健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)

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  • 角川書店 (2005年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047100060

健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)の感想・レビュー・書評

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  • この二人って本当に気が合っているのかなあ、という疑問が。
    まあ終始穏やかで大人の対談なんだけど。

    内田樹はあくまでフィジカルで、
    且つ文学者、しかもフランス文学だから、
    感覚的なものを信じている。
    一方で春日武彦は闇を抱え、
    冷静にロジカルに物事を捉えている、
    といった印象。
    全体的に推す内田樹に対し、
    春日武彦は少し引いている。
    職業柄そういう話の仕方が癖なのかもしれないけど。

    『健全な肉体に狂気は宿る』というタイトルは実にアイキャッチで
    私もタイトル買いをしたクチなのだが、
    これには私が感じたような文学的意図はなく、
    本当に読んだ字のままでした。
    なので期待が裏切られたがっかり感も。
    でも、体が弱っていくと精神は健常になっていく、というのは面白い。
    狂気というのはある種動物的には余剰の現象という事実。
    若干タイトル負けしている感はなくはないが、
    引用するのも理解できる行(くだり)。

    でもね、内田樹は嫌いではないけれど、
    フランス文学を読んでいるのでそれなりの機微はわかるんだろうけれど、
    基本太陽の下で肉体を鍛えている人には、
    現代に生きづらさを感じている人たちの病みはわからないんじゃないかなあ。
    まあ昨今はただの甘えも多いようなので、
    そういう時には内田樹論のような考え方も必要なのは絶対だけど。
    春日武彦は、まあ自身が病んでいる(た)人なので。
    やっぱりそういう人が精神科とか神経科医を目指すのかも。

  • だいたいおんなじいつものあの話。
    まーでも飽きない。

    賢いリスクヘッジをしたと思っている人は、
    無意識的にリスクの多い選択をしてしまうという例えに、
    中古車の話をしている。

    「ぶつけても大丈夫なように中古車を買ったら必ずぶつける、
    だってそうしないと中古車を買った意味がないんだもの。」
    これ至言。

    また、
    人間が「個人」になるプロセスの話が面白い。

    これはラカンの鏡像段階とか、
    先ごろ読んだ「ミラーニューロン」にも近いものがあって、
    産まれた時、
    人は世界全体と溶け合っていて、
    自分とそれ以外という分節をしていない状態にある。

    だから、
    「個人」としての「自分」がまずあるのではなく、
    「全体」としての「自分」が先立ってあるのである。

    それを家族という共同体に置き換えると、
    「私」という個人がまずあるのではなく、
    「○○家の次男(例えばです)」という役割がまずあって、
    そこから徐々に「自己」を立ち上げていくというプロセスを経ているのである。

    釈迦牟尼の「縁起」と「空」という考えも、
    こういった自己生成過程に沿った考えのような気がするなぁ。

    また、
    核家族の閉塞性という話も興味深かった。

    「父」「母」「子」の三項だと、
    関係性や価値観が膠着してしてよくないから、
    「おじさん」乃至は「おばさん」(子と対になる性)を入れて、
    四項にしておくと開放性が保たれて上手くいくらしい。
    これは、あきらかにレヴィ・ストロースだった。

    わたしもよいおじさんとしての地位をなんとか気付きたいものです。

    それにしても内田先生は相変わらずおしゃべりな「男おばさん」である(褒めてます)。

  • 内田樹は好きですが、たまに難しい言い回しで分からないところがありますw 
    自己実現っていう言葉を私語にしてほしいというのは同感。(よく使っちゃうけど☆)もう自己責任とか、自己実現とか、その言葉が一人歩きしてるような気がして。

    キャリアは自分で形成するものではなく、向こうから扉が開かれないと、積んでいけないんだよっていうのはメモしとこ。資格をとってとか、こういうキャリアを積んでとか、そういうのは大事だけど、何より求められているのは、経験やその場で何ができるか、把握する力だから。

    こういう対談って、その空間で観客として聞いてるような感覚が、とても好きで、やはり専門家同士の知識と考え方の交換というのは、大変楽しいものだと再確認どす。

  • 「人間が精神的に健康である条件」
     ・自分を客観的に眺められる能力
     ・物事を保留(ペンディング)しておける能力
     ・秘密を持てる能力
     ・物事には別解があり得ると考える柔軟性

