世田谷代官が見た幕末の江戸 日記が語るもう一つの維新 角川SSC新書

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著者 : 安藤優一郎
  • 角川マガジンズ (2013年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047316072

世田谷代官が見た幕末の江戸 日記が語るもう一つの維新 角川SSC新書の感想・レビュー・書評

  • 彦根藩世田谷領の代官である大場家の幕末期の日記をもとにした内容。当時の混乱の様子や、井伊直弼の死を憚りあいまいに書いている点、新政府軍が来る頃の話など、面白い。幕末の舞台が京都であったころの内容が少し薄いが、これはあまり変化のない内容だからだろうか。また、明治期に入って様々な事業に手を出しているが。そのときの詳しい様子を書いてあるといいなと思う。

  • 東京都世田谷区といえば、23区最大の人口(90万人弱)を抱える巨大都市であるが、かつては江戸御府内の外にあり、ほとんどが農村だった場所である。江戸時代、世田谷には彦根藩井伊家の飛び地が存在し、もともとこの土地に土着していた大場家が代官を世襲していた。その大場家には、いくつかの日記が残されており、本書はその内容をもとに幕末維新期の江戸近郊農村の姿を描いたものである。

    中でも面白いのは、代官の妻、大場美佐の記した日記である。妻の日記というと家の中の私的な出来事を連想するが、思いの外、村内の出来事や、井伊家とのかかわりなども丹念に記録されていることに驚かされる。世襲であるからには、もし当主が急死した場合、経験の乏しい者を後継に当てる場合もあろう。実際に美佐の夫与一は39歳の若さで亡くなり、美佐の弟を養子に迎えている。そうした場合、妻の役割がきわめて重要だったことを本日記は示しているともいえそうだ。

    それにしても、井伊家上屋敷のある桜田門と世田谷は、かなりの距離がある。何かあれば、桜田屋敷に駆けつけなければならない世田谷領の人びとの苦労は大変なものだっただろう。

    幕末維新史を描いた本は無数に存在するが、井伊家の代官領という特殊な立場にあった世田谷領から見た本書は、非常にユニークな視点を提供しており、一読を薦めたい。

  • 幕末から明治への時代転換を、江戸に近い世田谷の地で、
    見つめていた人物がいる。彦根藩井伊家世田谷領の代官
    大場与一・美佐夫妻である。江戸賄料として、井伊家が
    幕府から与えられた世田谷の地を代官として支配した大
    場家だが、実態は中間管理職のような立場だった。
     序 章 桜田門外の変の衝撃
     第一章 大場家と世田谷領
     第二章 江戸の混乱に巻き込まれる
     第三章 大場家御家断絶の危機
     第四章 関東の争乱と世田谷
     第五章 明治維新と大場家

    幕末史の裏側がわかる本。さくさくと読める。
    桜田門外の変、黒船来航、明治維新を井伊家の代官という
    立場から関わっている。
    個人的な印象として天狗党の乱は影が薄い。これは政治の
    中心が京都に映っていた時に関東で起こった事件であるか
    らであろうが、本書を読むと藩から自衛を求められている
    様子がわかる。

    大場家の日記という貴重な史料が存在する事がわかったのは
    良かったものの全体的に薄い内容であるのが残念なところで
    ある。

  • 世田谷にあった井伊家の所領で代官を務めた大場家の代官夫婦の日記から読み解く幕末から明治の世。下野の佐野奉行が上官になるが、江戸の桜田御門外にある井伊家の上屋敷から直接、人足や馬などの調達を指示される関係にあり、農作業をたびたび中断される労務提供の依頼に領民が反発するのをなだめたとか、企業に働く中間管理職を連想させる場面も。桜田門外の変で井伊直弼が暗殺された直後は水戸藩と彦根藩が江戸で衝突寸前だったとか、天狗党の乱や武州世直し一揆の余波が世田谷にどう波及したかとか、幕末維新の歴史の変動を代官一家がどう対処したかを知ることができる良著。特に親子三代の代官一家に嫁いだ夫人(荏原郡中延村出身ということに親近感持った)が夫の死後に実弟を養子に迎え、さらに弟の死後もその息子の裏方を支えたという献身的な生き方に頭が下がる。

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世田谷代官が見た幕末の江戸 日記が語るもう一つの維新 角川SSC新書の作品紹介

幕末の動乱の中、江戸に近い世田谷の地で、時代の移り変わりを冷静に見つめていた代官大場与一と妻の美佐。彼らの日記を通して、知られざる代官の暮らしぶりや、豪農と武士との本当の力関係などを紐解いていく。

世田谷代官が見た幕末の江戸 日記が語るもう一つの維新 角川SSC新書はこんな本です

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