ライオンの蜂蜜―新・世界の神話

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制作 : David Grossman  母袋 夏生 
  • 角川書店 (2006年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047915220

ライオンの蜂蜜―新・世界の神話の感想・レビュー・書評

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  • 図書館で。
    サムソンとデリラの話は一応知ってはいたけど…突き詰めると奥が深いんだなぁと改めて思いました。聖書研究家とかは文字の使い方とか言葉の一つ一つも噛みしめるように分解して考察するんだなぁと感心いたしました。

    というわけで怪力サムソンの話。生まれる前に神の加護があるとは保証されたものの具体的には何をどうしろというお告げもなく、持っていたのは怪力だけでその力をどのように使っていいのかわからない辺り始末に負えない。負えないけど…サムソンを現代兵器とか原発とか置き換えてみるとちょっとわかりやすいかも。莫大なエネルギーをうちに秘めて、神ならざる人の中から生み出された力の大きさ故に産みだした方が困惑しているというか。でも手放すわけにはいかない辺りが人って強欲だなと思う。

    ちょっと距離を置いた辺りから見たサムソンと家族、サムソンの人物像が面白かったです。イスラエルがサムソン的武力行使を捨てきれないというのもそう言う見方もありか~と思いましたし。でもサムソンってイヤなヤツだよなぁ。婚礼の席で謎かけなんかしなくてもいいだろうに。それで恥をかかせたって暴れて人殺すなんて怖い人としか思えない。これ、同族間での出来事だったらただの鼻つまみ者ですがユダヤ人が敵対してたパリシア人に対して行った行為だから英雄として崇められたってことだよなぁ、と対岸の火事を見て居る私のような立場だとそんな感じに冷めてみてしまいました。

    面白かったので他の本も読んでみようかな、と思いました。

  • 旧約聖書の英雄サムソンの話を新たな解釈で綴ったストーリー。英雄の孤独にスポットを当て、激しくも脆いサムソンの光と影を見事に描き出しています!
    旧約聖書はキリスト教ユダヤ教共通の正典ですが、ユダヤ人から見た旧約聖書に触れるのは初めてだったので、そういう観点でも楽しめました。
    色々な神話を知りたい方にオススメですvv

  • 旧約聖書、士師記に記されている英雄サムソン。

    イスラエルを救った神の子。
    獅子を裂くほどの力を持ちながら、その命と引き換えに敵を滅ぼした男。

    多くの演劇やオペラなどで英雄として謳われるサムソンに、新たな見解で解釈に挑む。

    どうして彼は獅子を裂いたことを誰にも言わなかったのか?
    どうして罠と知りながら自らの秘密を女に伝えたのか?

    聖書には「起こった事」しか描かれない一一。
    英雄サムソンから紡ぎ出される新しい「物語」。

    ***
    面白い。
    同じ物語から出てくる新しい側面。新しい魅力。これぞ文学の醍醐味ですよね!
    感情が描かれていない聖書は特に、読みの幅がとても広い。

    はじめに聖書の原文訳も載せてくれているので、解釈にも入りやすく読みやすいです。
    神の遣いの不自然さ、ライオンの死骸に溜まる蜂蜜、確かに不思議な話なんですよね…。

    面白かったので論文調ではなく、もう少しストーリーらしくても良かったのになあと思いました。

  • 『エルサレムの秋』の訳者母袋夏生(もたいなつう)さんの訳書がもっと読みたくなったのと、イスラエルの作家は未知領域なので興味津々。

    本書は、旧約聖書の士師記に登場するサムソンのお話。

    サムソンはライオンを素手で倒した怪力サムソンは秘密を惚れた弱みで漏らしてしまいデリラに髪を切られ、敵のペリシテ人に目をえぐられる。

    本書は、士師記の第13章から16章までを最初に配し、
    その後、グロスマンが、物語として再生させている『ライオンと蜂蜜』が掲載されている。
    母袋さんの訳も読みやすく年齢を問わず楽しめる一冊

  • ●有名作家による新・世界の神話再構築シリーズ第2弾。
    旧約聖書のサムソンの物語を、微に入り細を穿って分析し、解読しております。

    ●まずは、サムソンから“英雄”の冠を剥ぎ取り、拭い去るところから。
    グロスマン解釈によると、サムソンは、荒らぶる肉体と芸術家の詩情を併せ持った、愛されなかった孤独な男だそうです。
    なるほど。それはありだ。(´Д`)
    ときおり、イスラエル国家をひきあいに出して解説するのは、ちょっと鼻につかないでもないが、それは作家の資質および物語の性質上、仕方ないってことで。
    て、グロスマン初読なんですが。

    ●まーしかし、グロスマンの解釈っぷりは、ほんまにすばらしいっすよっ。(笑)
    ベースとしている旧約聖書のエピソード自体は、決して長くはありません。だいたい16ページくらい。
    ほんとに話の骨格をシンプルに書くだけで、近代文学のように緻密に状況説明したり心理描写なんぞせんのが聖書だからな。めっさ簡明。
    そんな、体脂肪ナッシングな筋肉のかたまり(※でも小さめ)的物語を、植物組織を薄くうすく削いでプレパラートをつくるように、一行一行細かくこまかく分析していっているのがこのご本。そら、あっちゅうまに150ページ近くにもなろうてなもんだ(笑)
    なんせ一行一行について、分析・推測・意見を申し述べてるんだコレ・・・。_| ̄|○
    それが面白かったりするんですが☆
    骨までしゃぶるっつか、かめばかむほど味が出るするめいかっつかおしゃぶり昆布っつか、まあそんな感じ?
    ですから、好き嫌いはまちがいなく分かれると思いますよ。

    ●まー、ぱらぱらめくって決めるといいよ。
    解釈する方法自体がダメな人もいるだろうし、そもそもサムソンのキャラクターが嫌いな人もいるだろうし、って、しまったこの話を好きになる人のタイプがイメージできないよほほほ・・・。またしてもガクリ。

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デイヴィッド・グロスマンの作品

ライオンの蜂蜜―新・世界の神話の作品紹介

旧約聖書に描かれるサムソンのエピソードは、ペリシテ人の支配からイスラエルを救った神の子の、英雄の物語として読まれてきた。人間の不妊の女から生まれ、ライオンを素手で引き裂く怪力を持ち、ペリシテ人の手に落ちるも、最期は自らの命と引き換えに敵を滅ぼした男。しかしその物語は数々の疑問と矛盾に満ちている。なぜ神の使いは母親の前にあらわれたのか?なぜサムソンは敵の女を求めたのか?なぜライオンを引き裂いたことを黙っていたのか?なぜ罠だと知りながら、自らの秘密を女に告げたのか?著者グロスマンは、謎解きをしながら、物語を紡ぎ直す。そして英雄と称された男の、実は孤独で哀しい魂の物語を浮かび上がらせる-まるで映画のような、鮮やかさで。イスラエルの国民的作家が、自国の英雄譚を潔く、見事な論考でとらえ絶賛された、斬新な聖書の「物語」。

ライオンの蜂蜜―新・世界の神話はこんな本です

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