- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047034235
作品紹介・あらすじ
これまで、貴族の視点からのみ論じられてきた平安京。しかし、人口の大半を占めていたのは、貴族たちに仕える庶民たちである。彼らは貴族の供をして宮廷に出入りし、儀式を見物するばかりでなく、炊事、造酒、機織、あるいは鳥や魚の調達等、さまざまな職掌に励んでいた。なかでも牛飼童は副業で運送業をしていたのだ。当時の記録類を駆使して庶民生活を明らかにし、王朝時代の大都市の実像を初めて描き出す。
感想・レビュー・書評
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平安時代と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
大体の人は源氏物語、優美な世界、王朝文化、煌びやか…などなど、貴族の生活をイメージするのではないかと思うし、わたしもそうだった。
そんな中、平安時代の庶民たちに焦点を当て、当時に書かれた日記などの史料を読み解き庶民の生活を分析していく本書、めちゃくちゃ面白い。
序章から「庶民たちが内裏であばれた!」というような目を引く話で心を奪われる。
数々の文献や史料から、庶民の生活や主人である貴族との関係性、実際にどのように働いていたか、家や住所など、どんどん読み解かれていくのがとても面白い。
小右記や池亭記など、なかなか普段読めない日記や、庶民が書いたとされる古文書から解説してくれるのがすごくありがたいし貴重だと思う。
平安京は当たり前だが貴族だけのものではなくて庶民も生きていたんだなぁと改めて感じた。
そして平安時代に生きるなら貴族にならないとほとんど死んだも同然だなと…。
乞食の話も出てくるが、ある程度の地位にいないと生きていくのも大変そうだった。
すごい勉強になったし面白かった。ぜひ読んで欲しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
よししげのやすたねの『池亭記』の前半だけの翻訳が載っていて、これが大変参考になりました。
平安時代の貨幣の流通についてですが、「消された政治家菅原道真」という本によりますと、当時は貨幣が
消耗されてて、使い勝手が悪くなり、手形制になっていたのではという説でした。
しかし、この本にあるとおり、市での小商いは手形でというわけにもいかないので、やはり銭で支払っていたのかなと思いました。
しかし、「小右記」「権記」のような日記ならともかく、『大鏡』など
の文学作品を資料として使うのはいかがなものかと思います。「枕草子」の「常陸の介」のくだりなどは面白いですけど。お読みになる方は、そのへんお含みおきの上お読みいただくことをお勧めします。 -
資料としてなかなか読みやすい本。ここに記載されている資料からまたいろいろ探せそう。
牛飼い童が運送業という副業を営んでいて、しかもそこそこ儲けていたらしき事は、新見である。内裏に日常的に庶民たちが出入りしていた様子や、市での取引の様子が窺える。 -
がっこの教授に進められて読んだのだが、これはなかなか面白い。
平安京というと貴族が雅~に暮らしてるイメージしかない人にこそ読んでほしい。平安という時代にも確実に人間が生活を営んでいたことがリアルに伝わってくる。
小説ではないから抵抗があるかも知れないけれど、なかなか読みやすい本です。 -
貴族の日記等から、平安時代の庶民の様相を詳述されています。
その時代に生きていた庶民一人一人の名前が分かるというのは、歴史を知る上でとても魅力的です。
解文の原文も載せてくれているので、対比させながら読むことも出来て勉強になりました。 -
平安京に暮らしていた、庶民たちの生活風景を史料から読み解く、画期的(?)な本です。
この本の著者の繁田信一さんの著書は面白いですよ!
おススメです。
〈読了日:2009.3.14〉
〈所在:図書館(067200810972)〉 -
内容紹介:貴族の牛車を操る牛飼童は、運送業が副業で、おまけに博打好き! 平安京の人口の大半を占める庶民たち。その生活を明らかにすることによって、はじめて見えてきた王朝都市の実像。(TRC MARCより)
資料番号:011051406
請求記号:210.3/ シ
資料区分:一般書