五色の舟 (ビームコミックス)

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  • KADOKAWA/エンターブレイン (2014年3月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047295476

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五色の舟 (ビームコミックス)の感想・レビュー・書評

  •  ビームでの連載で読んでいて、改めて単行本で通して読んだ。フリークスたちが身を寄せ合って健気に生きている感じが心に沁みる。ただどんなに仲がよくても、あんな狭い舟で寝泊りするのはオレには無理だ。

     言葉を話せなくて、テレパシーで意思の疎通をしているところをとてもすっきりと表現されていて素晴らしい。桜が初めて言葉を話すところがじわじわと感動的だった。

     くだんがとても不思議な存在で、平行世界のSF的な展開がすんなり入ってくる。今より古いけどそんなに古くないテクノロジーの時代と悲惨な展開を迎える場所がとてもよかった。

  • もう斜め上すぎる

  • なんというか。再読したい。良い。
    奇妙で暖かでひんやりしていて、どこか悲しい。
    ラストの心の不安定さは、表現できない。

  •  人間ポンプや見世物について調べていると、このマンガについて言及されている方がいたので読んでみました。
     太平洋戦争末期に身体に障害を負った人々が見世物一座として生きていく様が淡々と描かれています。
    “件”という異形の生物に出会ってからは怒涛の展開。登場人物がパラレルワールドに移動して、その世界が微妙に違う。読者である私も頭がクラクラします。
     このセンス・オブ・ワンダーをどう表現したらいいのか。
     私には表現する能力はありません。
     他の方の感想文を検索して読むと、皆さんうまいですね。
     私もそのような文章を書けるように努力しないと。
           
     それにしてもこの“件”という伝説上の動物、非常に不気味な存在です。
     しかし本作品では、美しい言葉使いだし言動も立派なので、いい人というかいい生き物のように思えてきます。
     ネット上で“件”の伝説について調べてみると、非常に不気味な言い伝え・都市伝説が出てきます。
     私は何でも真に受けて信じてしまう方だから怖くなってきます。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170125/p1

  • 特別な人たちが、世間とは少し違う家族となる話。
    特に巻末の原作・津原泰水さんと漫画・近藤ようこさんのコメントが素晴らしい。

  • 原作がとても好きなので、なかなか手に取れなかった一冊。「五色の舟」を漫画化しようと思い、出版を実現させた、その肝の据わり方にまず感銘を受けた。

    ほぼ原作の通り、何もぼかすことなく描かれているが、絵柄のせいか、グロテスクな感じはほとんどない。本当に、こういうタッチで描かれてこそ、原作の、陰翳が深く、かつ端正な世界が生きてくるのだなあとしみじみ感じ入った。

    あとがきで津原氏も書かれていたが、原作をふくらませた終盤がすばらしい。かつての姿のまま立ち続ける建物の姿に、もう一つの世界の確かな実感がある。

  • ※一部に暴力及び流血描写、性表現の含まれる作品です。

    【印象】
    第二次大戦下、見世物小屋一座。

    【類別】
    ファンタジー、SF、怪奇の要素。

    【脚本等】
    陶酔を好む人にお薦めします。

    【画等】
    押しだされる手描き感。

  • 津原泰水の原作、もうあまり細かく覚えてはいないのだけど、並行世界の移行の装置としての「くだん」というSF的なアイデアの新鮮さが強く印象に残った記憶がある。
    今回、近藤ようこの漫画を読んでみると、たしかに同じ物語なのに、まったく異なった色彩で見えてきて、まさに「くだん」によって違う世界に運ばれたみたいだ。幻のように消えていくような世界(それが私たちの生きている歴史)の中で、いわゆる「畸形」として放逐された5人が創りあげる「家族」の力強さが、くっきりと焦点を結んでくる。あちらの世界に行ったふたりが、この失われた世界を想っているラストシーンは、自分の足元が不確かになるような不思議さ。おもしろい。

  • ヘタウマな雰囲気の漫画でした。荒削りな線が逆に妙にリアルで、とても気持ち悪い。それが良かったのかもしれない。
    女性の牛みたいな雰囲気の人がもしかしたら主人公なのかもしれない。

