6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録 角川SSC新書 (角川SSC新書 130)

制作 : 石巻日日新聞社 
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315532

感想・レビュー・書評

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  • 前半が壁新聞、後半は各記者さんたちの地震発生時からの行動記録。津波にのまれた方が油のまざった水を飲んでしまったので洗浄のため入院したそうで、改めて真っ黒な波を思い出した。

  • 閲覧室 070.16||イシ

  • 2011年7月11日「【特別授業】非常食を食べたことがありますか?非常食から震災を考えましょう!」(http://www.1455634.jp/fsusvles.php?ini=13)の関連図書。石巻・女川の状況がよくわかります。

  • 自らも被災し、家族の安否も確認出来ないなか、
    真実を伝えなくては、報道をしなくてはという使命感に突き動かされ、
    壁新聞を発行し続けた方々の姿勢に
    最大限の敬意をはかりたいと思う。

    記者達の書いた、地震発生直後からの手記は、ただ事実だけが時系列に記され、
    部外者からは見えない、当時のその場が鮮明に記録されている。

    そこから見えた、正解な情報の取得
    と伝達の難しさ。

    コミュニティとコミュニケーションの重要性が浮き彫りになった。

  • 石巻日日新聞社は石巻市に根ざす日刊夕刊紙である。
    震災後、社屋は倒壊しなかったものの、津波の被害で電源はなく輪転機が動かない。だが記者らは何とか水没を免れたロール紙で壁新聞を作ることに決める。取材し、何を伝えるかを取捨選択して、マスターを作成した後、手書きで何部か書き写し、避難所やコンビニなどの前に貼り出すことにする。
    何とか電源を確保するまでの6日間、自らも被災者となっていた記者達は何を思い、どのように行動し、壁新聞の作成にあたっていたのか。本書はその記録である。

    この本の主眼は、何といっても第3章の記者6人の記録である。新聞記事などで読む体験談は、生々しいものがあるものの、聞き書きであるわけで、そこに1つクッションが入る。これはさらに一枚ベールが剥げた感じ。文を書くことを生業にしている記者達が語る体験談は、ぐっと眼前に迫って感じられる。
    中には実際に津波に流され漂流の後、助けられた記者もいて、生き延びるのがいかに奇跡的だったかを思うと言葉もない。

    いかにひどい災害だったかと改めて思う。
    そしてその災害の中、「伝える使命」を全うしようとし、なおかつ「希望を伝えよう」とする、地方紙の気概に胸打たれる。


    *「顔見知りの誰々に手紙を託し」「友人の家に泊り」などといったエピソードが随所に挟まれ、都会だとこうはいかないかも、と思ったりする。都市部で災害が起きた場合、いろんな意味で別の様相を見せるのだろう。

    *年若い新人記者が書く「ブリ大根」と「エヴァンゲリオン」のエピソードに、何だか若さのエネルギーを感じる。若いっていうのはすごいことだ。

    • usalexさん
      私も読んでみたくなりました。
      都市部での災害は別の様相をみせるという点、最近地域の防災訓練を終えたばかりの身としては、考えさせられる所です。
      私も読んでみたくなりました。
      都市部での災害は別の様相をみせるという点、最近地域の防災訓練を終えたばかりの身としては、考えさせられる所です。
      2011/11/11
    • ぽんきちさん
      usalexさん
      コメントありがとうございます。
      実際に経験してみないとわからないのだろうとは重々承知の上、どこか「実感」を伝えてくれる...
      usalexさん
      コメントありがとうございます。
      実際に経験してみないとわからないのだろうとは重々承知の上、どこか「実感」を伝えてくれる本書のような本は価値あるものと思います。
      2011/11/11
  • 【きっかけ】
     読売新聞の朝刊にワシントンDCにある報道博物館に手書きの壁新聞が展示されたというニュースを見て切り抜いていたことがきっかけだ。
     まさに報道の原点と受け止めていたのでその背景をそして今回の震災の地元からの視点を知りたかった。
    【感想】
     震災発生から6日間、壁新聞が発行された。その間の日日新聞の記者たちの手記形式で語られる。津波に流される者。家族の安否を気遣いつつ取材を続ける者。そこにあるものは地元の被災者への正確な情報を伝えるという使命感だ。

     情報を伝える。正確な情報がもたらす安堵感がヒシヒシとくる。それは自らも被災しながらも地域を盛り立てようとする生の姿勢だ。一緒に掲載されている写真がさらに臨場感をかき立てる。

     あまり主観は語られることはなくどの記者も終始事実のみを語っているため怖いぐらい淡々としている。この淡々さは何だろうか。最初は諦めかと思ったが新聞記者としての使命感からくる行動はむしろ熱い。言葉では言い表せない凄さが淡々とさせているのだろう。恐怖を超えた恐怖。想像できないがよく理解できた。

     それにしても何故、壁新聞という疑問は解けた。やむを得ないとはいえ、防災対策ができておらず輪転機がすぐには動かなかったという事実に結局は何かあったら手が頼りになるあるいは手しかないことに強い説得力があった。

    【終わりに】
     3日間。地震が起きた時にライフラインが復旧するのに要する期間だ。この期間をサバイバルすることでその後の生存率が高まるという。今回の大震災の場合、とても3日間ではない。津波の凄さが全てを飲み込んだ。6日いや1か月単位でのサバイバルになる。

    確認したいことが頭に浮かぶ
     避難場所
     通勤中で被災した場合の連絡方法
     防災グッズ
     お金

    結局、災害に遭遇しても金が必要になる。最低限の食料と判断力と生きていくための知恵。つくづくこの本を読んで考えた。

  •  出版元から、ご恵贈頂く。 一気読み。 東日本大震災で被災した、石巻日日新聞が、通常通りの新聞を発行するまでに出した、6枚の壁新聞をめぐる、記者達の軌跡を綴る。 ローカルメディアとして、大震災にどのように対応できるのか、すべきなのか。 地元に根付く一住民として、さらには被災者として、どう報道していくか、等身大の記録に胸をうたれる。

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