日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)

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著者 : 山本七平
  • 角川グループパブリッシング (2004年3月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047041578

日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)の感想・レビュー・書評

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  • 日本研究者であり、陸軍少尉として南方戦線に立っていた著者が戦争の敗因について考察し、その考察からは日本人と言うものが見えてくる。

    日本の敗因は、アメリカが圧倒的な物量を持っており、日本が少なかったからではない。

    敗因は日本人のなかにこそある。そして、敗因を反省しないので、この日本人としての特性は戦後も全く変わっていないということも指摘している。


    例えばその一つ。戦中日本を取り巻いていた「或る力」に拘束され、明言しないことが当然しされてきた。みな、心にもない虚構しか口にしない。これは戦前戦後を通している原則である。

    このことは、昨今の自粛という言葉が日本を覆っていることに共通性を見出してしまうのだ。

  • 本中にバシー海峡というのが数多く出てくる。 狭い海峡ではあるが、台湾からフィリピンへ陸海軍の将兵を渡す途中でアメリカ軍の潜水艦に輸送船を沈められ、5万人近くが亡くなっている。

  • 今も、戦前と変わらない日本人の思考様式を再発見することができる。

    ・いきあたりばったりの思考
    ・量だけ増やして同じ方法をやめれない
    ・ネガティブな事実をニュートラルな言葉に置き換えて、真実か目をそらす気質
    ・思想的貴族の、真の貴族の不在。
    ・押し着せられた、思考や組織を採用して、うまくいかなないときにどうにも動けない日本人
    ・芸の絶対化。職人礼賛的な思考様式が、結局は、その職人を成立させている前提条件が変わっても、それを認めようとせずに、それを貫きとうし、最後に崩壊するまで続ける
    ・思想的不徹底さ。。。

    書ききれないが、すべてが現代の日本にも通じている。

  • 第二次世界大戦で、日本はなぜ敗れたのか。戦時中、従軍して捕虜になった体験を持つ評論家が、日本の敗因を徹底的に追及して分析する。そしてその敗因は今も取り除かれることなくこの国を支配しているという。

    【敗因二十一カ条】
    精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事/物量、物資、資源、総て米国に比べ問題にならなかった/日本の不合理性、米国の合理性/将兵の素質低下/精神的に弱かった/日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する/基礎科学の研究をしなかった事/電波兵器の劣等/克己心の欠如/反省力なき事/個人としての修養をしていない事/陸海軍の不協和/一人よがりで同情心が無い事/兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた事/バアーシー海峡の損害と、戦意喪失/思想的に徹底したものがなかったこと/国民が戦いに厭きていた/日本文化の確立なき為/日本は人命を粗末にし、米国は大切にした/日本文化に普遍性なき為/指導者に生物学的常識がなかった事

    1章 目撃者の記録
    2章 バシー海峡
    3章 実数と員数
    4章 暴力と秩序
    5章 自己の絶対化と反日感情
    6章 厭戦と対立
    7章 「芸」の絶対化と量
    8章 反省
    9章 生物としての人間
    10章 思想的不徹底
    11章 不合理性と合理性
    12章 自由とは何を意味するのか

  • 名著、著者の体験と軍属の化学者の(きわめて客観的な)記録を下に、日本が第二次世界大戦で敗れた理由について、全11章に渡って述べている。戦争と言う極限状態において起きた悲惨な事実から、日本人の本性とそれ故に抱える問題を指摘する。さらに筆者は「日本は反省力なき」故に戦後30年経ても、それらが改善されていないと続く。戦後70年経った現在はどうであろうか?書の後半で述べられる日本の将来に向けた提言は現代でも一読の価値がある(一読の価値があることが問題であるが、反省力なきゆえ仕方ないのか)

  • いちいち、つくづく、七平さんの指摘のとおりだと思いました。
    以前に太平洋戦争の本を読んだときには、あの戦争は、現在の自分とは無関係の、過去の、主に男の人たちのやったことと思っておりましたが、これを読んで、今の自分の中にあるものと痛感したことが多かったです。
    七平さんはこの日本人の特徴は、明治以来続いている、と書いていましたが、私は薩摩藩が関ヶ原で正面突破したときにすでにあらわれていたように思いました。

  • 日本が第二次世界大戦でなぜ負けたのか?
    戦前・戦中・戦後を生きた著者山本氏(戦時中軍人→捕虜→帰国)が、戦後からの視点・思い出で語られた分析・批評ではない、一国民・一文官(陸軍付き)として戦争を体験した小松真一氏(戦時中軍属文官→捕虜→帰国)の記した「虜人日記」(山本氏曰く現地性・同時性をもった目撃者の記録)を元に、日本の敗因について記述。

