ウェルカム トゥ パールハーバー(上)

著者 :
  • 角川学芸出版
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046211767

作品紹介・あらすじ

日米関係の緊張が高まる1941年、異例の民間人主導による日米和平交渉が始まった。その水面下では、スターリン、ヒトラーをも操るMI6の敏腕情報部員が暗躍していた。アメリカに渡った文書諜報のスペシャリスト天城康介と江崎泰平は、イギリス、アメリカの不穏な繋がりに気がつく-。呪われた日米和平交渉が幕を開ける。

感想・レビュー・書評

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  • パールハーバー陰謀説は昔からあったようだが、それを小説まで仕立てたのは初めてか? 実在の人物に架空の人物を組み合わせたストーリー展開が巧み。

  • 本音はグッドバイ トゥ パールハーバー 《赤松正雄の読書録ブログ》

     日本の真珠湾攻撃は、戦史における騙し討ちの好例として常に俎上にのぼる。だが、果たして米国は本当に騙されたのか。むしろ、日本の側が騙されて、戦争に引き摺りこまれたのではなかったのか。このテーマは諸説入り乱れ、様々な解釈が光彩を放ってきた。実に永い間の謎とされてきたのである。西木正明『ウェルカム トゥ パールハーバー 上・下』は、米国ルーズベルト大統領が開戦の口実を作るために、あえて日本を誘い込んだとの解釈にたって書かれたスリリングな長編小説だ。

     そう、いかにも長い。上下二巻であわせて千ページを超える大作は、面白いのではあるが、読む方は大変だ。一昨年に上巻を読み終えて、正直にいうと、つい先日まで下巻の半ばで放っておいた。それがある本が原因で、突然再読する気分になった。お蔭でやっとこさっと、ようやく制覇できた。

     昨年暮の8日に70年の節目を迎えた日米開戦。手堅い書店として名を馳せる藤原書店が「幻の名著、遂に完訳」との触れ込みで、『ルーズベルトの責任 上・下』を出版したことが後押しの役割を果たしたのだ。この本は、米国の学者チャールズ・A・ビーアド氏が、大統領ルーズベルトが非戦を唱えながら、日本を対米開戦に追い込んで行く過程を膨大な資料を元に容赦なく暴いたもの。1948年に発刊されるも禁書扱いにされ、占領下日本でも翻訳されることはなかった。そうしたいわく付きの著作が陽の目を見たとあっては、持て余し気味の小説にケリを着けざるをえぬ。遂に駆け込み読書宜しくゴールインできた。同時並行で10冊程を読む身としてはどうしてもノリのリズムに乗り切れぬのは仕方がないにせよ、遠い道のりではあった。

     日米戦争はペリー来航以来、やがては起こるものとされてきた。百年以上に渡り米国が実践してきたアジア極東外交の必然的な結末であったというのが常識的見方であろう。ルーズベルトの陰謀を思い知って、改めて米国や英国という国のしたたかさというか性懲りのなさを感じたしだい。この二冊の本を読むことで、真珠湾攻撃の謎ともサヨナラしたい。そう、リメンバーでもウェルカムでもないグッドバイ トゥ パールハーバーが本音だ。長い論争にケリをつけるという意味と、真珠湾を忘れたいとの思いの双方を込めて。

  • 感想未記入

  • 生臭い、さあ下巻へ行こう。

  • 戦争物は映画も小説も嫌いなのだが、それでも読物として勉強になった。真珠湾攻撃といえば奇襲で非難されるところだが、普通に考えても米側は暗号等を全て読解して予測していたのだろう。ちなみに米国側への通告が遅れた部分の記述がこの小説の中で単純すぎることを批判するものがあり、確かにそうなのだが、主題が「日米開戦を目指して行われた日米和平交渉」という巨大な陰謀だとすれば、別にそこを書く必要を見出さなかった作者の気持ちも理解できる。それにしてもスパイ戦とはここまで人間の弱さと残酷さを最大限に引き出したものなのか。今でもそういうシステムにすがって生きている国があるだろうが、かかなくともよい裏をかいてしまうからこそ裏というのは生まれるものかもしれない。

  •  読了。

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著者プロフィール

1940年秋田県生まれ。出版社の雑誌編集を経て、作家活動に入る。88年『凍れる瞳』「端島の女」で直木賞、95年『夢幻の山旅』で新田次郎文学賞、2000年『夢顔さんによろしく』で柴田錬三郎賞を受賞。

「2011年 『ウェルカム トゥ パールハーバー(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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