動物と向きあって生きる―旭山動物園獣医・坂東元

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著者 : 坂東元
制作 : あべ 弘士 
  • 角川学芸出版 (2006年8月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046210821

動物と向きあって生きる―旭山動物園獣医・坂東元の感想・レビュー・書評

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  •  著者は旭山動物園の獣医です。
     著者は,学校での良い思い出があまりないようです。特に,高校時代に出会ったある教師に対し,徹底的に対決していた様子が綴られていて,同じ教員として胸が痛みます。
     小さい頃から動物好きだった坂東さんは,ペットと野生の動物の違いをしっかり分けて考えるべきだといいます。昨今,野生動物の赤ちゃんをペットのようにして扱うテレビ番組がありますが,それについても反対しています。
    「生きているから生きている」という野生動物本来の姿をしっかりつかまないといけないんだよなと思いました。

  • 3.7

  • 行列ができるお店の気難しい大将のように、ワンマンな印象を持っていましたが、この人は本当に「動物を見ている、向き合っている」と感じました。お客に媚びず、「上」にゴマすらず、こうあるべき、という強い信念が伝わってきました。この人の考えをもっと知りたいです。

  • 4046210826 230p 2006・7・31 初版

  • 野生動物はペットじゃない。

    「生きているから生きている」

    動物たちがぼくに教えてくれるものはみんな真実である。
    本当のことしか彼らは伝えない。
    嘘はひとかけらもないのだ。だからぼくは、野生動物に魅せられ、尊敬しているのだろう。

    動物園とは何か?  

    たくさんの命に囲まれる空間の気持ちよさを感じた人たち、彼らのすばらしさを心で感じた人たちは、きっとこれ以上野生動物を追いつめることはしないだろう。「野生動物を守らなければならない」ということを知識として頭の中で理解しているだけでは行動に結びつかないのではないか?心が動くこと、いとおしく思うこと、大切だと感じることが、現実の行動に向かわせるのではないか、そう思った。
    人間はこれまで、自然をめちゃくちゃに破壊してきた。それはそれでさいせいしていかなければならないが、これからの人間は「ズカズカと自然の中に入っていかない」という心構えが必要だ、とぼくは思っている。ちゃんと距離をもって、自然とつきあう。そのためには、人間が生活する領域と自然との中間点(日本でいえば里山みたいなものだ)で、満足する。それ以上、自然の中に足を踏み入れない。そう考え、実践する人が自然と共存していけるのだと思う。

    ワンポイントガイド〜「いのちを伝える」
    やっぱり、いのちはすごい。ウサギだって、パンダやコアラに負けていなかった。同じ、いのちの感動を与えることができる。これはあたり前のことだけれども、「見せる側が、そのすごさをどう伝えるかなのだ」と思った。

    たとえ年間20万人の人しか来なくても、20万人のお客さんが徹底的に満足してくれる動物園をつくれないか、そう思っていた。

    問題は、いかに見せる側が彼らのすばらしさを引き出せるか、何を伝えるのか、そこにかかっている。

    できるだけ近くで見たい。

    ランドスケープ型の施設は、アメリカで生まれ、人気を呼んだものである。それはすばらしいものだが、アメリカ人らしい発想だとぼくには思えた。全体を把握して、つくっていくやり方だからだ。日本人は全体を把握してものごとを考えるよりも、細部から入って全体を構築する能力に長けている。車にしても、先にボディを考えるよりも性能とか、細かいところから入っていく。だから、「ライオンの黒目はまん丸だよ」とか、「ゾウの鼻の孔はちゃんとあるよ」とか、。そういうった細部から興味を持ってもらったほうが、ぼくらにはあっているような気がしたのである。

    逃げられる空間があるという精神的な余裕も大きかったと思います。これは想定外のことでした。施設を変えることで、肉体的な行動だけでゃなくて、精神的なものまで変わっていく。

