神と仏の出逢う国 (角川選書 449)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047034495

作品紹介・あらすじ

神道はユーラシア大陸の東の果てで自然発生的に生まれ、形成されてきた日本人のしきたりだ。6世紀に仏教が日本に伝来すると、神と仏は寄り添い、民間信仰などを取り込み、日本独自の神仏観をかたちづくってきた。日本文化の底流を成す神仏習合の歴史を見直し、社会不安に満ちている現代で、平和に向かって何ができるのか。新しい日本的霊性を見出し、その可能性を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 日本文化の底流をなす神仏混合の歴史を古代から近世まで見つめる。面白い。
    これも日本史の歴史書のひとつだ。
    ハーンは神道には教祖も教団も教義も教典もないという。
    神道は日本人の中で発生した民族宗教で、
    仏教は心を制御する技法、心の解脱技術、儒教は「身」と社会(天下)を統制する社会統制技術、道教は個人の長寿(延命)技術で不老長生、不老不死を追求した。と分かり易い。
    明治期までは明快に進行したが、それ以降は同じようにはいかなかった、と感じた。

  • 「神仏習合」を基軸にして、古代から近代にいたるまでの日本の宗教史を著者自身の立場から概観している本です。

    著者は、「八百万の神」に祈りをささげるわれわれ日本人の宗教意識の基底をなしているのは「神神習合」だったと主張します。そのうえで、仏教の伝来以後の日本の宗教史においては、この基底的な宗教意識にもとづいて、「神仏習合」が推し進められてきたと論じています。仏教の影響を取り除くことによって神道の本質を明らかにしようとする試みは、しばしば玉ねぎの皮むきに喩えられますが、著者はそうした方法で日本人の宗教意識の基底を明らかにすることはできず、むしろ習合の事実を肯定的に認め、そのなかにこそ日本人の宗教意識の中核をなしているものが露見していると考えます。

    おおむね日本宗教史概論といった内容ですが、おおむね興味深く読みました。ただ、最後の章では、宗教の立場から現代のアクチュアルな問題にアプローチする試みがなされていますが、この部分は議論の粗さがめだっているように感じました。また、著者の鈴木大拙批判が大雪の立論を正確に踏まえたうえでなされたものではないことは、前著『神道のスピリチュアリティ』(作品社)のレビューでも述べたのですが、本書でもそれとおなじような問題を含む主張がくり返されています。

  • 神仏習合~神仏分離について知りたかった。
    目的は達成できたし神道のバックグラウンドもよくわかった。

    後半はほぼ民俗学。
    とりあえず、「まじ神なんだけどー!」って使い方は起源から考えると全然間違ってない。

  • 伊勢神道と荒木田家と禰宜について。

  • 奈良時代から現代までの神道、仏教の流れ。
    渋い一般教養授業のようだった。
    筆者の「国学者は歌詠みでなければならない」という言葉は感動。

  • 日本において神仏習合が時代とともにどの様に進んでいったのかを知りたく読んだのだが、本書では日本のそれぞれの時代で神道と仏教がどのように許容されてきたのかが述べられていた。
     読書の意図(目的)と選んだ本が合わなかった。

  • 11/07/01。
    国学を単純に近代の天皇制国家と結びつけて考えないこと。
    日本文化の基層にあるものを明確に捉えること。

  • 日本の信仰の根源を習合(的風土)に求め、それをもとに古代から近世に至る宗教史を非常にわかりやすく書いてある好著。わかりやすく門戸は広いけれど、決して本質をぼやかしたような内容ではないので、読む人によっては考えるヒントに満ちているのではないだろうか。

  • [ 内容 ]
    神道はユーラシア大陸の東の果てで自然発生的に生まれ、形成されてきた日本人のしきたりだ。
    6世紀に仏教が日本に伝来すると、神と仏は寄り添い、民間信仰などを取り込み、日本独自の神仏観をかたちづくってきた。
    日本文化の底流を成す神仏習合の歴史を見直し、社会不安に満ちている現代で、平和に向かって何ができるのか。
    新しい日本的霊性を見出し、その可能性を問う。

    [ 目次 ]
    第1章 神と仏の原理的違いと習合化のメカニズム―神神習合から神仏習合への流れ(法螺貝から始まる;「神」と「仏」の出逢い;春日大社「おん祭」;「神=カミ」と「仏=ホトケ」の原理的違い;「神道」と「仏法」;『古事記』と『日本書紀』と『風土記』)
    第2章 古代律令神道・律令仏教から中世神道・中世仏教へ(記紀神話の成立とその要点;「神道」とは何か;外来宗教としての仏教;七世紀の宗教革命;最澄と空海;霊的国防都市としての平安京;古代世界の崩壊と中世世界の始まり)
    3章 中世における神と仏(伊勢神道の成立と特徴;吉田神道の確立と特徴;神国思想と豊臣秀吉及び徳川家康の切支丹禁止政策と鎖国)
    第4章 国学(古学)と幕末維新期の神道と仏教(古代神話―調停的・分治的一者の確立;中世神話―根源的・個的一者の確立;近世神話―仮構的・内向的一者の確立;近代神話―対抗的・外交的一者の確立;柳田國男と折口信夫の民俗学と「新国学」)
    第5章 神仏分離(判然)から神仏共働へ―新神仏習合の時代へ(五つの神話とその現代的意味;戦争と平和;戦後神話、柳田國男と折口信夫の新国学再論と霊性の立場;今日問われる日本的霊性)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本の宗教と文化に関する入門書ともいえる本。
    本当にわかりやすくかいてあるから
    大学生、高校生でもばっちりよめる!

    留学にいく、海外へいくすべての人、
    帰国子女にぜひ読んでほしい本。
    日本文化って?あなたの宗教は?って問いに
    答えられるようになる一冊。

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著者プロフィール

1951年、徳島県生まれ。國學院大学文学部哲学科卒。武蔵丘短期大学助教授。著書に『神界のフィールドワーク』『記号と言霊』(青弓社)、『翁童論』『老いと死のフォークロア』(新曜社)、『場所の記憶』(岩波書店)他。

「年 『記号と言霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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