- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047315327
作品紹介・あらすじ
21世紀の世界の覇権争いは「環境」を舞台に繰り広げられる-。戦前の軍艦、戦後の核兵器に次ぎ、CO2排出量がいま、人類の最重要課題となった。国際政治の主役に躍り出たCO2を外交の"武器"に、「環境」という戦場で、どう戦っていけばいいのか?日本の進むべき道を提示する対論。環境から、世界の覇権、メディアリテラシーまで。"世界を識る"気鋭のジャーナリスト二人が、存分に語り尽くす。
感想・レビュー・書評
-
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB03500758詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【由来】
・釧路の豊文堂でたまたま目についた。
【ノート】
・環境問題が、これからの世界政治の中で主要なトピックになっていく。どれぐらい主要かと言うと、その流れは、軍艦、核、そして環境、というほどのものだという。各国の思惑についてこれまでの歴史的経緯を踏まえながら、したたかな外交の舞台裏にまで言及しているので、環境問題についての理解を深めることができる。実は、環境問題をテーマにした情報リテラシのワークブック的な性格の強い書籍。池上、手嶋というNHK→フリーという同じ経歴を持つコンビの対論は分かりやすく、それでいて、曇りがちな自分の情報の受け取り方についても気付かせてくれる、なかなかお得感の強い本。 -
もはや聴いても何も感じなくなってしまった「環境」を、別な視点で再確認させてくれる秀作。
-
正直、今の私だと理解はまだまだできなかったけど、分かりやすく説明してくれているな、という読者への配慮が強く感じられた。
-
環境の時代と言われて久しいが、国際的な協定などの裏には各国の国益を守ることや基準値などにはそれぞれの国の思惑があることがよくわかった本だった。
一言で言えば、環境の何かの情報があれば出典や、それを策定した人や組織を調べること、誰に有利な情報なのかを精査しないとバカを見ることが多いように感じた。
環境問題を違った視点から読み取れる、手嶋氏と池上氏の対談本だった。
読み終わる前に本文で気が付いたが、NHKの1125ことハイビジョンの話で、二人ともNHK出身だったことを忘れていました。接点はあったのですね。 -
2013.11.24 pm 21:48 読了。池上彰さんニュース解説のおじさん、とか思って正直なめてました。すみません。すごい。広い見識と的確なコメント。その鋭さに思わず舌を巻く。中学・高校の授業で覚えさせられた「情報リテラシー」という言葉を思い出した。今まで、情報を的確に読み取る能力と簡単に捉えておりそれには正解があるものだと無意識に思い込んでいた。しかし現実はそう簡単ではないことを思い知った。正解はない。結局自らが持つ情報や知識を駆使して結論を出すしかない。もちろん一人ひとりが持つ情報の量や分野は違うから異なる結論が出て当然。あえて言うなら後から振り返って後悔しない方が正解。実際にその正誤を判断するのは後の世代の人々。現時点ではこのような認識。難しいなあ。加えて複眼的思考をどれだけできるかも重要。自分を省みると、どれも満足にできていない。とりあえずいろんなことを知って、その知識を駆使して状況判断を繰り返していくしかないのだろう。そうやって「本質を読み取る力」を養っていくしか。
以下内容の感想。
対談形式。環境問題という大きなテーマをエネルギー・経済・情報・政治といった面から複眼的に論じている。目からウロコの話ばかり。ほんとに何も知らなかった。メディアリテラシーがなんたるものかやっとわかった。これだけ複雑な話をこんな薄い本にまとめるってすごい。新書でよかった。これ以上長くなって掘り下げられたらついていけなかった気がする。地球温暖化をはじめとする環境問題について考えていきたいと思っているひとには入門編としておすすめ。環境問題は複雑。各国の思惑が絡み合う。情報戦。この本からどのように知識やリテラシーを伸ばしていけるかが重要。池上彰の本は初めてだったので、他著書も読みたい。 -
「地球にやさしく・・・」とかいうのとは違う、環境問題のウラを教わった。環境外交という狡猾な世界自体を初めて知った。
日本の環境技術とエネルギー効率は世界有数なのに、日本に不利な枠組みの中でお金を出させられるハメに。環境政策のルール作りに参加できるだけの力を発揮しなくては、日本は損するばかりということ。
池上さんと手嶋さんの対話はわかりやすかった。お二人が一歳違いで、ともに慶應経済学部卒、NHKに入社して2005年に共にフリーになったという経歴の一致は面白いな〜。
★★★★★追記(6/1)
もう何度も読み返しています。家族にも読ませたいと思い、しかし自分の本は渡したくないのでもう一冊買った。
この対談が行われたのは2010年、東日本大震災の前のことであり、原子力を含む震災後の環境問題について、お二人にまた語っていただきたいと願います。そしてそれは自分でも学び取っていかなければならないことだというのを、この本から教えられました。 -
「京都会議」(あるいは環境問題)において、
過大な責務を背負わされ議長を押し付けられた日本は‘気の弱い優等生’
会議では前向きな事を言いつつ、家に帰り「やっぱりやらないよ~」とうそぶくアメリカは‘したたかな悪ガキ’
「そもそも環境を破壊したのはお前らだから、お前らがやれ」とはなから取り合わない中国は‘腹の据わった不良少年’
そして、それらを俯瞰から操ろうとする英国は‘知的ギャング’
‘知的ギャング’の武器は英語力、なんたってイギリス人は世界で一番英語がうまい!
「京都議定書」も、議論が錯綜し、文書になかなかまとまらない時、「条約を英文でまとめるのはまかせて」と言ってさり気なく主導権を握り、公正な姿勢を示しつつ、自らに不利な文章とならないよう目配せを欠かさない・・・
かくして見事にヨーロッパに利益をもたらす「不平等条約」が出来上がったのでした。
当然、後で気づいたアメリカは愚図るわけですが、気の弱い日本は何も言えず、トホホ。
その‘知的ギャング’の次なる狙いが『カーボン通貨』の導入です。
CO2の削減というのは、つきつめれば「経済活動をするな」といってるのと同然です。
だから、経済活動をしたければCO2を出す権利(汚染する権利)を買えということになります。
これはCO2という「廃棄物」、本来はゴミであったものを価値のあるものにした革命的な発想の転換です。
その取引を国家間でするのが『排出権の取引』、産業別・企業別で行うのが『キャップアンドトレード』
そして、個人に適応しようというのが『カーボン通貨』なのです。
モノを購入する際、お金+カーボン通貨を支払わせる仕組みで、‘お金だけ’でモノが買えなくなるわけです。
基軸通貨をドルに奪われた英国の怨念という趣もありますが、カーボン銀行の成り行きには要注意です。
ぜひ日本もインテリジェンスを発揮して、‘仕切る側’として、いっちょ噛んでいただきたいですね。 -
日本の国際社会における存在感不足を痛感した。英語能力を駆使したイギリスが、国際舞台で大きな影響力をもっているというのは、なんとも意外だった。
21世紀は、環境の世紀であるのだから、省エネ大国の日本がもっと世界をリードしていってほしいと思う。
日本はガラパゴス化しているが、海外にシステムを輸出する際は、オーバースペックにならないよう相手国の要求をくみとり実現することが重要になるとおもう。20130120