さよならピアノソナタ4 (電撃文庫 す 9-10)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 642
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048674294

作品紹介・あらすじ

真冬と出会った春。海への合宿とはじめてのライブを経験した夏。さまざまなイベントを経て真冬への想いに気がついた秋。-そして冬。真冬の誕生日とクリスマスの季節。ナオはその機会に自分の想いを言葉にしようとするが、神楽坂の思惑や千晶の想いに翻弄され、なかなか一歩が踏み出せない。一方で再度のライブに向けてフェケテリコは練習を開始する。そんな中、真冬の身に異変が起こり-。はたしてフェケテリコと四人の恋の行方は?おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織りなす物語、完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 普通に転がったなら、必ず何処かで致命的な結末を迎えるしかなかったはず。そんな物語に、音楽というこの世で最も強い力が、様々な魔法を起こします。それは時に甘美な奇跡を与え、また時に、悪夢のような悲劇をももたらすのです。
    音楽というエッセンスがこの小説に与えている効果は絶大で、驚くほどに馬鹿で鈍感で純粋な主人公が、艱難を乗り越えて奇跡のようなハッピーエンドを手にするのも、要所要所でクリティカルな役割を果たす音楽の力の存在があるからこそ。そしてそれが杉井さんの圧倒的な描写で描かれた音楽だからこそ、不思議な説得力があるのだと思います。

    終盤は興奮してまともに文章が頭に入ってこなくて、何度も読みなおさなくてはならなくて苦労してしまいました。とにかく最高です。
    その最終和音の余韻の最後の一滴が尽きるまで、味わい尽くしたくなる素敵な本でした。

  • 最後のライブに真冬は故障で参加できず、
    でもいないはずの真冬の音を聞いて満足しつつ終了。

    最後は前日夜に翌日の朝練の約束をして千晶と別れるのに、
    それをすっぽかしているかもわからない真冬に会いに行って終了。
    一人待ってる千晶を想像するとすごい不憫だと感じてしまった。

    そんなこんなで後日談へ。

  • 前回の文化祭の続きかと思ったのに…。今までの積み重ねを全てひっくり返すようなストーリー進行は一体何なのだ、とものすごく心をざくざくと切りつけられるような展開にかなり痛めつけられました。だいたい鈍感すぎるナオが悪いのだけれどヒロインたちにも罪があるよね。ナオがこういうヤツだと分かっているのに…。傷つき傷つけられることは大人に向けた一歩であるのは間違いないので、本作品はまさしく青春物語であったと言えましょう。そして、凪いだようなエピローグから感じるカタルシスに打ち震えました。二人の未来が幸せでありますように。

  • 言葉を魂の底まで届かせるには血を流すか、歌を流すか。響子の台詞はキザなところもあるけど、ところどころで共感できたり、納得ができたりする。

    響子とユーリの会話は噛み合っていて笑った。

    最後の、泥棒市場をキーワードに再会を果たすのはロマンティックだった。

  •  熱い。ホント熱い。
     作中の季節は冬で雪とか降っているのにめちゃ熱い。上手く表現することはできないけれど、この作品で書かれていることは心に深く突き刺さるのだ。少年漫画のような熱さではなく彼らの置かれている状況が青春風景の中に居るからなのだ

     それにしても直巳の鈍感さは何なのだろうか。正直言って読んでいて全力で殴りたくなる程に鈍感である。ようやく相手の想いに気付いてからも全く動けず極度の優柔不断っぷりを披露している点にはもう賞賛さえ贈りたくなる。だからこそこの巻では皆の想いが溢れ出し直巳に心労を負わせることになるのだが。
     直巳は徹底的にぶちのめされる。何度も傷付き涙を流し倒れてしまう。ある意味痛々しくさえもあるのだが(プレゼントの件含め)、因果応報というべきかそれとも巡り合わせというべきか悩む点ではある。クライマックスでは今までにないほどボロボロの状態のフェテケリコがステージに立つ様は読んでいながら「もうやめてくれ!」と言いたくなってしまうほど

