断章のグリムVIIIなでしこ・上 (電撃文庫 こ 6-21)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 644
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048671729

作品紹介・あらすじ

七月初め。金森琴里が自殺した。恋人の石田臣は、その理由について自分を責めていた。琴里の机の上に置かれた花瓶の前で落ち込み悩む臣。やがて、無言のまま乱暴に一本の白いユリを引き抜き、立ち去っていく。机の上にこぼれた水が広がり、その上に人間の足跡が浮かび上がったことに気づくこともなく-。人魚姫の"泡禍"事件から二ヶ月。一人残された海部野千恵を見舞いに、蒼衣は雪乃と離れ、再び海辺の町を訪れる。そして、蒼衣の目の前で繰り広げられたのは、琴里の母親の惨劇。彼女の死を悼み臣が持ち帰った白いユリは、決して枯れることもなく静かに風に揺れていた-。鬼才が贈る悪夢の幻想新奇譚、第八幕。

感想・レビュー・書評

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  • 「なでしこ」なるグリム童話があることを初めて知りました。内容的にも覚えがなかった。
    田舎の独特な空気感というか、夜の静寂の怖さみたいなものがイメージできる分ゾッとします。(田舎の人間なので)
    後半どうなるのか想像できないので、先が非常に気になります。

    あ、三日月さん。カラスはもっとデカイと思いますよ(笑)。

  • 「遠い遠い御庭」
    断章を抱えてしまった者。
    他人に使うなら頼もしい能力であるが、自分にまで発動してしまうとなると恐ろしいものだな。

    「赤い赤い泉水」
    枯れずに咲き続ける花は。
    何度も悪夢を見るのなら無意識にでも汚れを発見しそうだが、そこまで気が回らなかったのか。

    「昏い昏い童話」
    マイナーな話だからこそ。
    知らない事は多いだろうが、改変版などが少ないほど解釈しやすく配役も分かりやすいだろう。

    「淡い淡い撫子」
    家の中へ残る濡れた足跡。
    不自然にはなってしまったとしても、良くないものが入り込んだなら連絡し待機すべきだろう。

    「朱い朱い黒犬」
    襲ってきたのは知った顔。
    騎士として闘う能力がない場合、情報を持ち帰ろうにも自身が狙われたら逃げるしかないよな。

  • かつて泡禍に巻き込まれ、家族をうしないながらも生還した海部野千恵のお見舞いに、蒼衣と神狩屋がやってきます。そこで彼らの身に、新たな泡禍が降りかかります。

    石田臣(いしだ・しん)の恋人の金森琴里(かなもり・ことり)が自殺します。臣の親友で千恵とおなじく泡禍から生還した木之崎一真(きのさき・かずま)は、「雪の女王」の名をもつ著名な騎士である雪乃に、臣を救ってほしいと依頼しますが、琴里の家族にさらなる被害者が出てしまいます。

    再登場を果たした千恵ですが、今回のストーリーの前編にあたるこの巻では、それほどめだった動きはありません。今後の展開にどのように彼女がからんでくるのか、すこし気になります。

  •  最後の最後になんて爆弾持ってきやがったんだ…。しかも超弩級の爆弾を……。

     筆者も書いているように『なでしこ』という話は相当マイナーなようで、ネットでちょっと調べてみても全くヒットしなかった。だから『なでしこ』を知るのは本書が最初だったりする。『なでしこ』の内容は、最後にお妃が死んでしまいそれに釣られるように王様まで死んだというのに、王子はそれに動揺する事無く自ら創りだした美しい女の子と楽しく暮らしたという描写が酷く空恐ろしさを感じさせる。いったい今度の話がどのような結末を迎えることになるのか、今から恐さを感じつつ楽しみに待ちたい。

     しかし、今回の話はまだ上巻と言うこともあるのかそれほど恐ろしい描写も無かったのだが、最後のアレだけは駄目だった。最近の『断章のグリム』には恐怖の法則性が少し見えたような気がしたため慣れてきたつもりだったのに、最後のあの情景だけは本を読んでいるだけで寒気を感じてしまった。もし夢に出てしまったらどうしてくれよう。

  • なでしこ、と言われて『撫子』かと思ったら
    カーネーションの事、だそうで。

    一体どんな童話なのかと思っていたら、知ってます。
    あれはそういう題名だったのか、と。
    単純に考えれば、花になった少女そのまま、だと思いますが
    どうなのでしょう?
    そこは予想通りで…という事にもなりそうですし
    まったく違う方向にもなりそうで。

    同じ地域再び。
    そして断章持ちとなってしまった、再登場少女。
    潔癖症=泡、はどうなるのでしょうか?
    泡で肌が…は、描写がないので大丈夫ですが
    むしろグロはまったくなく大丈夫w とか思っていたら…。
    そうですよね、結局ちらちら出てくるか、がっしり出てくるか。
    中身がないって…。

  • 再読。

    比較的大人しい泡禍かと思いきや
    そんな事なかった。
    スプーン一杯 恐るべし。

  • 《購入済》グロさ控えめ、今巻は普通のホラー小説のようなテイストだった。過去に出て来たキャラクターも登場し、なんとなく番外編のような雰囲気もあり、一味違う楽しみがあった。
    上下巻なので、次巻での加速が待ち遠しい。

  • 913.6 コ8 登録番号8073
    生徒リクエスト

  • 作者独自の解釈とグロテスクさは相変わらずな巻。それぞれのまっすぐな心が余計につらい。

  • シリーズも9冊目。
    グリム童話の「なでしこ」は原作を知らないんですが、本文中に載せてくれてるので概要はすぐに解りました。っていうか、グリム童話って200話以上あるんや!?
    ちびっこの頃に読んだ有名どころしか知らないのでそんなに沢山あるとは思わんかった。
    今回も誰が元凶なのかさっぱり解らないまま上下巻を一気に読み終えてしまいました。今回はなんというか、お爺ちゃん一人が可哀想すぎなんじゃ…。

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著者プロフィール

1977年、岡山生まれ。津山三十人殺しの舞台となった津山市出身。二松学舎大学卒。民俗学および魔術に関して知識を豊富に持ち、『Missing 神隠しの物語』で電撃文庫デビュー。著書に『断章のグリム』『時槻風乃と黒い童話の夜』『夜魔』『ノロワレ』『霊感少女は箱の中』シリーズなど。

「2022年 『Missing13 神降ろしの物語〈下〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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