- Amazon.co.jp ・マンガ (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047295476
感想・レビュー・書評
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津原泰水という作家の、同名小説の漫画化でした。近藤ようこさんは坂口安吾とか、小説のコミカライズがお好きですが、原作も読まずに言ううのは何ですが「近藤ようこワールド」で、納得しました。
マア、詳しくは、くどくどとブログとかに書いています。お読みいただければ嬉しいですね。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202108050000/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原作未読なるも、家族が不意に買ってきたので読む。
近藤作品は割と好きなので、スルッと入り込めた。
第二次世界大戦末期の西日本で、
血の繋がらない疑似家族が見世物で生計を立てている。
一家の主は
未来を予言する、牛と人のハイブリッド「くだん」を
買い取ろうとするが……。
無惨な世の中に抜け殻を置いて、
幸福な別の時空に足場を移す=「舟」を乗り換える、
という発想が凄い。
悲しいし、切ないけれど、
夢でも幻でも仮初めでも、彼らが幸せなら、
そちらの世界が永遠に続けばいいと思った。 -
キャサリン・ダンの『異形の愛』とは
土着が違うけど、同じように
人の情愛とか家族愛を感じさせる。
蔑まれ好奇の目にさらされながらも
家族として生きていく異形の人たち。
原作がすごく読みたくなった。
知らなかった津原泰水作品。
映像化にしても良いと思うが
なかなか、この日本では難しいかな。 -
分かっていたことだけどかなしかった…
たぶん原作を読んだことがあって、でもわたしの拙い想像力とは違う味わいがある
近藤さんの漫画は初めて読みましたが、なんだかふしぎでした。
もっとグロテスクでもいい話で、だけどわりとさっぱりした感じがあって、
和郎くんもさっぱりしていて、それによって一層 ふわっ としたかなしみがあるような…
それで原作とはやっぱり読後感は少し違うんだけど、それでも読書に近い手応えの漫画でした。 -
近藤ようこさんの絵は余白が多く、その空間に常に寂しさ悲しみ静けさが感じられます。そういった空気感と共に話が進行していきます。
読み進めていくうちに物語の中に彷徨いこんでいき、読み終わったあとには不思議な読後感とともに印象的な話が懐かしい思い出のようにずっと胸に残ります。
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原作と同じ…!すごい!
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タイムスリップSFなんだけど、見世物小屋の一家が未来を予言するという妖怪「件(くだん)」を買いに行くという道中から始まる。
原作を読んだことがあったので読んでみた。なかなか「件」のヴィジュアルが衝撃的だった。
原爆が落ちる直前の広島が舞台なんだけど、いまは「原爆ドーム」として誰もが知る建物が、原爆が落とされる以前は「産業奨励館」というハイカラでにぎやかな建物だったというのが(考えてみれば当たり前なんだけど)印象に残った。 -
ホモのシーンがよくわからない
戦争といふ時代を使って、かたわを選民として描く、と言ふのはかっこいい。
GHQの人もアレしてゐるのであった。うむうむ。
そして、然るべき医療技術ができても、かの皆さんは補助具を外してゐると描かれる。うむうむ。 -
もう一回じっくり読むつもり
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原作がとても好きなので、なかなか手に取れなかった一冊。「五色の舟」を漫画化しようと思い、出版を実現させた、その肝の据わり方にまず感銘を受けた。
ほぼ原作の通り、何もぼかすことなく描かれているが、絵柄のせいか、グロテスクな感じはほとんどない。本当に、こういうタッチで描かれてこそ、原作の、陰翳が深く、かつ端正な世界が生きてくるのだなあとしみじみ感じ入った。
あとがきで津原氏も書かれていたが、原作をふくらませた終盤がすばらしい。かつての姿のまま立ち続ける建物の姿に、もう一つの世界の確かな実感がある。