- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048682770
作品紹介・あらすじ
「君の奥底に眠る『願望』は、何だね?」小学校の校庭に立つ、大きな桜の木。この桜は子供を攫う。咲がまだ子供の頃、目の前で親友が桜の花びらに沈み、消えた。風が薙ぎ、桜色のさざなみが立つ時、咲は悪寒とともに明確な危険を感じる。-桜の花びらは危険だ。そして、親友のことを想い続け、魔女と出会った彼女は、密かに願う。これは、『Missing』シリーズの夜色の外套を身に纏った魔人・神野陰之と、魔女・十叶詠子が紡ぐ物語。そして二人の出会いとは-。甲田学人が放つ渾身の幻想奇譚短編連作集、メディアワークス文庫『‐怪‐』と連動し、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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ゾクゾクする話が続いて、最後はゾワゾワに変わった。蟲の話も、桜の話も、妙に質感が伝わってくる文章で気持ち悪かった。カラーページの絵がどうも本編とイメージ違いで、挿絵などない本で良かった。
で、黒マントの男は結局なんなの?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
甲田さん初読み。
『魂蟲奇譚』『桜下奇譚』『現魔女奇譚』が好きかな。 -
「missing」でお馴染みの魔女・十叶詠子と魔人・神野陰之が関わる短編集。
時間軸的には本編よりも前。魔女と魔人の出会いの物語もあり、この二人が好きな人は読むと良いです。 -
鏡の中に住む魚、薄くて実用的な文房具の光沢について、美しい蝶と茜色の蠅、そうして、桜の森の満開の下。夜色のマントを翻す怪人が放つ美しくて不思議な物語五つ――ただし並大抵の不思議ではなく、恐怖と生理的嫌悪に彩られた欲望が放つ不思議だ。
ライトノベル特有とされる文体の軽さにすっ飛ばして読んでしまっては少々勿体ない位である。正直真面目に辿ろうとすると「ぐわー」とか口から変な声が出るくらい痛い。余計な文章が無い分、回避しようがないのが恐ろしい所である。中二病の黒歴史を思い出してのたうち回るのとは別の方向で痛い。殺人鬼がひたひた迫ってくるような恐怖でもなく、幽霊が突如現れる恐怖でもなく、身体の奥からぐわぐわと溢れる得体の知れなさが持ち味か。
デビューのきっかけとなった「罪科釣人奇譚」を筆頭に、突き抜けてしまって爽快スプラッター(うそこけ)な「白刃奇譚」、ロマンチック色の強い「魂蟲奇譚」、書き下ろしの「桜下奇譚」は幻想と伝奇の比率が優。 -
幻想奇譚の短篇集。ボリューム的には中編集かな。
過去にハードカバーで出ていた作品に、書下ろしを加えて2分冊した片方ということになります。
なんで電撃とメディアワークスに分けたのかがよくわからないんですが(笑)。書店で買うときに困った人とかいるのでは。
作風は例によって怪奇モノテイストですが、生理的に嫌悪感を感じる描写がやっぱり上手いです。読んでてぞわぞわします。
蟲とかカッターとか、想像したくないのにしてしまって余計ぞわぞわする。 -
元は1冊の単行本だったのを文庫化にあたり二分冊した。片割れはメディア ワークスから出ている『夜魔-怪-』。
『Missing』の魔女と魔人が出てくる。
奇の方を先に読んだほうが良いでしょう。 -
同時発売のメディアワークス文庫の『怪』とセットで読むのがオススメ。こちらはやや幻想っぽい雰囲気。相変わらず甲田さんの作品は表現が生々しくて読んでいてリアルに痛くなりそう。でもそのリアルさが癖になります。
個人的には桜の話がよかったかな。痛いけど。