武器なき“環境”戦争 (角川SSC新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315327

感想・レビュー・書評

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  • もう辞めてしまった方ですが、鳩山氏が首相だった時代にサミットで「CO2削減25%」の演説をした記憶がありますが、あれは一体なんだったのでしょうか。

    実際には他の国が参加したら実行する等という前提があった(p99)ようですが、環境に対する取り組みは、表向きは地球環境の保護をうたいながら、 排出量の多い米国や中国が除外されているにもかかわらず、排出権取引では利益を得ることができるなど、政治的な要素が多いと思います。

    この本はニュース解説でおなじみの池上氏と手嶋氏による対談本ですが、クライメートゲート事件については中途半端な記述であったのが、他の本でそれについて情報を持っていた私にとっては不満が残りました。

    この本を読んで、世の中におきているニュースを誰かに解説してもらうのではなく、自分で考えてそれに必要な情報を様々な角度から得ることが大切であることを感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・メキシコ湾の場合、まず1500メートルの海底に到達して、さらに約4000メートルの地中を掘り進んで(150気圧)、ようやく油層につきあたる(p20)

    ・ロシアでは石油を採掘し尽くして放置していた場所を掘ってみたら、わずかながら石油が補給されていることが確認された(p22)

    ・世界の石油の実に4割が海底油田から採掘されている(p24)

    ・日本の電気料金は、長時間の停電のない日本の送電システムを考えると、そうとは言い切れない(p41)

    ・スマートグリッドは、専用の機器やソフトウェアを送電網の一部に組み込むことで、電力使用量と発電量をリアルタイムに一致させる(p42)

    ・オバマ大統領が提唱する「モーダルシフト」は、ガソリン車からハイブリッド、さらにはプラグイン・ハイブリッド車へ進化するように構想されている、これは効率的な送電網をいち早く築くという「スマートグリッド」政策とリンクしている(p45)

    ・1990年が基準になっているのは、この年に初めてCO2排出量が測定されたから(p54)

    ・環境省が発表した2008年度の温室効果ガス排出量は、前年度比較で6.2%マイナス(p102)

    ・イギリスはポンドの基軸通貨の地位を譲る代わりに、現在のIMFの特別引出権(SDR)に近いものを提唱(通貨名:バンコール=金・石炭など複数資源価格の加重平均)したが、アメリカは同調しなかった(p168)

    ・FRBはドル紙幣を発行する際には、市場から短期のアメリカ国債を購入して資産に組み込むことで、収支バランスはとっている(p170)

    ・SDRの見なおしは2010年に行われるが、現在の「米ドル」「ポンド」「円」に「元」が加わる可能性が大きい(p173)

    ・ニュースでランキングについて聞く場合、どんな算出基準になっているのか興味をもつことがない、日本の大学のランキングが悪いのは仕方ないかも(p182)

    ・京都議定書とは別の枠組みとして、セクタ別アプローチとして、アメリカ・中国・インド・日本等の7カ国で構成されている(p194)

    ・鉄道の遅れ度合いにおいて、日本な世界でトップクラス、「遅れる」の定義が日本では3分から5分、アメリカでは1時間以上であるため、日本のエアラインも同様(p197)

    ・軽自動車を除く中古車の登録台数が18ヶ月連続で前年同月比マイナス、減税で新車のお買い得感があるため、自動車のリサイクルが滞っている(p204)

    2010/11/21作成

著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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