    動物園でぼくが伝えたいこと
    野生動物はペット種でも家畜種でもないということ。野生動物は、すごいんだ!ということ。
    それを伝えるために、人間の感覚ではなく、動物の側に立って展示をする。人間の側に立って、「かわいい」とか、ショーをするから「えらい」というのではなく、その動物が本来持っている能力や動きをありのままに見てもらいたい。人間の興味は移りやすい。しかし動物は人間の都合にあわせて車のようにモデルチェンジなどできない。そんな彼らを愛し続けてほしい。「ありのまま」の命を淡々と営む彼らを見続けてほしい。

    地球は人間のためにだけにあるのではない!
    生の動物には、言葉にならない、何か本物のメッセージが、存在そのものの中に込められている。

    多くの人が子どものときに「生の野生動物」を見て、オーラのような何かを感じたとしたら、「地球は人間だけのものではない」と考える心を持つことができるのではないか。
    〜野生動物は、絶滅させてはいけない。
    言葉ではなく、それがピッとわかる感性が一番強い力になると思う。

    動物園で「つまらない」になっては絶対にいけない。つまらないものに対する興味は、そこで終わってしまい先がない。まして、尊さや動物の気持ちは生まれない。

    仲よくできないなら離してしまえ、という感覚は、とても人間的な見方で、野生動物には通用しないとぼくは思う。野生ではもともと仲よくなんて発想はあり得ないからだ。共存というのは”仲よく”ではない。調和だと思う。必要以上に干渉しあわない者同士が、調和して、しかもその世界がめぐりめぐっている厳しい世界だ。

    失われていく自然や野生動物に対して、ぼくらは鋭い感性を育てていかなければいけない。どくに若い世代に期待していかなければ、二度とぼくらは美しい地球をみられなくなる。野生動物も絶滅の危機から救えなくなる。チンパンジーを絶滅させてしまったら、もう二度とチンパンジーは見られないのだ。だからこそ、ぼくらは直感力を養っていく必要がある。「ピンと来る」ってヤツだ。自然環境に対して「ピンと来る」かどうか、それが大切だと思う。野生動物をペット化する感性を養ってしまったら、ぼくらは深い深い迷路に迷い込むだろう。多くの野生動物を絶滅させてしまうかもしれない。「野生動物とペットは違うんだ。野生動物には彼らなりの生き方がある」という直感力を養うことは、それくらい、重要なことだとぼくは思っているのだ。

    日本の風土にあった科学的合理性を追求していったほうがいいと思う。
    里山は、人里と山の接点にある。下草を刈ったり、落ち葉を拾ったりして人間が管理しているのだけれども、そこを耕作地にしない。半人工なんだけれども、人間も野生の生き物も利用できるという、日本独自の緩衝地帯だ。昔の人の知恵で、山から少し恩恵を分けてもらおう、という感覚だったのだろう。下草を刈り管理した林にはおいしいマツタケができて、木が腐ったらカブトムシがそこで育つ。手入れがしてあるので、動植物がよく育った。人間は、手入れをする代わりに、山からの恩恵を少し分けてもらうのである。こうして、里山は小さいけれど豊かな土地となった。山の木をばっさり切ったりしないので、鳥や獣とも共存できた。お互いに干渉するこなく、里山を堺に、人と野生動物は別々に暮らした。里山があることで、ぼくらは動植物に対し、みずみずしい感覚を養うことができたのではないだろうか。

  • 動物との触れあい方、変わります

  • 子ども向けながら、数ある旭山動物園本では出色と知人にすすめられた。「野生動物と家畜・ペット種は違う」という理念が明確で、動物への思い、園の運営方法、「かわいい/かわいそう」という言葉ですべてを処理しようとする世間への批判、いずれも非常に説得力がある。現実的でないという一点で、仕事への理念を忘れがちな大人にも刺激的な一冊だった。

  • 動物園が お気に入りの喫茶店の様な、外国の動物園を見て 著者の思想が変わった。沢山の命に囲まれている空間の快さが、其処には有った。珍しい動物に会いに行くのではなく自然を感じ、リラックスする場所に、著者は動物園を変えた。行きたくなる 本でした。

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