サムスンの決定はなぜ世界一速いのか (角川oneテーマ21 C 200)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年4月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047102828
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
サムスンの特徴がわかる。
すべてが良いわけではないが、見習うべき点も多い。
ただ、日本人らしさをどこで出すか、よく考えることが必要 -
日立、日本鋼管でCADシステムの開発に従事し、その後サムスンに引き抜かれて10年近くサムスンの役員としてCADシステム導入を主導した著者が、サムスンが日本企業を凌駕していき、一方日本企業はかつての地位を失い凋落していった、その原因を分析し、警鐘を鳴らした書。
サムスンは、アジア通貨危機以降、日本企業に追随するのをやめ、日本企業と違った道、すなわち過剰品質にならないグローカルな製品開発やデジタル化・モジュール化によるコストダウン、
デザインや価額等の「表の競争力」重視の戦略に舵を切って成功した、という。このような大規模な戦略転換は、失敗を恐れない意思決定の速さがあって初めて実現可能だったのだとも。
2011年に執筆された書だが、著者の警鐘虚しく、その後も日本企業が再浮上することなく現在に至っている。
著者は、韓国は「金と度胸といいとこ取り戦略」、中国は「金と脅しといいとこ取り戦略」、日本は「伝統と伝承と負け惜しみ戦略」と読んでいるが、これはどうなんだろう。的を射た指摘なんだろうか。確かに日本企業は真面目で愚直、またいい加減を良しとしない、職人気質ということはできるかもしれない。
面白かったのは、サムスンの李健熙会長が松下幸之助を尊敬し、その経営哲学を受け継いでいる、ということ。サムスンは、二番手商法で儲けるナショナル・パナソニックの戦略を徹底して成功した、とも言えるんだな。
何れにしても、日本の大企業の多くは保守的で、既得権にしがみついてばかりでチャレンジ精神に乏しいから、進取の気質に富む新興・ベンチャー企業へと世代交代していかないとダメなんだろうな。 -
サムスンのフランクフルト宣言以降の成功のポイントを書いた本.筆者はサムスンに籍を置き,CADシステムの構築を行ったそう.
的外れかなと思える箇所もあるが,個人的に参考になったのは以下のポイント.
■PDMの導入による開発スピードの向上
PDMの導入によりあらゆる職能で開発の進捗が共有でき,並行作業によるスピード化および手戻りロス削減に繋がるとのこと.自分の専門はSCMなので,あまり開発軸のITには詳しくないが,PDMは開発に閉じた狭いITというイメージがあったため,認識を改めるきっかけになった.
■お客様基点のマーケティングメソッド
お客様が望む価格,デザイン,機能,品質から積み上げて商品企画を行っているという印象を受けた.日本が出遅れた原因は,現状の製品から引き算で諸外国向けの製品を企画しているとのこと.
「日本のメーカーはグローバル化に出遅れた」と一言で切って捨てる記事が横行しているけども,もう一歩出遅れた原因を深堀りできるかもしれない. -
つい先日も業績好調だというニュースがあった韓国のサムスン電子の強さの秘訣にせまった一冊。サムスンの強みについてはもう知っている情報がほとんどで、あんまり新鮮味はなかったけど、サムスンと比較した場合の日本企業の弱さについては色々と考えさせられた。
いちばん強烈だったのは「『慎重』といえば日本人の美徳として捉えられますが、言葉を換えればそれは、『意思決定が遅い』ということにほかなりません」(P153)という著者の言葉。すごいスピードで動いているグローバル経済の中では、日本人の美徳は大きな弱みになってしまうのかも知れない。
しかし、調和を重んじる日本人が慎重でなくなることはあり得るんだろうか。思い切ってトップが決断しようとしたら、どこかの重工業の会社みたいに、そのトップが追放されちゃうことだってあるのにね。 -
サムスンがなぜグローバルに舵を切りどのようにして強くなったのかがわかる。
とくに、プロセスイノベーションのくだりは、自分たちにも取り入れようと思う
もの+つくり
に分けて考えることにも感銘。
スピード中にも細やかさをいれていける仕組みが大事。 -
ビジネスのスピードを劇的にアップさせなければいけないことは日本企業のどこもわかってはいるが、できずに足踏みを続けている。その処方箋のひとつとしてサムスン式経営は参考になる部分もあると思う。
-
うちの会社も意思決定が遅く、題名に気になり購入。
意思決定スピードを上げる仕組みはもちろん、韓国人の性格「始めたら半分終わったも同じ」も影響。作者は韓国には徴兵制度があるからとか常に危ない国に近接してるから」と言ってますが実際どうなんでしょ -
何かと話題のSamsung本を読み終わった。
よく仕事をする、market drivenな合理的思考に基づいてアプローチする姿勢は、素直だと思う。
日本の製造業は、どうしても哲学的、ウェットなメンタル的な要素を、無理矢理にでも作ろうとしたり、あるいは全てを相対的なものととらえての、絶対的安全条件を求めたりするが、そういったやり方では、勝負にならない。勝負を避けている形になってしまう。
リスクはリスクとしてとらえることは、ポイントによっては絶対に必要であり、そこを如何に努力でminimizeしていくのかがポイントであろう。
本書と直接関係ないが、著者は日本人の方がSamsungに移ったのは54のとき。そこから韓国のフィールドで暮らしたりと、パワーがある。こういうパワーを持ち続けていけるよう、コンディショニングしていきたいものである。 -
韓国は金と度胸といいとこ取り、中国は金と脅しといいとこ取り
日本は金あっても度胸なし
短期スパンのことならトップダウンはやめて、ボトムアップ方式なほうがやはりいい。