資本主義の預言者たちニュー・ノーマルの時代へ (角川新書)

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著者 : 中野剛志
制作 : 中野 剛志 
  • KADOKAWA/角川マガジンズ (2015年2月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047317352

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資本主義の預言者たちニュー・ノーマルの時代へ (角川新書)の感想・レビュー・書評

  • 世界金融危機以降の経済システムは、金融を成長の原動力として期待する事ができなくなり、低い経済成長率と高い失業率が続くであろうと予測し、このような停滞状況を「ニューノーマル」と名付けた。

    19世紀末から20世紀初頭はベルエポック(良き時代)と呼ばれ、欧米諸国が繁栄を謳歌した華やかな時代とされているが、実際には当時の経済成長率は年間1~1.5%程度であり、しかも極端な格差社会であった。

    WW1頃から1970年初頭までの60年間は先進諸国において格差が劇的に縮小した。それは富裕層が保有する資本が物理的に破壊されたのと、相続税や累進所得税が導入された為。さらにWW2以降になると労働組合の力が強まり、労働者に有利な経済、社会政策が採られたから。この間の30年間が資本主義の黄金時代と呼ばれている。この黄金時代を支えていたのは公共投資。

    1970年後半から所得格差は再び拡大を始め、経済成長率も低調となったが、その原因は、富裕層や大企業に対する減税など、資本家により有利となるような政策が採用されたから。これは言うまでもなく新自由主義の影響。この結果、米英の富の偏在は100年前に近い水準となった。日本でも1990年代以降、新自由主義に傾斜してこれに追随し始める。

    長期停滞を克服するサマーズの3策
    1.労働者の職能、企業の技術革新能力、構造的な税制改革、社会保障プログラムの長期的持続性の確保と言った供給力の強化。いわゆる「成長戦略」。
    2.金融規制を強化しつつ、金融緩和を行う。
    3.インフラ更新や補強の為の公共投資の拡大。

    第一次産業革命(1750-1830)蒸気機関、紡績機、鉄道
    第二次産業革命(1870-1900)電気、内燃機関、上下水道
    第三次産業革命(1960-1995)コンピューター、インターネット
    最も大きなインパクトを持ったのは第二次。

    1970年以降、米国経営者はかつてのような技術革新に挑戦する企業家としての精神を失い、自分の任期中に成果を出そうとする短期主義に陥っている。企業だけでなく、社会全般も拝金主義や自己中心的な文化が蔓延している。失敗を恐れずに何かを成し遂げる事によってではなく、社会的地位によって評価されるような風潮が顕著になった。

    技術革新のダイナミズムを失った経済では企業の寡占化が進み、新規企業の創出が鈍化する。1950年代前半の米国では規模において上位200社の粗利益の合計は全体の15%程度だったが、60年代半ばに26%となり、2004年から08年の間には30%になった。雇用全体に占める新規雇用の比率も90年から2000年代にかけて低下した。

    1980年以前は、企業の所有者と経営者が分離し、経営者が株主に対して優位に立ち、企業経営を主導していた。当時の企業は技術開発を戦略的な目的としていた。社員に対して安定的な雇用を保障し、自社技術の開発に努め、労働者の技能向上を目指していた。だが、80年頃から米国を中心に新自由主義のイデオロギーが台頭し、企業は株主の利益を最大化するように行動すべきであるという発想が蔓延した。企業は言わば金融資産の一種としてみなされるようになった。政府もこのイデオロギーに従い、株主の利益を拡大する為の金融市場や労働市場の改革を次々と行った。例えば自社株買いを行えるようにしたり、役員の保有するストックオプションのロックアップ期間を撤廃したり、外国人労働者に対するビザ発給の規制緩和により、労働コストを引き下げた。こうして「株主資本主義」が成立し、企業の目的は技術開発ではなく、株価の最大化となった。

    経営者と労働者の間で所得格差は拡大した。高額CEO上位100社の平均報酬額は70年は40万ドル、79年は180万ドル、87年は590万ドル、91年には810万ドルにまで跳ね上がった。この間、労働者の実質賃... 続きを読む

  • 著者は、ヴェブレン、ヒルファーディング、ケインズ、シュンペーター、、ミンスキーの五人の経済学者の理論を紹介しながら、一貫して、新自由主義、グローバリズム、金融資本主義を強く批判している。
    経営と資本の分離に端を発し、新自由主義のもとでコントロールできないほどに増殖してしまった金融資本主義、この社会悪を一掃する必要があるという問題意識に強く賛同する。ただ、著者のいう理想的な社会システムは、既得権益が守られ、非効率で発展しない閉塞社会の様にも思われてしまう。これが理想的な仕組みなのかどうか、良く分からないなぁ。
    新自由主義はアメリカ建国の精神に繋がり、現代アメリカの覇権主義そのものとも言えるように思う。
    「エンデの遺言」のマイナスの金利のアイデア、本書を読んで改めて優れたアイデアと思ったが、著者はどう評価するのだろうか。

  • 2009年4月
    恐慌の黙示録
    資本主義は生き残ることができるのか

    加筆、修正

  • 請求記号:331.2/Nak
    資料ID:50078658
    配架場所:図書館1F東館 め・く~る

  • 表層的だったり、現政権にべったりだったり、あるいは資本主義万々歳の風潮に対して、膨大な資料に基づく、全うな研究と洞察による資本主義の再定義と再分析のこの本は、是非とも多くの政治家、官僚、そして国民に読まれるべき一冊。

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