嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』 記憶の形成は作為 (電撃文庫 い 9-10)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
4.04
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本棚登録 : 1147
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048678445

作品紹介・あらすじ

むかしのことを考えると頭の中が深夜のテレビみたいにノイズだらけになるさっこん、いかがお過ごしでしょうか。これは、ぼくがまだ僕になる前の話だ。家庭内にぎやか事件のあと、ぼくはいろんな人と出会った。恋日先生、じさつ志願者、いじめっ子少女、にもうと、そして、マユちゃん。みんな(とくにマユちゃん)の純粋むくな姿がめじろおしでおとどけなのである。…むかしのぼくは正直ものだったんだよね。うそだけど…今度、じしょでうそって字を調べとこう。

感想・レビュー・書評

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  • 監禁事件後からみーくんになる前の話と、if物語の短編集。

    【春】
    監禁事件から開放されて精神病院に入院していた際の話。
    そんなんだと恋日先生が先に壊れてしまう気がする。
    そりゃ無気力にもなりますわー。

    【夏】
    小学校に復帰していじめられる話。
    マッチポンプはわからないようにやらないと意味がないのだけども。

    トーエのいじめていた理由は引きますね。

    【秋】
    事件前のにもうとと過ごした際の回想。
    デレてますね。
    そして大人の猟奇は怖いですね。

    【冬】
    うっかり「まーちゃん」と呼んでしまい、「みーくん」にされかけたお話。
    なんというか、まーちゃんは外に出していい状態なのか心配になるね。

    【if】
    父親は平凡で監禁事件も、高校での殺人も何も起きなかったif物語。
    ゆずゆずは好きだけども付き合ったらイライラしてしまうかもしれない。
    そして平凡すぎて物語としては退屈ですね。それが日常だけども。

  • 「春『うそが階段を上るとき』」
    気付いていたのに見過ごした者達。
    人として間違っている事かもしれないが、その人の苦痛を考えると難しい事だよな。
    常に屋上が解放状態にある方が、病院として問題視されるのでは。

    「夏『ともだち計画』」
    犯罪者の子供だから虐めても良し。
    一歩距離をとってしまうのは仕方の無いことかもしれないが、同じ道を進むと決めつけるのは間違いでは。
    在り来りな理由から始まったみたいだが、やり過ぎてしまったから収集がつかなくなったのだろうな。

    「秋『蟻と妹の自転車籠』」
    狩る者と狩られる者が逆転した時。
    過剰防衛ではという疑問は捨てきれないが、生き残る事を考えたら仕方のない事だったのかもな。
    所有している敷地内とはいえ、やっていい事と悪い事ぐらい簡単に分からないのだろうか。

    「冬『Happy Child』」
    狂った世界の中で生きている者は。
    現実を見たくないから自分に都合のいいようにしか理解しないのだろうが、いつかは見なければいけないんだよな。
    これだけ心にダメージを負っているにも関わらず、通院をしていないのは大丈夫なのだろうか。

    「とってももしもにもしかして『壊れてでも、ない正しさのある世界なら』」
    狂う事なく平凡な日々を送る二人。
    何も起きず普通に生きていたら、壊れて嘘だらけの日々を起こる事なく二人楽しくいれたのだろうか。
    あの出来事があるからこそ一緒に居るように感じるが、狂わなかったら互いに違う道を歩いていたかもな。

  • 短編を5編収録しています。

    第1話は、8年前の事件が解決した後、病院に入院することになった枝瀬あい少年と恋日先生、そして自殺志願者のヤマナという少女の物語です。

    第2話は、叔母の家に引き取られて学校に復帰した少年と、「トーエ」こと浜名遠江(はまな・とおえ)という少女との交流を描きます。

    第3話は、少年とにもうとの日常を描いた話。第4話は、少年が御園マユに「まーちゃん」と呼びかけてしまい、彼女の精神の異常を知ることになる話。

    第5話は、もしもみーくんが事件の起こらない町で暮らしていたら、という設定のエピソードです。まーちゃんと菅原道真は全校公認のバカップルで、枝瀬少年は伏見柚々や枇杷島八事たちといかにもラブコメな日常を送っています。

    第5話は、改めて本作の異質性を教えてくれるという意味で、おもしろく読みました。

  • 入間さんの心情表現はうまいなあという印象。ラストの章の洒落が効いていてたまらない。

  • 「みーくん」は最初から「みーくん」だから「みーくん」になれたんだ、と思った。

    このシリーズも作品数を重ねてきて、最初の頃の強い「毒」が抜けてきつつあったからこの「i」は読めて良かった。

    次の作品でどうなっていくのだろう。

  • 2016年八月4日.

  • 僕がまだぼくだった頃の話4編と、もしもの話。
    春:坂下先生
    夏:トーエ
    秋:にもうと
    冬:マユちゃん
    もしも:すべてが正常だったら
    トーエとはまた会うことがあるんだろうか。
    そしてもしもの話。やっぱり嘘だった。ですよねー

  • 冬の短編がなんとも切なくて、悲しかった。ここから、どんな葛藤を経て再びみーくんとなることを決意したのかとても気になる。

  • ※暴力と流血描写が少しあります。

    【印象】
    凄惨な事件から数ヵ月経った少年。
    春は精神病院と自殺、夏は復学後の摩擦。
    秋は山で血みどろ、冬は少女から監禁。そして、もしもの話。

    【類別】
    小説。
    短編集の色があります。

    【構成等】
    特筆すべき点はありません。

    【表現】
    一人称視点で地の文が語られます。
    虚偽を軽く多く織り交ぜつつ。

    【備考】
    同シリーズのファン向けの内容です。

  • 恋日先生が素敵。主人公の少年時代に優しさが滲んでる気がして少し切ない気分。まーちゃんに関わらないで先生といた方がよかったんじゃね?とよぎってしまった。

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著者プロフィール

電撃文庫『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『電波女と青春男』シリーズなどを執筆

「2023年 『安達としまむら(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

入間人間の作品

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