墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年9月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047916340
作品紹介・あらすじ
この子をノーボディと名づけよう-。ある夜、一家が殺害された。たったひとり、生き残ったよちよち歩きの赤ん坊が迷い込んだのは、真夜中の墓地。この日から、墓地の幽霊たちの愛情溢れる、世にも奇妙な子育てが始まった…。幽霊に育てられた少年の冒険と成長を描き、カーネギー賞とニューベリー賞をダブル受賞した、ゲイマンの最高傑作。
感想・レビュー・書評
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久しぶりにいい本に出会えた.
内容は児童向けのダークファンタジー.
だけれど,ファンタジー好きなら大人も十分楽しめると思います.
章を重ねるごとにたくさんのことを学び,成長していくボッド(Bod).それが微笑ましくもあり,ほんの少しさびしく感じられました.
特に,学校に通いだすあたりから.
あと時折はさまれるサイラスとのやりとり.いいですね,この二人.毎回なんだかほっとします.
別れのシーンが切ない.
サイラスがいい味出してます.いいです,このキャラ.
Neil Gaimanはひとつひとつのシーンの描写が独特でとても綺麗ですね.どうしたらこんなものを思いつくのだろうという表現がたくさんで,どの作品も彼の世界にどっぷり浸かってます.
映画,うまくいくといいなぁ.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゲイマンは映画の脚本家でもあるので、映画を見ているようだった。そういう点では最高の文学作品とは言えない。純文学ではなく、エンタメ。でも、とてもよくできた、素晴らしいエンタメ作品だった。
第六章まではエピソード集でありながら、物語は緩やかに繋がり、主人公は成長していく。成長物語という点では、正統派の古典あるいは児童文学なのだが、設定にオリジナリティがあって、キャラクターが皆魅力的。墓場にドルイド教の墳墓まで隠れているので、イギリスの古代から近代までのあらゆる時代の人物(の霊)がいる、というのが面白い。それぞれの時代の知識を主人公にあたえるので、現代から見ればかなりとんちんかんなところが笑える。この幽霊たちから愛されて育ったノーボディは、ピュアだが、運命を背負っている。古典の主人公のように。
第七章で物語が一気に収束するのも上手い。
ダークファンタジーながら、親子の愛情も、友情もあり、主人公を見守るサイラスがかっこいい。魔女の幽霊のライザがかわいい。
よく読める小学高学年以上に薦めたい。
映画になぜならないのか不思議なくらい。
でも、映画になったとしても、読んで楽しめる本だと思う。そんな作品も滅多にない。
調べたら、映画化の計画はあるようですね。でも、その情報自体が7年前。どうなってるのか?やっと具体化したから文庫化されたのか? -
両親を殺害され、墓場で暮らす少年の物語。一風変わった世界観でありながら、サイラスと少年のやりとりや墓場での生活の場面を通してシリアスで真剣な想い・感動が伝わって来る作品。
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一家3人が殺害されたが、よちよち歩きの赤ん坊だけが、ベビーベッドから抜け出し、うちを出て墓場へ向かっていたため、生き残った。殺害者は墓場まで追ったが、幽霊のミセス・オーエンズが赤ん坊をみつけ、守られた。そして赤ん坊は特別住民権を与えられ、ノーバディ・オーエンズと名付けられ、墓場で幽霊たちに育てられることに・・。
ノーバディ、通称ポッドは、幽霊たちの間でただ一人生きている人間だが、姿を消したり夢わたりをしたりの力も身につけ、成長していく。偶然墓場にやってきた少女と出会ったり、成長して学校にもしばらく通ったり、食屍鬼や夜鬼と会ったり。
この子供こそが殺害しなければならないと、「ジャック」と呼ばれる男は執拗に彼を狙う。
ポッドを狙う謎の組織、とても意外で、おもしろかったです。ジャックがたくさん。
すべてのものが最後に絡み合ってくるのがいいですね。ここで出てきますかーっと、スカッとする。 -
1歳のときに両親と姉を殺されて
ハイハイで近くの墓場に来て
幽霊や異形のひと(モンスター的な)たちに育てられる話
人間なのに人間離れしてて
面白い
後見人のサイラスがかっこいい -
主人公を支える生き生きとした、死者達が魅力的。
後半以降がスピードアップして読めた。 -
装丁の美しさに惹かれて手に取った。
部屋のアクセントとして置いておくには良さげ。
文章も読み易くとても丁寧。
ただ読み始めてすぐ、子供がベッドから外へ出るくだりでリアリティが無いなぁと読み進める気力が無くなり終了。 -
幽霊に育てられた少年の奇妙な冒険と成長物語。
ある夜一家全員が何者かに殺害され、たった一人生き残った赤ん坊は、墓場に迷い込み、そこで幽霊たちは話し合い、力を合わせて育てることにする。
というストーリー。
カーネギー賞とニューベリー賞をダブル受賞したということですが、児童文学らしく、本当に楽しく読み進められました。
優しい気持ちになれる良い物語でした。 -
家族を殺害され、幽霊に育てられた少年。設定が面白く興味がわいた。ジャンルとしてはYAか児童文学か。