満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046534354

作品紹介・あらすじ

混迷の中で建国され13年で崩壊した満洲国。一極集中の特異な社会、急拡大した満鉄、石原莞爾ら陸軍エリートの苦悩――成立と暴走の要因を「東大話法」で話題の著者が解明する。現代にも通ずる欺瞞の系譜が見える。

感想・レビュー・書評

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  • 満州が大豆によって虎や豹のいる森が切り開かれ、地平線が見える畑になった。
    兵隊の楯に送り込まれた開拓団の農民たち。
    日本政府はきちんと戦後処理をせず、今また泥沼の戦争への道を突き進んでいるのでは。

  • 満州が城県経済なのに対し、関内は村レベルで市が立つため支配構造が全く異なるという話や、女真族にとっての聖地であったがゆえに開発されておらず肥沃な大地が広がっていた、そしてそれが大豆の大量生産を可能にし、日本の農地へ金肥としてわたってきたという話は興味深い。

  • 安富さん、お得意の立場主義のお話。

  • コレはわかりやすい。
    いまから歴史を繰り返すような気がしてならない。
    先行き不安すぎる。

  • 「大豆・満鉄・総力戦」
    バブル期の日本はまるで満州国のようだと先生が言ってたので、歴史に興味ないけど満州国の本を読んでみた。
    けど、バブル期の日本と満州国の共通点はよくわからなかった。過剰なインフレになったって点だろうか。
    序盤は満州国の変遷を書いた学術っぽい内容だけど、後半になるにつれて著者のイデオロギーが出てきてちょっと違うなと思った。
    「家」から「立場」に入れ替わり立場主義から現実主義という論調は理解できるけど、原発の話や「自分を取り戻す」という結はかなりズレてきたなと感じた。
    立場主義の、自分の立場を自覚しまっとうすれば上に引っ張ってもらえるというのはその通りで、これは「劇的な人間」として福田さんも書いていた。
    立場から発言し行動するというのが、ネガティブフィードバックを発生させてしまうんだろう。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    プロローグーそして森は消えた(緑に囲まれたユートピア/ポジティブ・フィードバックの破壊力)/第1章 満洲の成立ー絡みあう縁起が円環を成す(混乱の時代、混沌の空間/「満洲」はなぜ誕生したのか ほか)/第2章 暴走へのループが廻り始める(遅れてきた帝国主義「満洲国」/独断も結果さえよければ… ほか)/第3章 雪玉はだれにも止められぬ雪崩となった(軍略家石原莞爾の最終戦総論とは/陸軍エリート。総力戦を恐れる ほか)/第4章 満洲の崩壊ーそして魂の脱植民地化へ(「立場」が暴走し村ごと皆殺しにした平頂山事件/「現実主義」という妄想 ほか)/エピローグーあなたはあなたを取り戻す(本来の感覚を取り戻す/私が男装をやめたわけ ほか)

  • 東2法経図・6F開架:222.5A/Y66m//K

  • その昔、「共通一次試験」という時代のことじゃ。選択授業の日本史教師が「受験対策はしない」と言い放ち(日教組で有名だった)、好きなことを話した授業が「高校の日本史が届かない」と言われる近代史、満州事変であった。これが滅法面白く、夢中でノートを取ったのも今は昔。現代の日本人は満州について何も知らない。けどねー、めっちゃ面白いんで、みんな読んでください。満州は遠くない。地続きであることを知るべき(2019-08-22)

  • 満洲についての新しい知見、良かった

  • 東大話法で一躍有名になった、
    安冨氏が専門の経済史の分野から
    戦前日本を分析。
    満洲という大陸でも特殊な地域の統治に
    成功したことが、その後の日本の
    戦略を誤らせた可能性を示唆。

    さらに、事態を悪化させる日本の
    「立場主義」を明らかにしていく。

    日本型社会の、イヤな面をたしかに
    浮き彫りにしている「立場主義」という
    言葉。「魂の脱植民地化」がたしかに
    必要かも。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=5344

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授。1963年、大阪府生まれ。
著書『「満洲国」の金融』『貨幣の複雑性』(以上、創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『ハラスメントは連鎖する』(共著、光文社新書)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『経済学の船出』(NTT出版)、『原発危機と「東大話法」』(明石書店)、『生きる技法』『合理的な神秘主義』(以上、青灯社)、『生きるための論語』(ちくま新書)、『満洲暴走 隠された構造』(角川新書)ほか

「2021年 『生きるための日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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