スリランカの赤い雨 生命は宇宙から飛来するか

著者 :
  • 角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046532886

作品紹介・あらすじ

2012年秋、スリランカに降った赤い雨の滴から細胞状微粒子が発見される。原始生命に酷似する微粒子の正体とは。紀元前から多くの記録が残る赤い雨の2500年にわたる謎と、宇宙に満ち溢れる生命の秘密に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 2012年にスリランカに赤い雨が降ったことから、過去に同様の実例があったこと、その前に隕石が落ちているらしいこと、などから話は、宇宙へと拡がる。

    地球での生命誕生から進化の過程において、宇宙からのウィル氏(生命)が関与しているのではというパンスペルミア説。
    カンブリア紀の生命大発生は『スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結 (ガブリエル・ウォーカー)』という説にも、なるほど、と納得していたが、地球外からのウイルスによるものとは、新しい。

    従来の進化論で説明がつかないが、パンスペルミア説で説明がつく三つの例として以下が挙げられている。

    1.ショウジョウバエの一種が、地上に存在しない波長(2537オングストローム)の紫外線に反応する。

    2.ソラマメの一種からヘモグロビンが検出された。

    3.単球菌と呼ばれるバクテリアは地球でうける数百万倍のX線照射に耐える。

    さらに、突然流行するインフルエンザなどの病気なども彗星に運ばれるウィルスが起源ではないか、といった指摘も。

    人類が突然言語能力を獲得したのも、実は宇宙からのウィルスによる遺伝子の変異ではないか、という説も、確定はしていないが、おかしくはないか。

    そして地球が滅びる前に、われわれは生命を維持するために、ウィルスとして宇宙へひろがっていく。それはプロメテウスを彷彿とさせる理論である。

  • President 2016.1.4号、池上彰VS松本大、対談

  • 生命の起源が隕石に乗ったウイルスによってもたらされたという魅力的な仮説。

    2012年11月13日午前7時から45分ほどスリランカ中央部で赤い雨が降った。採取したサンプルからはシアノバクテリアに似た細胞が発見されたが細胞壁にはウランが存在すると言う。2001年のインド、ケララ州のケースでは赤い雨と同時に隕石が落ちており、赤い細胞の総量は50トンと見込まれる。(かなりラフな推定だが)

    残念ながら隕石と赤い雨の相関は推定でしかなく、火山噴火や森林火災の黒い雨に黄砂の黄色い雨など地表から巻き上げられた可能性も普通にある。歴史的な資料から赤い雨168例のうち隕石が関係しているとカウントしたのが60例、その中にも彗星と赤い雨が同じ年に有ったという程度のものも有りどこまでいっても仮説でしかない。

  • きっかけはスリランカに赤い雨が降るという事から。そしてその雨が降る時のほとんどが爆発音があるという。その赤い雨の分析した結果(実際はまだ正確ではないが)生物反応が。。。。
    つまり今地球上に存在している我々人間の元は宇宙からのウイルスではないかと言うのだ。
    ビックバンから始まり地球ができその中の有機物からアミノ酸が上手く合成してなんたからかんたらあって生命が出来る確率なんてほぼゼロだということ。
    これが宇宙からのウィルス飛来によるきっかけであればすんなんり腑に落ちるのが『パンスヘルミア説』なのだ。
    実際に宇宙からの隕石に地球には存在しない形のアミノ酸が見つかっている。
    また興味深い事にヒトゲノムの解析により人間の遺伝コードの46%がウイルス起源だということだ。我々のDNAは綿密に作られた設計図のようなものではなくウイルスの遺伝情報により生かされているのだ。
    天然痘・インフルエンザの突然発生も宇宙から飛来した可能性も高いといい、エイズウイルスも遺伝系統の歴史を調べるとやはり宇宙由来である可能性が非常に高いらしい。そうだ、あのエボラウイルスもそうかも!と。
    ダーウィンの進化論から考えてみても単一の進化で人間が生まれ言語能力も身に付くとは考えにくく、やはり何かのきっかけ、宇宙からのウイルスによる突然変異の方がはるかに納得がいくのではないかという意見には賛同できる。
    と言いながらまだまだ検証中の事が多く、筆者の思いで語られている箇所も多いらしいのでこの本の評価はまだまだ先の話であろうと思う。
    それより化学式とか記号とか全力で文系の俺には超苦手だし、途中理解できない所も多すぎて結構流し読みしてたのは真実であるw

  • どうやら生命体は宇宙からやって来ているようだ。太陽系の彗星が地球近くに来たときにウィルスあるいはバクテリアが地球に撒かれる? 
    何年かごとに流行る病気も彗星が原因?

    この本を読み進むとそういうことが「なるほど!」と腑に落ちる。

    人類滅亡...いやその前に人類のDNAを小さなカプセルに閉じ込めて地球から宇宙に向けて飛び出させることによって人類の滅亡は食い止められる。

    私たち生命体の今の姿はほんのひととき宇宙から借りている姿にすぎない。
    仏教の輪廻転生につながる...?

    宇宙には地球と同じ様な星がたくさんあって
    宇宙空間を細菌やバクテリアやウィルスが行ったり来たりしてその生命を継続させようとしている?

    細菌 ウィルス 植物 動物 人間...何者であっても
    自己破壊ではなく自己保存 自己永続 という命令(宇宙意識というらしい)を持っているとのこと。

    科学の本を読んでいたつもりがなんだかとても哲学的で最初はなんでこの本を借りたのか忘れてしまっていたのだけれど(ある人に勧められたのを思い出した)いやはや...
    生命の存在..宇宙とのつながり..
    命をつなげるということ...(生命体として)

    生命体の種は彗星によって宇宙から送られて来た細菌(?)によって生命体が変異したもの?
    ダーウィンとはどうやら違うよう...

    なんだかまだ頭の中でこんがらがっているけれど...
    宇宙てすごい...仏教って..すごい と思ってしまう。

  • なかなかおもしろかった。そうか、ビッグバンの他にも定常宇宙論なんてのもあるんやな。
    「天冥の標」とも通じる考えで、パンスペルミア説はすんなり納得できるんやけど、結局のところ、生命はどこから誕生したのかって解答はないままなんやなぁ。
    しかしヒトゲノムにウィルスの影響が大きいってこととか、百日咳、天然痘の周期と彗星の影響とか、おもろいもんやなぁ。

  • スリランカで赤い雨が降っていたなんて、この本を読んで初めて知った。そしてその赤い雨の正体は、どうやら彗星や隕石に関係しているらしい。

  • 生命の起源は宇宙にある。地球起源の生命誕生、ダーウィンの進化説を否定し、生命は宇宙より運ばれ、宇宙から運ばれたウイルスにより進化していったと説く。 タイトル見て、環境汚染の話かと思ったら、宇宙や生命の起源といったスケールの大きな話でびっくりした。

  • マイケル・クライトンの小説のアンドロメダ病原体を思い出してました。本の内容では詳細な分析が終わっておらず、途中経過のみの内容なため、なんとも不完全燃焼ですが、今後の調査結果に期待したい。

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著者プロフィール

1946年静岡県生まれ。
1972年東京大学博士課程修了。
複雑理工学、地球惑星科学専攻。
現在、東京大学大学院教授。
著書 『宇宙人としての生き方』
『お父さんと行く地球大冒険』(以上岩波書店)
『惑星科学入門』(講談社)
『一万年目の「人間圏」』(ワック)
『地球・宇宙・そして人間』(徳間書店)
『宇宙誌』(徳間書店)など多数。
テレビ出演・雑誌等で活躍中。

「2005年 『「人間圏」の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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