  • これもオーディブルで聴いてみました。my心のメンター、内田先生と、結構興味深い本を書くなあ、と注目している精神科医春日武彦さんの対談本。
    どちらもそれぞれ面白い方なので、どんなに話が広がっていくのか?興味があったんですが、あまり盛り上がってはいないかな?という感じ。
    だけどいくつか印象的だった話もあって「十字架のペンダントの効用」という話はなかなか興味深い。
    ペンダントを首からぶら下げるという事は、常に大地に対して垂直に向かっているものを身体に身につけている、という事なんですね。つまり、自分が大地に対して(地球の重力に対して)まっすぐ立っているのか?またはずれているのか?それを測るための基準になるというんですね。やはり姿勢は出来れば良いに限りますしね。なるほどなるほど、と思いました。基準がないと自分がどんな姿勢で立っているのか?わかりませんからね。
    それは精神的なものに置き換えても考えられるだろうなあ、と僕は考えました。心の基準となるもの、それはある人によれば今週のテーマである習慣とかルーティンかもしれないし、ある人にとっては宗教的信念であったり、または哲学であるのかもしれない。
    まあ、完全なる基準というものはあるのかはわかりませんが、心の中の十字架のようなものを持っているのか?暫定的であっても、そのような基準を持っているのか?いないのか?結構違ってきますよね、生きてる実感みたいなものが。
    というような発想が生まれたりするので、前述した通りイマイチですが、ところどころ役立つ一冊でもありました。
    2017/04/08 15:12

  • 読了。対談本であった。人は誰でも邪悪さを持つと知って、手に取ったら本である。10年ほど前の本だ。たぶん同じころに、名越康文と内田樹の対談本で、14才の子供を持つ親たちの本を読んだことがある。その本は、子供の持つ不可解さを説明した本であったが、この本は、大人も含めて、狂気があることを語った本である。狂気のコントロールのヒントもかかれていたと思う。

  • コントロール願望の強い人というのは、相手と自分の区別がつかないから、自分が思う幸せを相手に強要する。自他の基準が違うということがわからない。

    結婚生活のトラブルというのは、その八割ぐらいは双方の親族が原因で起こるんです。パートナー同士の間で起こるトラブルというのは、ほとんどがごく簡単な話し合いで調停可能だけれども、第三者、特に自分の配偶者の親族が関わっているトラブルというのは調停が難しい。

    #

    上記、本文内より抜粋。

    久しぶりに内田樹さんの本を一つ読んでみようかな。

    と、いう軽い気持ちで読みました。

    精神科医で、色々文筆活動もされている、春日武彦さんとの対談本。
    対談本ですし、読みやすことこの上なく、するすると読了。

    ただ、一冊の本としてはけっこう、不満。

    なんだけど、部分部分面白い。

    話題としては、今はやり?の毒親とか、家族関係、自分探し、などなどについて…だったのかなあ。

    以下、続いて面白かった「部分」の、抜き書き。

    ちなみにタイトルは、すごく雑に言うと、健康がどこか悪い人っていうのは、精神を病むことが少なくて。元気な人のほうが、多いんです、という、春日さんの言葉でした。

    #

    「あなたになんか、私の気持ちがわかるわけない!」なんて絶対に言ってはいけません。そんなこと当たり前なんだから。「私の気持ち」がわかるひとなんか世界に1人もいない。自分だって自分が何を考えているのかわからないのに、他人にわかるわけがない。

     関係を壊すのはほんとうに簡単なんです。50年かけて育んだ愛や信頼だって、壊すのは1秒で足りますから。

    人間が精神的に健康でいられる条件を考えてみると、秘密を持てるということが大きいんじゃないかなと思うんですね。「それは秘密です」とか「それについてはお答えできません」でいいじゃないですか。

    結局、ペンディングに耐えられるかどうかという話なんです。どんどん物事が解決して、答えがすぐに出てくれれば、こんなに楽なことはないんです。「時間」というファクターは想像以上に重いんです。決断できない状況でも、それをある程度時間的に維持することさえできたら、とても解決できそうもないように見えた問題がイッキに決定し強引が成るということは間々あるんです。
    育児を経験すると、即断即決なんてできないことのほうが世の中は多いということがよくわかります。

    「あなたにとって人生の重大事件は?」ということを訊くと、「第1子誕生」というのはかなり上位に来るんです。ところが、第二子誕生っていうのは、四十七位くらいなもので(笑)、ほとんど親に何の感動ももたらさない。

