知らないと恥をかく世界の大問題3 角川SSC新書

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315761

感想・レビュー・書評

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  • 「発展する国かどうかは書店を見れば分かる」

  •  3.11後の原発問題やパレスチナ問題、日本の与党と野党は入れ替わっても同じになってしまう残念さなどが興味深かった。続けて読むと前作の復習のように同じトピックの進捗を知ることができ、より定着につながるので良い。「アラブの春」は単語だけしか知らなかったので勉強になった。
     マニュアルに従ったかどうかが明暗を分けた東日本大震災。非常時にマニュアルでなく直感を信じ行動した先生すごい。マニュアルも絶対ではないし、アップデートが必要ということか。

  • 読みましたー、いつもの事ながらわかりやすい。

  • 池上さんの本は本当にわかり易い。
    様々な複雑な事象も、ものすごくシンプルに、そして的確に解説してくれています。

    新書サイズで、ここまで広く情報を盛り込めるのは、説明の上手さがあるからこそ。

    本書を読むと、わかり易い説明のヒントがいくつか見えてきました。

    簡単に挙げると以下でしょうか。

    ①因果関係を明確にする
    ②先に結論を言う
    ③一言で示す
    ④イメージし易い数字で示す

    本書では、ある「事」に対して原因と結果を明確に示しています。
    学校で習う「社会」や「歴史」の教科書では、基本的に時系列に沿って、起きた事実・史実を学びます。
    けど、それでは、因果関係がよく理解できないんですよね。
    しかし、本書では、時系列ではなく因果関係をしっかり示してくれているので、ストーリーとして、頭に入ってき易いのです。

    また、本書では、必ず結論を言ってから、その詳細説明をしています。
    この手の文章を書こうとすると、結論を先に言わなければ、いくら長々と説明をしても、全然理解してもらえないんですよね。

    しかし本書では、例えば、

    「クルド人とは、世界最大の『祖国を持たない民族』といわれています。」

    「民主主義を進めると、過激な思想を持つ勢力が伸張する。これが『民主主義のパラドックス』と呼ばれるものです。」

    「リビアにあって、シリアにないもの。それは石油です。」

    「(台湾について)一言で言えば、国民党は『中国と協力していこうという融和路線』を掲げる党です。」

    などといったように、一言で結論を示してから、詳しい説明に入っています。
    これによって、その後の文章が頭に入ってき易いのではないかと思いました。

    さらに、池上さんは、規模などを示す数字を、イメージし易い数字に置き換えて説明しています。
    例えば、

    「シェールガスがどのくらいあるのかと言うと、アメリカの場合、従来のガスと合わせて100年分。」

    「イスラエルに住むユダヤ人は540万人ですが、アメリカに住んでいるユダヤ人はそれとほぼ同じ530万人。」

    これによって、あまり身近ではない事についても、なんとなくイメージをつかむことができます。

    本書を読めばもちろん時事問題に関する知識を幅広く身につけることができるのですが、それだけではなく「わかり易い説明」という観点からも非常に勉強になる本です。

    もしすでに本書を読んだという方でも、そのような視点でもう一度本書を読んでみると、また新しい発見があるかもしれません。

  • わかりやすい

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・初めて読んだ池上さんの「知らないと恥をかく」シリーズ。分かりやすい。それが全編にわたって透徹しているので、逆にありがたみが分からないと言うか、サラッと読んでしまうと言うか。

    ・「食事のおいしくない国は戦争に強い」(P20) 確か、こういう知見を最初に見たのは佐藤優だったか。

    ・カタールは豊富な天然ガスで外貨を稼ぎ、イギリスの高級デパート「ハロッズ」を買収したりして投資している。社会保障も充実していて所得税も消費税ナシ、医療費、教育費も無料、国営企業に5年勤めると年金もらえて生涯安泰。
     「同じアラブの独裁者でも、ジブと親族の金儲けしか考えない人たちとは、全くこtなります。「アラブの春」が周辺に飛び火した際も、カタールではデモも反政府集会もありませんでした。アラブには、こういう国もあるのです(P66)。
     カタールと言うと反シリア包囲網の黒幕という認識があるのだが、そういう国でもあるのだな。

    ・国民総生産ではなく、国民幸福度指数(GNH)。ブータンでは先代国王が「とんでもない”ボンクラ”が国王になったら大変なことになる。議会制民主主義を導入(P198)」しようと国民を説得したが、国民から統治を直訴されたそうな。発想として銀英伝。

    【目次】
    プロローグ この目で見た世界の大問題〜世界中の民衆がモノを申し始めた〜
     大国のリーダーが一気に交代、国際情勢のターニングポイントの到来か?
     世界の縄張り争い
     世界中の民衆が立ち上がった
     エルビルは第2のドバイ?
     「クルド人」とはどんな人?
     サウジアラビアはアラブの盟主
     東日本大震災と「津波てんでんこ」
     「暴動が起きない」と驚かれたことに驚いた日本人
     ニューヨークは震度1で大パニック
     イタリア人とギリシャ人の相似点
     北朝鮮に105階建ての豪華ホテル
     ソマリア人はなぜ海賊になった?