     この作品を読んだ事で様々なジャンル、時代の音楽に触れてみたいと思うようになったのは大きなきっかけだったのかもしれない。

  • 過去最大級に主人公の鈍感さに腹が立った。
    無神経すぎるだろう・・・

    最終的には想いが通じたから良かったのかもしれないが、結果的に主人公以外のキャラクターの印象が強くなる。
    特に、クリスマスライブ当日の哲郎の言動は格好良かった。

  • 再度、ライブに向けて走り出そうとするフェケテリコだが、真冬の身に異変が!?
    真冬の誕生日、ライブ、そして4人の恋の行方は!?
    本編完結編。

    哲郎め(笑)
    神楽坂先輩も千晶も波乱を起こしたけど、それ以上に哲郎なんだよ!
    恐らく、神楽坂先輩がシリアスモードになるから哲郎の存在が際立って、バランスが取れて、彼なしでは成り立たなかった最終巻だったと思う。

    シナリオが直球だから意外性がないけど、王道感があってよかったかな。
    みんな器用そうで不器用、だけど、青春を感じられて、シリーズ通じて楽しませてもらいました。
    あと、後日談が1冊あるようなのでそれも楽しませてもらいたい!

  • 本作の特徴は、性欲を全く感じない主人公とヒロイン。
    1~3巻ではその鈍感さとワガママっぷりに若干イラつく場面もあったが、4巻で二人の関係が動き出した瞬間、そんな事がどうでもよくなる程引き込まれてしまい、深夜に一気に読み込んでしまった。

    最終巻の最後の最後まで、二人の関係に特筆すべき進展はない。「心からの願いの百貨店」から帰るラストシーンも、キスすらせずに手を繋いで帰るだけ。
    中途半端な恋愛を描くのではなく、徹底的に"甘酸っぱい青春"を描いた事が、青春純愛物語として高い評価を得るに至った要因だろう。

    失われた(そもそも存在しない?)甘酸っぱい青春を疑似体験するにはうってつけ。読みながら何度もため息が出ます。

  • 評価:☆4.5

    おかしくて少し切ない、恋と革命と音楽が織りなすボーイ・ミーツ・ガールストーリー、感動の完結編。

    まさかのここにきて神楽坂先輩が仕掛けてくるとは思わなかった。もう千晶と同じく見守りポジションになると思ってたから意外だった。先輩にはこういう役回りはして欲しくなかったっていう気持ちもなくはない。自分でも最低だって言ってるしね。

    真冬は再び右手を痛めてしまう。今度は心因性のものではなく、無理な弾き方をしたことによるもので、ナオにもどうしようもない。
    無理してでも、壊れてでも、直己のために弾くといった真冬に対して「なんで……なんで、そこまで」ってそりゃ酷いよナオ。
    屋上での会話や誕生日プレゼントのときは良い感じだったのにどうしてそうなる・・・
    プレゼントしたCD、中身だけは持っていたいという千晶に対しても「な、んで……?」とか言っちゃうし、鈍感もこういう展開だと擁護出来ないよなぁ。しかしそんな気持ちに、真冬からもらったカセットで気付くっていうのは切ない・・・。

    ここ一番の哲郎の「間に合わせるから!」はグッときた。変なところで父親されると涙腺緩むからやめてくれよ・・・。

    真冬は渡米し、二人は少しの間距離を置く。
    そしてロマンチックな再会。綺麗な締めだったと思うけど、最後ぐらいはナオから動いて真冬に逢いに行って欲しかったなぁ。

    まだ後日談?の短編集もあるようで。そちらも楽しみ。

    「中身まで返すわけないでしょ、あたしの宝物なんだから!それくらいわかれバカ!」
    「あのときから、……真冬が、好きだった」
    「ずっと、待ってたのに」

  • 9784048674294 331p 2008・12・10 初版

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》受賞者。代表作に『神様のメモ帳』『さよならピアノソナタ』など

「2023年 『楽園ノイズ6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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