故事成語の誕生と変容 (角川叢書)

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著者 : 湯浅邦弘
  • 角川学芸出版 (2010年9月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047021488

故事成語の誕生と変容 (角川叢書)の感想・レビュー・書評

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  •  原典での意味と、現在に通じている意味との間にズレのある故事成語を取り上げ、それらがどのような過程を経て変化したのかについて述べた本。その変化に大きく寄与していたのは類書だそうで、その関わり方が非常に分かりやすく説明されている。私はこの本で類書という存在を知ったし、有名な故事成語の原義や成語にまつわる寓話を知れたのも面白かった。

  • 杞憂、沈魚落雁など、原義と意味が反転したりズレがあったりする故事成語について、その原因の一端を「類書」に求めて考察している。そもそも類書について知らなかったので、そのあたりはなかなか面白かった。

  •  最初本屋で見たとき、成語に関する本がまた出たかと思ったが、なんとなく気になって手にとって少し読んでいくうちに、これは一般の成語ものとは一線を画す面白い本だと思い、購入して、その日のうちに読了してしまった。締め切りが迫っていた雑誌『東方』(2010・11 357号)の連載のテーマを「覆水盆に返らずの「盆」はどこからきたか」に変えるまでになったほどである。本書は、故事成語の形や意味がいかにして変容したかを追究した本である。とりあげられている成語は「杞憂」「沈魚落雁」「出藍の誉れ」「朝三暮四」「塞翁が馬」の五つ。「杞憂」は「天地崩墜」からなぜ「地」が取れたのか、「沈魚落雁」はなぜ逆の美人の意味になったか、「出藍の誉れ」の「出」は原書では「取」なのにどこで変わったか。「塞翁が馬」の「翁」も原書にないのに、どこで入ったか等々を問題にする。そして、それが類書による分類と改編の結果だという結論に導く。湯浅さんは、一つ一つの成語の変容を通して、「学問の下流化」が起きていることを言いたかったのだと思う。類書の利用といえば、古代日本人の漢籍の引用は、古典を直接読んだのではなく、類書を使ったのだという小島憲之氏の指摘を思い出すが、中国における類書の利用が成語の変容につながるという指摘はとても興味深い。

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湯浅邦弘の作品

故事成語の誕生と変容 (角川叢書)はこんな本です

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故事成語の誕生と変容 (角川叢書)の作品紹介

日本で現在流布している「故事成語」は、中国の原典にはない文字が入っていたり、意味が反転しているものがある。なぜこのようなことが起きたのだろうか。本書では、「杞憂」「出藍の誉れ」「塞翁が馬」などの具体的な熟語を手がかりとして、中国の百科全書といわれる「類書」(『芸文類聚』『太平御覧』など)に、これらがどのように記載されているかやその変遷を追うことで、故事成語の誕生を明らかにする。古典の中に記された故事が「類書」に採録され、テキストが変容することによって、もとの意味とは分離された成語が誕生する過程を追った画期的な論考。

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