スターティング・オーヴァー (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048660013

作品紹介・あらすじ

二周目の人生は、十歳のクリスマスから始まった。全てをやり直す機会を与えられた僕だったけど、いくら考えても、やり直したいことなんて、何一つなかった。僕の望みは、「一周目の人生を、そっくりそのまま再現すること」だったんだ。しかし、どんなに正確を期したつもりでも、物事は徐々にずれていく。幸せ過ぎた一周目のツケを払わされるかのように、僕は急速に落ちぶれていく。-そして十八歳の春、僕は「代役」と出会う。変わり果てた二周目の僕の代わりに、一周目の僕を忠実に再現している「代役」と。ウェブで話題の新人作家、ついにデビュー。

感想・レビュー・書評

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  • 幸せな人生を送ってきた一週目の僕、二週目をやり直すことになったが、かつての恋人に振られたことをきっかけに落ちぶれていく。この本にはこんな言葉があります。(こんな感じだった)
    最初から一番を目指していたから三番になった。でも、最初から三番を目指すと九番ぐらいになってしまう。
    すごく考えさせられる本でした。

  • 三秋縋氏の小説デビュー作。2013年初版。主人公が20歳の誕生日に10歳前の自分にタイムスリップし、そこからの10年を描いています。最初、一周目の10年は素敵な彼女を持ち、誰もが羨む理想の人生。ところが2周目は誰からも相手にされない悲惨な人生。途中、ダラダラ、グデグデで面白くなかったけど、最後はヒイラギとの仲が進展してハッピーエンド。

  • 三秋縋さんのデビュー作を読了。
    総じて輪廻転生における第二周の人生の物語でしょうか。
    何一つ問題なく過ごせた幸せな人生から一転、転落の人生へと。
    一周目の記憶が残ったまま過ごす人生ってのは想像できないけど、それならではのファンタジーが綴られていると思いました。
    結局二周目の悪夢に悩まされているのは主人公だけでなく、ヒイラギもかな。
    二十歳のあの時間を超えて、歴史は変わって。
    ふたりの第二周の本当の人生が始まっていくんでしょうね。

  • 三日間の幸福を読了してから三秋さんの作品を全て読みたい欲求に駆られこの本が2冊目の本になります。嫌なことがあった日の夜に三秋さんの作品を読むのが大好きになりました。この方が書く言葉は私が言葉に出来なかった感情を表してくれてとてもスッキリします。その中でも心に刺さった言葉が「相手が嫌な人間だと感じたら、その時点で、少なからずこちらにも責任があるってことさ。」個人的な話になってしまうが、真面目で化粧っ気がない仕事の先輩方は、化粧は濃くピアスを大量に開けてる私に対して当たりが強くなるのは自明の理ってことなのですね。やる事ちゃんとやってても、まだこの世界は一般的な基準からズレた行動をすると排除したがる。私だって真面目で勉強ができて、いい子で手のかからない子供だったはずが、いつからか生きる理由価値を見出せず、自傷行為だけが唯一本当の自分に戻ってこれる方法だと信じて疑わなくなってしまったのか…この本の主人公みたいに、どこかで歯車がズレてしまったのでしょうね。そしてもう一つ「微妙な違いで人は変わってしまうし、変われるんだ。人の行く先なんて、わからないものさ。ただしそれが意味するのは、今後僕らが幸せになれない理由も、どこにもないってことだ。今までそうだったから、これからもそうだろうなんて考えは、捨てちまえばいい」本当にかけて欲しい言葉をかけてくれますね。少し心が軽くなりました。最後に書かれてるあとがきは三日間の幸福と同じく、孤独って感情が湧き上がりました。三秋さんの描く世界は繊細で雨上がりの空みたいに綺麗に輝いていて、でも孤独で触れたら壊れてしまいそうな儚さが佇んでいるような…目が離せないそんな世界。三秋さんの作品に出会えて本当よかった。

  • 私の1番好きな本。昔読んだ作品で、再び購入して読んだ。
    どうしようもないとき、辛いとき、苦しいときはいつもこの本に助けられる。「今までそうだったから、これからもそうだろうなんて考えは、捨てちまえばいい」というセリフが、心の支えになる。
    人生が辛い、上手くいかないと思っている人にこそ読んで欲しい作品。

