない。
    想いの結晶化、あるいは生きてきた時間を刻むようなもの。

    最後に著者である博士さんが恥ずかしそうに娘さんへの想いをあとがきで書いている。
    父から娘への手紙。それは想いのタイムカプセルになって、いつか開かれて過去の父と再会することになるはずだ。そして、たった一人の人に向けられた言葉は、他者を拒まずに届くものであるはずだと思う。
    強い想いだけが圧倒的な時間という概念に抗う一つの方法になる。

著者プロフィール

1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、1987年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。1990年のテレビ朝日『ザ・テレビ演芸』で10週連続勝ち抜き、1992年テレビ東京『浅草橋ヤング洋品店』で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』編集長。
主な著書に『藝人春秋3 死ぬのは奴らだ』『藝人春秋2 ハカセより愛をこめて』『藝人春秋』(文春文庫)、『はかせのはなし』(KADOKAWA)ほか。
浅草キッドとしても『お笑い 男の星座2 私情最強編』『お笑い 男の星座 芸能私闘編』(文春文庫)などの著書がある。

「2021年 『藝人春秋Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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