  • 文化庁メディア芸術祭で展示されているものを読み、大きな衝撃を受けた。漫画を読んで、最近ここまで深く心を揺さぶられたことはない。残酷でグロテスク、それでいて優しく甘美。描き込みの少ないあっさりとした絵柄と濃厚すぎる内容との落差が、逆にイマジネーションを刺激する。「優しさに満ちた『少女椿』」のような前半だけでも十分に良いのだが、幻想譚としての色彩が強くなる後半はさらに圧巻。読者自身がどこに「心の置きどころ」を見いだせばいいのか分からぬまま取り残されるようなラストは、これまでに読んだり見たりした幻想作品の中でも屈指のものだ。原作は短編小説らしいが、もはや小説だの漫画などというジャンルを超越した一大芸術。本当に恐るべき作品だ。

  • なぜ異形のものに惹きつけられてしまうのだろう。目を背けつつ凝視してしまう。憐れみながら嫌悪し、好奇の目を向ける己の醜悪さにいたたまれない気持ちになる。

    異形の家族の話。彼らは自身の欠損を生活の糧に替え、戦中の貧しさのなか、したたかに逞しく生きています。しかし残酷な未来を知り、くだんに導かれ別世界へと旅立つことになる。体の欠損が補わられ、皆が幸せになる世界…。

    でもこの幸せがもの哀しく感じられるのです。それは何故なのか?グロテスクなのに美しい物語です。

  • 近藤ようこさんの漫画はいつも幻想的で、線も綺麗で昔から大好きだった。久々にこの人の漫画を読んだ。ノスタルジックな風景に引き込まれ異形な人達が1つの家族として生きていく姿。実際に昔は見世物小屋とかあったみたいだし、私の子供の頃もそんな話を聞いた事があり、自分の中のノスタルジアに触れ、何処か読んでいて懐かしさを感じた。くだんの話は、聞いたら死ぬって言われる怪談で聞いた事がある。漫画の中の、くだんは優しい目をしていた。何もかも知り尽くした人の目は諦めの目になるのかも。

  • 戦時中の広島を背景に描かれる、見世物小屋で生計を立てる旅一座の物語。
    一座の各員は、身体の一部が欠損していたりして哀しい生い立ちを背負うものも多い。
    彼らは互いに血の繋がりはなくとも家族として互いに強く結び付いており、悲壮感は感じられません。
    淡々と静かに描かれる彼らの姿は、とても純粋で愛おしささえ感じられます。

    一座の中心の「父」は、あらゆる未来を見通す「くだん」と呼ばれる人面牛の噂を聞きつけ、一座に加えようと岩国へと向かう。
    広島を襲う悲惨な未来を淡々と語る「くだん」。
    その運命を避けるための方法を「くだん」は語り、物語は大きく動きだします...

    優れた原作と近藤ようこの魅力が見事に調和した結果、大変な傑作が生まれたように感じます。
    近藤ようこの、独特のリズム感と、空間・余白の使い方の上手さは本作でも健在です。
    無駄をそぎ落とした1コマ1コマは、読み手の想像力を刺激し、時にハッとするような美しさを放っています。

    読了後に冒頭のカラーページを読み直したところ、初めて意味が繋がり、心臓を掴まれたかのような切ない感情に襲われました。
    自分にとっては忘れられない作品となりそうです。
    1人でも多くの方がこの傑作を読まれる事を願っています。

  • せつなくて不思議でグロテスクで懐かしくて、得られた世間的な幸せや日常の平穏の向こう側にある舟に涙した。

  • 奇形を抱えた5人の男女が片寄せあって生きる見世物小屋の物語。こういう尖った漫画を載せるコミックビームが好き。

  • 分かっていたことだけどかなしかった…

    たぶん原作を読んだことがあって、でもわたしの拙い想像力とは違う味わいがある
    近藤さんの漫画は初めて読みましたが、なんだかふしぎでした。
    もっとグロテスクでもいい話で、だけどわりとさっぱりした感じがあって、
    和郎くんもさっぱりしていて、それによって一層 ふわっ としたかなしみがあるような…

