ジェネラルパーパス・テクノロジー―日本の停滞を打破する究極手段 (アスキー新書 70)
- アスキー・メディアワークス (2008年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048672405
作品紹介・あらすじ
グーグルに代表される新しい企業が経済を牽引するアメリカ、驚異的な成長を続けるアイルランド。これら「21世紀型産業国家」が発展する一方で、なぜ日本は90年代以降の低迷から脱却できないのか?その原因は、ITを活用できない社会構造そのものにある。日本が向き合うべき最重要課題と、その解決手段を提示する。
感想・レビュー・書評
-
新しい情報通信技術であるITは、GPT(汎用技術=General Purpose Technology)であり、組織や社会の構造と密接な関係がある。現在の日本社会はITと不適合でありその利益を享受しておらず、この点に関して基本的な転換がなければ日本経済の活性化を期待することは出来ない、という主張。ITというのは社会や組織の根幹的な情報システムに関わるもので、その意味でそれは社会インフラであり、このインフラの上での新しいビジネススタイルへの転換ということがIT革命の本質というわけですね。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金融業は情報産業である。
扱っているのは情報だけ。
今更ながらだが、IT革命は産業革命に匹敵する。そして社会主義の崩壊は情報のないところから崩壊がはじまった。ソ連の中央集権主義的なメインフレームがアメリカのクライアントサーバ型に負けた。日本は電電公社を中心となって50年代半ばに独自でコンピュータを作り上げた。当時はIBMの特許が必要だった。日本のITサービス産業でビッグ5といわれるのは、富士通、NEC、日立、IBM、NTTデータ。
IT活用のもっとも熱心な分野が小売業。
日本はNTTを中心にした独自の発展をしてしまった。ISDNにかけた予算が莫大すぎてADSLに移行できなかったり、技術過信が招いた誤算が多すぎる。ガラパゴスといわれるゆえんかもしれない。しかし、それでよいと思う。世界が日本についてこれないんだよ。 -
[ 内容 ]
グーグルに代表される新しい企業が経済を牽引するアメリカ、驚異的な成長を続けるアイルランド。
これら「21世紀型産業国家」が発展する一方で、なぜ日本は90年代以降の低迷から脱却できないのか?
その原因は、ITを活用できない社会構造そのものにある。
日本が向き合うべき最重要課題と、その解決手段を提示する。
[ 目次 ]
第1章 ITは経済社会の基幹技術
第2章 ITとは何か?―ITへの移行を、コンピュータと情報システムの観点から見る
第3章 日本の情報システムはどうなっているか?
第4章 日本の電子政府は「おもちゃ」
第5章 ITが経済社会の基本構造を変えた
第6章 未来への選択
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
官に関わっているとどの話も耳がいたい話。
-
日本企業、政府がITオンチであることについてわかりやすく書いてありました。
職業柄、電子政府のくだりはスゴくおもしろく読めました。
アメリカではIT使って個人がバンバン起業してそれが経済をひっぱってるから日本もそうしたらいいよ!っ書いてあったんですが、日本人てどうもそういうパイオニアスピリットに欠けますよね。自分も同様なので反省。
IT使ってできること、もっと研究してきます。 -
アメリカ、アイルランドなどが経済発展を続ける一方で、なぜ日本は低迷から脱却できないのか?その原因は、ITを活用できない社会構造そのものにある。日本が向き合うべき最重要課題と、その解決手段を提示する。(TRC MARCより)
-
企業・行政でITが有効利用されていない実態と、この国のITの現状が以下に危ういものであるかを示した上で、この国やそこに存在する企業がITをジェネラルパーパステクノロジ(GPT汎用技術)として利用するためにはマネージメントの変革が必要だと訴えている。
ドラッカーの著書等に親しみのあるものにとってはイノベーションの変化に組織を対応させるためにはマネージメントの変革が必要だという認識はもう持っていると思うが、本書でもそれを強調している。またなぜ日本のIT産業に競争力が無く結果この国の競争力が低下している実態についても手短にまとめられている。
少々乱暴だが、それなりにはちゃんとまとめられてはいると思う。
梅田望夫氏の一連の著作とはベクトルが逆方向だとは思うが、同じ層に対して、如何に今がダメで、その原因がそこにあり、そこに変革を求めているという点では共通点も多い。