真田信之 真田家を継いだ男の半生 (角川選書 569)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
3.46
  • (1)
  • (5)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 47
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035843

作品紹介・あらすじ

真田信之の存在は、大坂の陣で華々しい活躍をした弟・信繁の存在の陰に隠れがちであった。信繁の驚異的な奮闘は真田一族の名声を高めたが、それは江戸時代に真田家の正統が存在していたからこそであった。戦いから平和への時代転換のなかで、信之はいかにして真田家の存続を図ったのか。政治的な動向と領国支配の実態を明らかにしつつ、沼田城から上田城に本拠地を移すまでの半生を、史料に基づき丹念に追いかける。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 真田信之の存在は、大坂の陣で華々しい活躍をした弟・信繁の存在の影に隠れがちであった。信繁の驚異的な奮闘は真田一族の名声を高めたが、それは江戸時代に真田家の正統が存在していたからこそであった。戦いから平和への時代転換のなかで、信之はいかにして真田家の存続を図ったのか。政治的な動向と領国支配の実態を明らかにしつつ、沼田城から上田城に本拠地を移すまでの半生を、史料に基づき丹念に追いかける。(2016年)
    ・はしがき
    ・第一章 関ヶ原合戦までの信之
    ・第二章 徳川政権との関係
    ・第三章 領国と家臣団の再編成
    ・第四章 親しき人々との交流と別れ
    ・第五章 領国支配の再編成
    ・第六章 大坂の陣における信之
    ・第七章 沼田城から上田城へ
    ・主要参考文献
    ・真田氏発給旧文書一覧
    ・あとがき

    帯には、真田信之を論じたはじめての本格評伝とある。父昌幸、弟信繁に隠れ、いぶし銀のような存在である信之であるが、なぜ、これまで本格評伝が出されなかったのだろうか。著者は、ひとえに信之の生涯の長さにあったとみている。大名研究の基本は、発給文書を集成するところにあるそうだが、信之については治世の長さ(約70年)のため、その間にだされた文書の数量は現在においても把握されていないという。著者は本書で、信之の前半生を区切りとしている。
    従来説を見直す部分、あらためて浮かび上がってきた部分など、史料に基づいた信之像を知る事ができお勧めである。

  • 近世真田家を築いた生涯のうち、主に関ヶ原から大坂の陣を経て本拠を上田に移すまでの半生を追う内容。政治的な事跡と並行し、領国統治に苦心する姿や、政権や身内との交流なども詳しく紹介されていて、社会の転換期に対応する為の苦労が偲ばれる。

  •  真田信之の単独での評伝はおそらく本書が史上初であろう。父の昌幸と弟の信繁の名声に比して「地味」な扱いをされがちだが、近世大名としての治績でははるかに優れていたことがわかる。中近世移行期、幕藩体制初期の農政・民政の実状(たとえば生産力確保のために身売り百姓の債務を肩代わりすることさえあった)、「兵農分離」の実態(たとえば関ヶ原や大坂の陣の時点でも軍役人員を確保するため百姓の臨時被官化が行われていた)を知る上で有益であった。50代以降の後半生(信之は93歳まで生きている)が全く手つかずだが、今後の課題であろう。

  • 真田藩祖となった信之の関ヶ原以降、大坂の陣までの事績を発給文書をもとに紹介。
    関ヶ原後に父の所領をスムーズに継承したり、遠慮して改めたという信幸の名前を一時期復活させたりと、幕府とは上手くいっていた印象を受けた。病気で江戸から動けない信之と国許で政治にがんばる某家老のやりとりが面白い。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1965年、東京都に生まれる。1995年、駒沢大学大学院人文科学研究科博士後期課程満期退学。現在、駿河台大学法学部教授。著書に『中近世移行期の大名権力と村落』(校倉書房、2003年)、『戦国大名 政策・統治・戦争』(平凡社新書、2014年)、『百姓から見た戦国大名』(ちくま新書、2006年)など。

「2021年 『戦国「おんな家長」の群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒田基樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×