    それで原作とはやっぱり読後感は少し違うんだけど、それでも読書に近い手応えの漫画でした。

  • ノンフィクション風なのかと思ったらなんというか、底なしのパラレルワールド。鳥肌モノです。

  •  平成26年度第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作品。
     近藤ようこが、津原泰水の短編を下敷きにマンガ化した作品。美しく哀しい幻想譚として見事に結晶化されている。鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』を思い出してしまったのは、異形の旅芸人が登場する、幻想的な作品であったからだろうか。
     異形という存在は、懐かしさを呼び起こし、見る者を神話的な世界へと誘う。戦前から戦後間もない時期までは、たしかに、そんな人たちが芸を見せながら旅をしていた。
     見世物小屋の一座で糊口をしのぐ異形の5人家族。怪物「くだん」を一座に加えようとするが、家族はやがて二つの世界に引き裂かれることになる。戦争に負けた世界と戦争に巻き込まれなかった無傷の世界とに・・・。パラレルワールドの展開を前にして、現実と虚構が交錯し、めまいを覚える。「もし、日本が戦争を始めていなかったら」「もし、日本が戦争に負けていなかったら」という想像力が現在を逆照射し、過去の世界からの光によって現在が照らされ、暗い影となって浮かび上がる。戦後70年を経て異形の者たちも消えたこちらの世界(現在)の方が偽りの世界のようにも感じられてくる。
     川を漂う五色の襤褸を纏った舟に乗った5人の家族は、世界を漂う日本という運命共同体の暗喩なのかもしれない。死者と生者の交感を描いたこの物語には、今は亡き者たちへの追悼と鎮魂の意味も込められているようにも思える。

     あとがきで近藤ようこが次のように書いているのが印象に残る。
     
     くだんに運ばれた和郎と桜が生きているのは、やはり、「産業奨励館が原爆ドームにならなかった世界」であるべきだと思った。
      
     また、原作者の津原泰水氏は、終盤は近藤ようこの創意が加えられていると記している。この原作の収められている短編集『11(eleven)』(2014年SFマガジンのオールタイム・ベストSF国内短編部門1位)も読まなくてはなるまい。 
     近藤ようこは、折口信夫の『死者の書』をコミカライズして「月刊コミックビーム」に連載を開始するとのこと。これにも目が離せない。

  • 原作未読なるも、家族が不意に買ってきたので読む。
    近藤作品は割と好きなので、スルッと入り込めた。

    第二次世界大戦末期の西日本で、
    血の繋がらない疑似家族が見世物で生計を立てている。
    一家の主は
    未来を予言する、牛と人のハイブリッド「くだん」を
    買い取ろうとするが……。

    無惨な世の中に抜け殻を置いて、
    幸福な別の時空に足場を移す=「舟」を乗り換える、
    という発想が凄い。
    悲しいし、切ないけれど、
    夢でも幻でも仮初めでも、彼らが幸せなら、
    そちらの世界が永遠に続けばいいと思った。

  • どこまでも続く、、、
    これは誰の夢なんだろう。

  • タイトルからして白黒キンドルで読むのは
    どうかと思ったが問題はなかった

    SFにもコミックにも詳しくないため
    あんまりうまく評価できないが
    戦時中の妖しさと空気感が
    SF的な要素と相まって
    独特の雰囲気
    うまいのかうまくないのか
    よくわからない絵も雰囲気に合っている

  • 魂の幸せは、現世的な幸福とはまた違うところにある、ということを思いました。とても良かったです。

  • これはいい漫画ですわ……!戦時中の見世物一座の矜恃と生き様。そして件と平行世界。最高のエンタメっすわ……

  • 津原泰水の小説が原作とのことで手に取りました。
    五色の舟に乗るのは、血の繋がりがない異形の家族。
    それぞれが一人で生き抜くには過酷な第二次大戦当時。
    くだんが見せる未来は夢幻でも、家族には変わらない。
    ひととひとが美しく結び付いた作品です。

  • それは1冊の漫画でしかない。

    読後に感想を言葉にできないというか、この複雑な気持ちの揺れを表現できる「ことば」をもたない。感情を言葉の檻にとじこめたくないとすら思う。10人読めばきっと10人とも違う感想をもつんだろうなと思わせる1冊の漫画。人だけじゃなくて、読む環境とか読むタイミングでとかでも、いろいろとかわってくるんじゃないかと思う。でもきっと、みんな読んだあとでは自分自身から目をそらしている部分があったことに気がつくんじゃないかな。

    ぼくはずっと、こういう風に言葉にできない感情を引き起こす本や漫画を読み、音楽を聴いてきた。その言葉にできない感情と向き合い続けることの積み重ねが、今のボクを作ってきたんだと勝手に思ってる。ほんとに勝手にね(笑)

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