異界と日本人 絵物語の想像力 (角川選書 356)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2003年9月9日発売)
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感想 : 7件
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- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047033566
感想・レビュー・書評
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内容は平易ですが面白い
タイトルに惹かれた方は是非手にとって見るべき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私たちは、通常生活する中で、境界を設定する。そうすることで秩序を生み出すことができるからだ。境界の内部、すなわち「われわれの世界」は基本的には安全で、友好的な領域であるのに対して境界の先の異界は、危険で何が起こるのかわからない未知の領域である。だからこそあえてそこに近づこうとしないのだ。異界に似た言葉で他界という語があるが、これは死後の世界や彼岸といった意味合いが強く、人間界とはある意味で分断されている。しかし、異界はより空間的に身近な世界である。もっと具体的にいえば、日本と外国というのは、境界を隔てた対立関係にあるといえる。その場合日本がわれわれの世界で、外国は異界となりえるのだ。本書は浦嶋太郎などの物語を通して昔の日本人がどのような異界観をもっていたか解説している。洋の東西を問わず異界という観念には日常や現実を異化する作用がある。自分たちの位置を、他の何かによって確認し、あるいはその見方を変革させることができるのだ。い会の物語はそういった点でも非常に重要な役割を担ってきた。