ベンチウォーマーズ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 167
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048667838

作品紹介・あらすじ

「選ばれた者は受験に失敗する」と言われるクラス対抗駅伝、通称"落伝"。今年クジ引きで選ばれたのは、部活でベンチを温めているだけのそれぞれ問題を抱えた5人だった。バレー部のエースだったがケガでリハビリ中の吉住朔。厳格な父親に反対されながらもバスケが大好きな工藤康太。自分が嫌いすぎて内面を隠す女子マネージャーの花岡伊織。言い訳ばかりで自分に甘いちょっぴりおデブな井上勇樹。家庭の事情によりアルバイトで練習時間が少ない風見恭子。-彼らの熱い夏が始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 「言っただろ?男には走らなくちゃいけない時があるって」(勇樹)


    クラス対抗リレーに選ばれた男女5人。
    スクールカーストの上も下もいるメンバーの共通点は部活で補欠組という事だけ。

    個性的なメンバーでそれぞれクセが強かったけど、読み進めていくうちにそれぞれ愛着わくキャラになってきた。
    補欠組の心情が分かるので特に面白く読めた。

  • 表紙カバーのイラストと題名から
    バスケかバレーのスポ根ストーリーかなと思っていましたら
    少~し違っていたようです....

    高校の校内で開催されるスポーツ大会の駅伝種目の選手を
    くじで決めた二年C組。ところが選ばれたメンバー5人の全員が
    あろうことか現役ベンチの男女ばかりが揃ってしまったという....

    なかでもバレー部エースの吉住朔(さく)は
    膝のケガでリハビリ中なのにも関わらず、担任でバレー部顧問の
    金やんこと金子先生からリーダーになれと仰せつかり

    複雑な家庭環境に仮面を被せて良い子を装うサッカー部マネージャーの花岡伊織
    厳格な父親に好きな部活もままならないバスケ部補欠・工藤康太
    やる気ゼロで太っちょ卓球部補欠・井上勇樹
    何を考えているのか無口で挙動不審なバスケ部補欠・風見恭子

    このメンバーたちをまとめるはめになってしまうのです。

    揃いも揃って全員ベンチを温めるだけの、ただせさえ運動音痴というのに
    5人それぞれには何やら内に秘めた問題をかかえているからなのか
    なかなか気持ちが一つにまとまらない。

    リーダーの朔でさえ、ケガからエースに這い上がれないという
    葛藤の中でもがいていて...

    果たしてこの5人は二か月後に開催される大会で
    駅伝の襷を繋ぐことができるのでしょうか....。

    5人それぞれのもやもやとした感情のわだかまりを、一人一人が自分自身の中で
    解きほぐしていくのに必要なのはやっぱり友や同士の力。
    悩み苦しみながら励ましあい助け合うことで少しずつ気持ちを変えていく。

    "走るのは一人だけど、一人じゃないんだよな。"

    多感な高校生たちの友情青春物語です。

  • 50を超えたおじさんが、高校生のキュンキュンものを読む、なんかなーと思いつつ、なんだかちょっと元気づけられる暖かい一冊。出てくるメンバーの井上のバカさ加減は、ややイライラするが。

  • 物語は飽きることもなく読ませる、バランスのとれた作品。

    作者の後書きに興味深い一言があるので抜粋。

    『迷路の壁に「出口」と書けばそこが出口になるくらい力強いパワーを持っていた気がします。』
    この人の書いたエッセイなんかも読んでみたい気もするが、それはまた別の話。

  • この本を手に取ったきっかけは、本屋さんの『酒飲み書店員大賞コーナー』でした。


    え~どんなコーナーよ、それ!笑


    が、最初の印象です。でもなんと12回も選考会をしている様子!これは面白そう!と思い、購入しました。
    これが読んでみたら、酒飲みじゃなくても楽しめる!なんとも、青春真っ只中のお話でとても心地が良くなる本でした(^^♪

    出てくる5人は最初、本当に不器用です。というか、素直じゃないというか…でも作りすぎてなくて、共感できるところも沢山あって。



    THE・高校生の青春!



    っていうのが、第一印象でしたが…
    高校生じゃなくても、こういう場面あるなって思います。

    例えば、大きなプロジェクトにかかわって出世すると自他ともに思っていたのに外された上に転勤とか…自信がなくて積極的に行動できなかったりとか…

    本質的な部分って、環境が変わっても同じだなって。

    「いやいや社会人になったら、もっと複雑でしょ~」
    なんて言わずに、ぜひ読んでほしい!

