偽りの戦後日本

  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 71
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046533425

作品紹介・あらすじ

昭和20年8月15日の敗戦を、日本政治はいかに乗り越え、原発事故や米軍基地容認といった「新たなる敗戦」のその先を構想することができるのか? 日本とヨーロッパから相互に問いかける、ラディカルな政治対論。

感想・レビュー・書評

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  •  1990年代のベストセラー『人間を幸福にしない日本というシステム』などで知られるオランダ人ジャーナリストと、『永続敗戦論』の白井聡による対談集。

     「ま、この2人が対談すればこういう話になるわなァ」という予想の範囲内に収まる内容で、目からウロコが落ちるような驚きはない。
     それでも、随所に卓見があり、一読の価値はある本だ。とくに、舌鋒鋭い安倍首相批判にはある種の痛快さがあるし、日本がずるずると続けている対米従属姿勢が、いまや完全に時代遅れになっているとの指摘は傾聴に値する(『永続敗戦論』の反復ではあるが)。

     いわく――。

    《いまでもアメリカの属国状態が続いている。いくら政権交代をしたところで意味はない。結局、アメリカが認める範囲内でしか政策の選択肢がない。(白井の発言)》

    《官僚たちは、アメリカがすっかり変貌したという事実に目を向けていないのです。“昔のアメリカ”をベースに物事を考えている。だから、今でも対米従属が日本の利益に適うと信じ、全く疑おうとしない。(ウォルフレンの発言)》

     あと、「ほんとうにそのとおりだ」と思ったのは、白井の次のような指摘。

    《右翼は朝日新聞を嫌いつつ、実は過大評価してしまっているのです。日本の国際的評価を左右したり、内閣を潰すほどの力があると考えている。それこそ幻想に過ぎません。むしろ過去10年、20年にわたって、朝日の影響力は衰え続けている。(中略)
     ところが右翼はそうは考えません。朝日新聞やNHKといった大メディアが、今でも日本のリアリティを形づくっていると信じている。》

     暗い話が多くて気が滅入る本ではあるが、質の高い対談集だ。

  • カレル・ヴァン・ウォルフレン氏については、ヨーロッパ目線の日本通ということで彼の本を数冊読んで知っていましたが、白井聡氏についてははずかしながらこの本のことを知るまで知りませんでした(涙)。
    この二人には戦後日本についての歴史認識に共通する部分もありこの対話本になったのでしょう。
    久しぶりに質の高い歴史認識に基づく対話を楽しむことができました。
    内容は以下のとおりです。
    第1章 日本はふたたび戦争に踏み出すのか
    第2章 敗戦国の空虚な70年
    第3章 右傾化する日本人
    第4章 新自由主義が支配する世界
    第5章 終わらない「敗戦」を乗り越えるために
    でした。
    ところでお二人の会話の中で共通していたのは安倍首相の脳ミソのことでした(笑)。
    ということで、第5章の件については、一刻も早く安倍ちゃん内閣が退陣するのがポイントでるという認識で一致していました(笑)。

  • 「安倍には、北方領土、尖閣、竹島の領土問題を解決できる。なぜなら彼は右翼だから…」

  • 2016/03/17:読了
    白井聡っていう人は、注目かも

  • んーーーー。
    いまいち。

  • 安倍政治の良くない点を徹底的に洗い出しているのが痛快だ.奴の頭の悪さは分かっていたが,ご両人もそれをたびたび指摘している.アメリカに金玉を握られていることを早く取り去る必要があると痛感した.

  • 論者二人の,現在の日本に対する危機感がにじみ出ている対話録。読みごたえあり。

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。思想史家、政治学者、京都精華大学教員。著書に『永続敗戦論─戦後日本の核心』(太田出版/講談社+α文庫)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)など。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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