    小松氏の挙げた敗因21ヶ条や山本氏の解説分析する出来事(バシー海峡の悲惨であまりに知られていない出来事、員数と実数、ルソンでの日本軍・軍属の出来事、山での出来事、pw・収容所での出来事、現実と虚構等々)は、現在の日本でも当てはまることが多いと痛感。

    ・・・戦争を経ても真の意味の反省ができておらず、あまり変わっていないかも。。。

    あとがきより・・・
     兵士であるのに戦場にも着けず、海の中に消え、餓死し、住民に虐殺され、人肉を喰らうところまで追いつめられ、また食われた人々。
     彼らに「安らかに眠れ」とは言えない。・・略・・
    敗戦の、原因と責任者の究明は、いまだ終わっていない。しかしそれをしなければ、また地獄を見る日が来るのではないか。・・・平成16年イラク報道に接しながら・・横山氏

    明るい希望もある。「無一物中無尽蔵」

  • 小松真一氏の『虜人日記』を引用しながら、戦後に広まった通説と戦場の実際との比較や、その場にありながら「観察者」たる視点を持ち得た立場から見た、当時の異様さを記述。

    p118 引用と要約
    「 引用
    人間の社会では、平時は金と名誉と女の三つを中心に総てが動いている。…略…
     戦争は、ことに負け戦となり食物がなくなると食物を中心にこの闘争が露骨にあらわれて、他人は餓死しても自分だけは生き延びようとし、人を殺してまでも、そして終いには死人の肉を、敵の肉、友軍の肉、次いで戦友を殺してまで食うようになる。
    …略…


    文化とは、「それが表すものが『秩序』である何ものか」
    人が集団としておかれ、特に規律のない場合、伝統的文化に基づく秩序に従う筈。捕虜収容所で日本人が築いた秩序は、その時点における民族の文化と思想をさらけ出した。暴力が支配する秩序だった。


    物資がない、反省がない、彼我の戦力差の計算ができない、精神で物資の不足を補えると考えている、……

    員数さえ揃えばいいという大本営の考え方が恐ろしかった。
    南方に送られる舟、「船艙一坪あたり十四人」カイコ棚式に二段になっていて、換算すれば一坪七人ではある。が、高さは胸までしかない段で、ひとたび船艙に入れば直立出来ない。
    便所は、甲板の外に箱様の小部屋が設けられていて、垂れ流されたものが船の外壁を茶色く染めている。
    人の温気で、常に温度湿度が高く、思考は停止する。

    p62
    「ナチの収容所の中で最悪といわれたラヴェンスブリュック収容所の中の、そのまた最悪といわれた狂人房のスペースと同じなのである。おそらくこれは、これ以上つめこんだら人間が死んでしまう、ぎりぎりの限界である。」

    バシー海峡というのは初めて読んだ……
    そこは、人が死ぬためだけに送り込まれた場処だった。兵が足りないと言われて、数あわせのためだけに人を送り、食料も兵器もなく。
    敵が前線に攻めてくれば、塹壕を捨てて後ろへ走り、また塹壕を掘る。こもる。攻めてくる。逃げる……武器がないから、殺されるためだけにそこにいる……

    引用で紹介されている今井部隊では、二千名の兵員に対し三八銃が七十丁。

    兵士の数がある、と言えば質も内容も問わず、それでよしとして、「やれるだけのことはやった」というためだけに、その数としての人間を送り込み続けた。

    日露戦争からの反省もしない。
    飢餓状態にあっても人が人間としての精神を保っていられると思っている。
    など……

    戦友の遺骨や遺髪を持ち帰ろうとしても、同じ日本兵の上官、というか帰還時の列を見張っていた位が上の兵隊が捨てさせるとか……民間人の方が軍人らしく振る舞おうとする心理なんか、ミルグラム実験じゃないか。権威に従って、自らをすり合わせる。

  • 14/09/22。

  • medtoolz経由、ビジネス書として手に取ったが、戦争の描写がストレートで怖い。
    よくある、演出された映画っぽい戦争の怖さではなく、ストレートに現場目線で書くとこうなるのか、という感じ。『虜人日記』も読んでみるかも。
    ビジネス書として見た場合、敗因21ケ条は、社内でも政治でも福島でも日常的に見られる光景なので、とくに目新しいことは無い。「歴戦の臆病者」がよいね。
    この記事は1975年に書かれているが、日本人はこれを読まず『中国の旅』を読んだということだろうか。

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