    がんばることのキラキラさを思い出せますよ~(*^^*)

  • 登録番号:11602 分類番号:913.6ナ

  • 評価:☆4.5

    選ばれた者は受験に失敗するというクラス対抗駅伝、通称落伝。選ばれたのは部活でベンチを温めているだけのそれぞれ問題を抱えた5人だった――。

    本筋も進めつつ、各章毎に各キャラに焦点を当てて掘り下げていくという構成。

    ・朔
    本作の主人公で、膝を痛めてリハビリを続ける元バレー部エース。
    特別に苦労することなく才能で全てを掴んできた朔の苛立ちや焦り、そしてそこから周りの人達からも影響を受けて少しずつ向き合っていくのは描写も丁寧で感情移入できた。

    ・伊織
    学校では良い子ちゃんを演じているが実は・・・系の女の子。
    あんな環境で育って演じ続けてってめちゃくちゃ根性あるよなー・・・崩れていくところは読んでて辛かった。
    二次に限るがこういう子は割と好き。こういう子が、というか仮面が剥がれて素を見せるようになる瞬間が好きw
    親のしがらみに囚われていた伊織が3でも2でもなく1になっていくところはグッときた。

    ・康太
    結果よりも努力の過程が好きだという男の子。
    だが親には結果が全てだと求めらてて・・・といった感じ。
    作中での成長具合は一番かもしれない。
    伊織のツンデレにやられてる辺りドМで将来が心配だ(笑)気持ちは分かるがな!w

    ・勇樹
    ヘイトが集まりがちなキャラだけど根は悪くないから最終的にそこまで印象悪くなかった。
    家族を大切に出来るやつに悪いやつはいない。

    ・恭子
    可愛すぎかー!!!
    恋する乙女の破壊力は半端ないですねwドキドキがこっちまで伝わってきた。
    「伊織ちゃんのこと、応援なんかできないくらい、好きだよ」
    このシーンめっちゃ好き。

    ・総評
    どこか欠けた少年少女達がお互いに影響しあって少しずつ前を向いて走っていく姿は正に青春といった感じで読んでて気持ち良かった。
    内面描写も丁寧にしてくれてたので感情移入もしやすかったのがグッド。こういうの凄く好み。
    ☆5にするか迷ったけど最後の駅伝シーンでカタルシスが来るとばかり思っていて、若干肩透かし食らっちゃったので☆4.5でw

    「疼きの原因はな、焦りだよ。神様に振られた焦りだ」
    「――うん、いいんだ。俺、今ここでやりきんなかったら、膝も治らない気がするから」

  • 高校のクラス対抗駅伝。男女5人の青春だ。それぞれのキャラが良い感じで好きな話しだな。 2015.11.4

  • 高校内のクラス対抗駅伝にくじ引きで選ばれたバラバラの五人。

    バレー部の元エース、今はリハビリ中の朔、
    努力家だけど万年補欠の康太、
    聡明であることを隠し天然お嬢様を装う伊織、
    常に言い訳と食欲を手放さない勇樹、
    苦学生で練習時間が取れない恭子。

    それぞれキャラが魅力的でとってもいいんだけど
    メインの最も期待しているところをすっ飛ばしてるので、え、そこを書かずにいったいどこを書くんだ…!? って気分に。

  • テストの後のスポーツ大会の中で行われる駅伝。
    出場した人はなぜか受験に失敗するということから通称落伝と名付けられた競技に、ケガをしたバレー部のエース、サッカー部のマネージャー、バスケ部の補欠、バイトしながらラクロス部の部員、卓球部のダメ男が挑む。

    成田さんの作品は人の心の動きをしっかり捉えていて読んでいて引き込まれますね。
    ムカつくやつの心理状態までしっかり描いてしまうのでそこにイライラしてしまうこともあるのですが、そこがまた面白いです。
    駅伝の大会ながらその過程にこだわって書いてあるのもいいですね!
    次の作品もまた読みたいな!

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著者プロフィール

1975年青森県生まれ。東京外国語大学卒業。『月だけが、私のしていることを見おろしていた。』で電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し作家デビュー。シリーズに『東京すみっこごはん』『今日は心のおそうじ日和』がある。著書に『ベンチウォーマーズ』『ハレのヒ食堂の朝ごはん』『坊さんのくるぶし 鎌倉三光寺の諸行無常な日常』『世はすべて美しい織物』『時かけラジオ 鎌倉なみおとFMの奇跡』『いつかみんなGを殺す』などがある。

「2023年 『月はまた昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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