  • 「微妙な違いで人は変わってしまうし、変われるんだってことを。」確かにそうだとは思うけど、それが難しいんよなと思う。
    何故かはわからないが最初から最後まで主人公の感情がそっくりそのまま自分に伝わってくるような、同じ感情の起伏を進行形で味わっているような、そんな物語だった気がする。特にラスト。僕まで見える世界が一変した気がした。
    この独特の読後感はやっぱり好きだな。僕は今後も三秋さんの物語を読んでいくんだろう。
    気になっていたんだけど妹さんが最後登場してくれて少しホッとした。

  • 20歳までの人生を何の不満もなく生きてきた1人の男性が、10歳まで時を巻き戻されてしまい、1周目とは全く違う人生を送る羽目になるという話。
    こんな悲しいことは言いたくないが、2周目で酷く荒廃しきった、迂闊で怠惰な生活を送る"僕"の姿が、中学までは何もかも美しく見えてがむしゃらに頑張っていたが高校から何も頑張れなくなってしまっている私自身の姿と重なり、私はこの主人公のように「死にたい」とまでは全く思わないのだが、生活の中で抱く負の感情には共感できる要素が多い気がした。少し歪んだ陰湿な話で、読んでいて前向きになれるようなストーリーではないのでワクワクはしなかったが、最後の"反撃開始といこう"の一言でなんだかスカッとした。三秋さんの作品他にもたくさん読んでみたいと思います。

  • 願いってのは、腹立たしいことに、願うのをやめた頃に叶うものなんだ。

    二周目の人生は、十歳のクリスマスから始まった。全てをやり直す機会を与えられた僕だったけど、いくら考えても、やり直したいことなんて、何一つなかった。僕の望みは、「一周目の人生を、そっくりそのまま再現すること」だったんだ。しかし、どんなに正確を期したつもりでも、物事は徐々にずれていく。幸せ過ぎた一周目のツケを払わされるかのように、僕は急速に落ちぶれていく。…そして十八歳の春、僕は「代役」と出会う。変わり果てた二周目の僕の代わりに、一周目の僕を忠実に再現している「代役」と。ウェブで話題の新人作家、ついにデビュー。

  • 【歯車をかけ違えた幸福の形、一度きりだからこそ意味が産まれる人生】

    一周目の人生に満足していた僕が二周目の人生を送る中、自分の代役の存在に出逢う物語。

    人は誰しも自分の人生に不満がある。
    若くて未熟だったせいで犯した過ち。
    理想を目指そうとして間違った完璧主義を求める傾向。
    そんな無念な想いの残滓が、後悔の鋳型となり、己の人生に立ち塞がる。
    どんなにやり直す機会があろうが、本当に満足する結果なんて得られない。

    むしろ、今の不満ばかりの人生の中で自分なりの幸福の形を探す事にこそ、人生を変えるきっかけが眠っているのだ。

  • 『ライ麦畑でつかまえて』が、人の心を揺さぶるほどの作品には感じ取れなかったのだけれど、むしろ私は拒絶する部分が多々見受けられ、非常に読みにくかったのだけれど、だからと言ってどこかを手直しするようには見えないのだけれど、『ナインストーリーズ』の「バナナフィッシュ日和」を読むと、こういう書き方もあるのかと、思ってしまった。『サリンジャー戦記』を読み、魅力を知ろうと、「君」と連ねていく姿勢についてを読んだところで、ちらちら読んでみたいなと思っていた作家で『ライ麦畑でつかまえて』が関わっているというこの作品を読み始めてみた。『君の膵臓をたべたい』と同じようなスピードで展開が気になり、早く読めてしまった。しかし、この作品は文庫版初版は2013年と大分古い作品だった。最近の作家さんだと思っていた。『ライ麦畑でつかまえて』と似ているような語り口ではあるが、上手にわかりやすく使われているなと思う。これが処女作だというのだから、落ち着いた書き手だなと思う。

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著者プロフィール

WEBで小説を発表していた作家

「2015年 『僕が電話をかけていた場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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