    第1章 アラブに春は来たのか?
     イスラム教徒にとって焼身自殺はタブー
     なぜ中東に独裁国家が多いのか
     エジプトで初の民主的選挙
     避けられないイスラエルの孤立化
     イギリスの「三枚舌」が事態を複雑に
     イスラエルを支援するアメリカ
     NATO軍、シリアは無視?
     「アラブの春」でアルカイダの影響力低下
     イランの核開発が大きな危機に

    第2章 日本が無視できない三つの”独裁”国家
     金正日死去で金正恩は?
     北朝鮮と韓国はいまも戦争中?
     金正日はスターリンの面接試験で合格
     金正恩が目指す国のモデルは中国!?
     中国のトップが持つ三つの肩書
     人民元が世界経済のバランスを崩す
     急速な経済発展による歪みも
     「天安門事件」が反日教育のキッカケ
     独裁者・プーチンが再び大統領に
     選挙の不正に怒り
     プーチンが目論む「ミニソ連」

    第3章 揺らぐ資本主義
     第2のサブプライムローンか?
     ウォール街のデモ参加者は本来オバマ支持者だが
     TPP参加、オバマの戦略
     まるで町内会のような党員集会
     選挙は4年に一度の町おこし?
     モルモン教徒は、どんな宗教?
     アメリカの格付けが下がった!
     ギリシャの脱税の歴史
     世界8位のイタリアが危険水域に
     イギリスの憂鬱

    第4章 震災、原発事故後の日本は内憂外患のまま
     重大な岐路に立つ日本
     「保守」とは何か、「革新」とは何か?
     日本の中の「東西冷戦構造」
     日本は長らく1と1/2政党
     ようやく政権交代
     やっぱり消費税率は上げなきゃダメ?
     財務省が「年金交付国債」というウルトラCを考えた!
     日本はギリシャ化しないのか?
     戦略なき日本外交、TPPをどうする?
     TPPはアメリカの陰謀か?
     手ごわいのはアメリカより中国!?
     インテリジェンス感覚なき日本のトップたち
     橋本大阪市長が仕掛ける地方からの変革

    第5章 浮上してきた新たな国
     イスラム金融に注目
     中東地域発展のカギを握るトルコ
     トルコの「EUへの片思い」が一気に冷めた
     欧米重視から近隣諸国重視へ
     急速に進む民主化、資源狙いの大国が注目するミャンマー
     上からの急激な民主化に戸惑いも
     アウン・サン将軍は日本名を持っていた
     夫より祖国を選んだスー・チー女史
     台湾は中国に呑み込まれるのか?
     朝鮮半島の南北統一はなるのか?

    第6章 エネルギー、人口、温暖化問題が深刻に
     原発事故が大きな影響を与えた温暖化問題
     中期的には地熱発電に期待
     変わる世界のエネルギー地図
     日本もエネルギーを自給できる
     世界の人口70億人突破をどう見る

    エピローグ 私たちが進むべき道
     私たちは皆「福島県民」だ!
     東大が秋入学にシフト
     アメリカに見る草の根民主主義
     ブータンに見る幸せの尺度
     日本はいま「自分探し」「幸せ探し」をしている
     2011年、日本は世界一の被援助国に
     「情けは人のためならず」に見る、日本らしい戦略を
     私たちのなすべきこと

  • ソマリアの海賊化
    プーチンの目にも涙
    ロムニー氏とモルモン教

  • 最終巻に記載

  • シリーズ三作目。やっぱり考えさせられるのは震災後の日本。
    脱原発。高齢化社会。国の借金。
    いつこの国は破綻するのか本当に心配です。

  • 日本、あるいは日本人は、とても世界で愛されている。

    吉田茂は日米関係を重視し、アメリカ軍に防衛を依拠することで、軽武装国家・日本を実現し、防衛費を節約して経済を発展させようとした。
    これに対して、鳩山一郎→岸伸介→中曽根康弘に引き継がれた流れは戦力を放棄した憲法の改正を通じて独自の軍備を増強し、独立国家・日本を重視した。

    「保守政党」のはずの自民党は改憲を考える「革新」で、「革新政党」のはずの社会党は護憲という現状維持の「保守」という不思議な構造。

    社会党は平和憲法さえ守れればいいので国会の1/3を確保してればよく、過半数を取る意欲がなかったので長らく政権交代がなかった。

    TPPで議論されるのは21分野。関税に関するのは2分野のみで、その他は関税には関係がない。

    日本はアメリカとの交渉はずいぶん経験を積んできた。が、アメリカとの交渉の経験は中国には応用できないでしょう。
    13億人の国のトップというのは、ライバルを蹴落とし、裏切り、権謀術数で勝ち抜いてきた人物。そういう人間を相手に、「勉強ができる」というだけでキャリア官僚になった人たちがどこまでやれるのか。

    2011年、日本には世界各国の政府やNGOから義捐金が寄せられ、スーダンを抜いて世界第一位の被支援国に。

著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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