    常識人は決して狂信的にならない。それが常識の手柄なんです。常識に基づいて人を批判しても、徹底的に傷つけることはできないんです。唯一常識だけが、原理主義にならないということが常識の強みなんです。マルクス主義、フェミニズム、キリスト教、間違えると原理主義になってしまう。でも、常識だけはならない。「常識の名において断罪する」ということができないんです。「何かの名において人を断罪する」というのは、常識で考えていかがなものか…と。

    人は愛されなくても生きていけるけど、敬われなければ生きていけないんだ。

    人間が精神的に健康である条件を4つ。
    ●自分を客観的に眺められる能力。
    ●物事を保留しておける能力。
    ●秘密をもてる能力。
    ●物事には別の答があり得ると考える柔軟性。

    #

    一冊の本として言うと、なんていうか、「で、いったいなんだったの?」という散漫な作りが目立ちますね。
    これは編集サイドの杜撰なのか、どうかわかりませんが。

    どうも、曖昧すぎる感じの議論で。

    ほとんど、テレビの時間つぶしのワイドショーの「ご意見番」さんのお話みたい(笑)。

    おふたりのお話が、どんどん、上から目線。
    「俺はこうやってうまくやってきた」「俺はこういう人間だからさ、そういう問題ないのよ」「僕ってほら、ちょっと変わってますからねえ。ふふふ」「俺達みたいに若い人はなればいいのになあ」みたいな、醜悪この上ない自慢話になってきたり…。

    面白い部分は面白いんですけど、あまりに作りが雑。

    対談本なんだから、テーマの設定の仕方とか、持って生き方とか、編集の仕方で、「ここまで酷い本にならなくできるんちゃうか?」と思ってしまいました…。角川ONEテーマ21っていう新書シリーズなのかな…チョット今後、気をつけようっと…。

    内田さんも、春日さんも(春日さんの本って読んだことないですが)、初めて読む人がこの本に当たらないことを祈ります(笑)。

  • 哲学的で面白いけど。。

  • 大学教授の内田樹さんと精神科医の春田武彦さんの対談集。
    このお二人の本を読むのはこれが初めてになります。
    武田鉄矢さんのラジオ「今朝の三枚おろし」という番組で内田さんの事を知り、興味をもって手にした一冊です。

    何となく読む前にパラパラッとめくって感じてた通り、私には難しい内容でした。
    ・・・と言うのも、お二人の頭のレベルや精神レベルが高すぎて私にはついていけないからですが、難解というよりは深い事をさらっと言っていて、そのさらっと言う事を本当に理解するというのが時間がかかるという感じ。
    でも、その難解さを置いといてもとても面白く興味深く読む事ができました。
    私の印象としては、どうも世間一般で言われている事の反対の事を言っているというイメージで、それがひねくれているんでなく、ちゃんとした考えをもって納得させてくれるという感じです。
    例えば結婚生活は楽しいだとか、家族の対話は少ない方がいいとか、タイトルになっている健全な肉体に狂気は宿るだとか・・・。
    もちろん、中には私はそれは違うと思うという考えもありましたが、それはそれで楽しく読む事ができました。

    個人的に最も記憶に残っているのは、『「賢いリスクヘッジ」の方法を講じたと思っている人は、どうやっても無意識的にリスクの多い人生を選択してしまうでしょう』という話です。
    どういう事かと言うと、独身女性が将来結婚しないかもしれない、そのまま歳をとると賃貸マンションを貸してもらえない、だからマンションを35年ローンで購入するという事をすると、自分の選択が正しかったという事を自分で自分に証明しなくちゃいけないという無意識の圧力が働く。
    それで、「あの時ローンを組んで良かった」という事を証明するためにその後の人生の選択をしていく、というもの。
    なるほどな・・・と感心しました。

    また、雑談的に話している中にも、世界の五大陸を制したハリウッド映画は過去に一つしかないとか、声は人格とリンクしているから変えられないとか、ただの読み物として面白いと思いました。
    ただ、私がこの本の中から受け取れたのはほんのごく一部だとは思います^^;

  • 内田樹と春日武彦の対談です。おおむね内田のほうが春日の専門領域にアクセスを図りつつみずからの思想を語っているという印象です。

    精神の病に逃げ込むことで「低値安定」してしまう人びとが増えていることへの危惧が語られ、身体に基づく知の衰えを嘆くなど、かなり思いきった発言が飛び交っていて、刺激的な議論でした。

    春日の著書にはかなり「とんがった」言葉が散見されるのですが、本書ではむしろ内田のラディカルさがストレートに出ている印象です。内田にしてはややバランスを欠いているような気もするのですが、こういう思いきった言葉が聞けるのも、対談本の醍醐味かもしれません。

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