- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047915435
感想・レビュー・書評
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同一的な人物が2つの隔たった時で、物語は進んでいく。
入れ子構造だ。モチーフもいつもながらの性と宗教。主人公はコメディアン。語りは露悪と感傷が入り混じっている。コメディアンだからだろうか、老いの重さがひときわ切実に伝わってくる。二重構造にすることで、老いが乗り越えてはいけないものであることも暗示している。最後の「ある島の可能性」の章の荒涼さは本当にひどい。本を閉じればおしまいではなくて、こびりついて離れない荒涼さだ。ボードレールをちゃんと読もうと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウェルベック2冊目。これも強烈。
(以下、ネタバレには気を付けていますが序盤のクライマックスには触れてしまっています)
芸能の世界で寵児となり、放埓な日々を送る主人公、ダニエル。いろいろな偶然からある宗教団体に接近していく。そこでは、DNAの複製を通じた永遠の生命が真剣に研究されていた。
物語は、ほぼ現代の「ダニエル‐1」(第一世代)と、その数千年先のダニエルの複製にして遺伝的はるかに発達したネオ・ヒューマン「ダニエル―24」(24代目)と「25」の考察が交互に進む。未来では人間は感情も完全に安定し、ただ第1世代が残した記録を読み返す日々を送っている(おお、村上春樹の「ハードボイルド・ワンダーランド」の世界)。
ダニエル‐1側の性描写がとにかく激しく、電車の中で読みながら「違います、純文学です」というオーラを必死に出したが意味があったかは分からない。
そんなことより圧巻なのは、CNNのヘリが飛び交う中、教祖が実際に「復活」するシーン。さらに息を呑むのは、DNA再生技術は実は未確立のままで、にもかかわらず「いずれは実現する」ということを信じる信者たちが自分の遺伝子を登録したのち、自ら老衰した身体を「終了」させていくという展開。
科学の時代の「死後の世界の信じ方」がこれだと・・・。
これ以上はポリティカリー・コレクトに紹介する自信なし。必読に値する本とだけ言っておきたい・・・ -
2016 1.30
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読後の充実感は、久しぶり
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村上春樹に身も蓋もない社会観察と皮肉まみれのギャグセンスを足した様な内容だった。大変面白かった。
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醒めた視点の主人公からみた世界の話。それと遺伝子工学の産物であるネオヒューマンからの人類の世界の話でもある。設定的によくわからないが次第に全貌がわかってくる構成になっている。視点に突っ込み反発し同情していくのを要求される、思想を読む小説。やはりテーマは「愛」『素粒子』には及ばないなと読んでいて思ったが終わりごろになってああこれは別の凄いものを見せているなと感じた。SF小説というよりは、仕掛けや概念をSFから借りただけで、これは文学だ。
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オリジナルと何世代かあとのクローン?が交互に語って物語りは進むのだけれど、そういう構成っておもしろいと思うし、物語の設定自体もすごくおもしろく思ったのだけれど、うーん、私にはなんか読み進み難かった。
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面白い話だ。ただ二冊目のミシェル ウエルベックだけど、やっぱり読んでるとちょっと嫌な気分になる。それが消えない。