ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048691895

感想・レビュー・書評

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  • 「ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~」
    立て続けに読了。


    第5巻に続き、忘れないように纏め読みである。太宰治の「晩年」を奪うために栞子を襲った青年・田中が、五浦と栞子の前に再び現れる大事な巻であり、丸々一冊太宰治を題材にしてる点からも肝になる巻だ。アグレッシブな栞子の派手な事件の題材になった太宰治だからなのか、今回は、なんだろう事件の質がちょっとミステリーらしい。犯人の動機だったり、なんだろう、行為そのものに犯罪性がある。今までは、なんだかんだ言っても隠された想いがちょっと暖かかったりした。


    また、自作についてあまり語ることが無かった太宰治。今回栞子達が解き明かすことになった太宰絡みの事実以外にも、きっとたくさんの興味深い話があったに違いない。


    太宰治と同じくらい長く読み続けられ、且つ好き嫌いが分かれる作家は多くないに違いない。文中では、若い頃は弱さ丸出しの太宰治が好きであっても、大人になるとその弱さにどこか情けなさを感じ、公に好きと言い難くなっていく、といった会話が登場する。これはなんとなく分かる気がした。


    自殺未遂の事件を始め、太宰治には世捨て人じゃあないけど、常人には理解しがたい葛藤か苦悩故の行動がある。そんな葛藤や苦悩が小説に投影されていて、その姿に人間の本質的な弱さがあったりする。それを分かる分かる、と言えておしまいの頃から、分かるけどダメなもんはダメでしょ、になる。年を食っていく中で変わっていく。「人間失格」はそれで、若い頃と年取った後では響き方が違う。どちらにせよダメな部分はあるけど、ダメの味が違う気がするのだ。でも、太宰治は嫌いになれない(ちなみに好きなのは「グッドバイ」)。


    そんな稀有な太宰治シリーズなのだが、本を追う内に、まさかの五浦の祖母に纏わるエピソードが出てくる。第4巻までに、祖母のこの秘密でてきたっけ?なのだが、その秘密には更なる重大な秘密が隠されていたのだ。


    もう五浦と栞子は、イチャイチャが露骨になってきたので、もはや放置することにして、この秘密は本作でお役ご免になるのか、はたまたあの人がひっかき回すのか。五浦と栞子の身近なキャラには謎を齎らすのはいなくなった感があるので、そろそろあの人との完全決着(とは言え、仲良くなってる?)を残すのみに思える。前回からすると、どでかい試練やひっくり返しはなさそうに綺麗に終わりそうなんだけどな。

  • 栞子さんにとって因縁の古書、太宰治「晩年」の行方を追って過去と現在が激しく交錯するサスペンス&ミステリーの完成度が今迄で一番の出来と自信を持って断言できる最高傑作の6冊目です。本書を読んでいると「五浦と栞子さんが付き合っている」という情報を北鎌倉の住人の8割以上が共有しているんじゃないかとマジで確信しましたね。と言うのはまあオーバー過ぎる冗談ですが、でも実はこれは単なる笑い話でなく伏線の一部だと後で知って正直びっくり仰天しましたし、こんなに複雑な二転三転のどんでん返しの本格ミステリーが読めて幸せでしたね!

    あまりの偶然の一致に愕然とさせられた個人的な体験ですが、この本の2冊前に読んだ「出版禁止」に太宰治の心中未遂事件の事が書かれていまして、読書をしているとこういう事も普通に起きるんだなあと改めて感心しましたね。さて、本書の三上さんは真剣にミステリーの神様が乗り移った様な鬼気迫る鋭い筆致で、密室状況からの盗難・意外な犯人・オマケに五浦と栞子さんのラブラブなノロケ話までも利用して手掛かりにする巧妙さで本当に心から恐れ入りましたね。そしてエピローグでの篠川智恵子の疑惑の仮説が薄気味悪くて夏なのに一瞬震えましたね。

  • シリーズ6巻目読了

    太宰治の『晩年』に纏わる過去の田中は、なんと大輔の親戚という衝撃の過去も判明。栞子さんの明晰な謎解きは、いつもながらの感嘆にあたいする。
    物語としても楽しかったが、何よりも、途中途中に出てくる妹の文香の告げ口が愛らしくて微笑ましかった。

    気になったのは、あとがきに書いてあったこのシリーズも終わりが近いということ、楽しみであり少し寂しい。

  • 面白かった!色々なつながりが明確になってきた…!途中で誰が誰の娘で、、などの繋がりが分からなくなりかけましたが笑 中盤から一気に読み進められた!

  • 太宰については、内容に関する話ばかりで、技法について誰も指摘しなかったのは、残念だった。
    誰にも秘密があって、思うところがあって、でも言えなくて。待つ身がつらいか、待たせる身がつらいか。知らずにいることも、後で知ることも、つらい。でもやっぱり、知っていたいと思うのだ。真実を。

  • ★4.0
    1冊まるごと太宰治!前作の不穏な終わり方、いきなり入院している五浦さんに加え、シリーズ1作目の曰く付き作品「晩年」がメインで、否が応でも悲しい事件が起こりそうな予感がする。そして危惧した通り、過去の繋がりが良くも悪くも今に影響を及ぼす。ただ、太宰に関するあれこれ、絡まっていく人間関係も面白かったけれど、やっぱり栞子さんと五浦さんのラブラブっぷりが堪らない(笑)。それにしても、五浦家といい篠川家といい、出生のあれこれが何故こんなにも入り組んでいるのか。次の7作目でシリーズが終わってしまうのが残念。

  • 面白かった。私もじっくりと古書を読んでみたいと思った。

  • 太宰治の「晩年」を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年が、ビブリア古書堂の2人の前に依頼者として現れる。本を追ううち、2人は太宰の稀覯本を巡る盗難事件に辿り着く。それには2人の祖父母が関わっていた…。

    いろんな話が繋がってきたようで。
    さて,これからどうなる!?

  • 太宰治の作品が好きだったため、書評を見て興味が湧き、手にとった。
    読みやすく、楽しい作品だった。

  • "今回の古書は太宰治さんの「晩年」。おもしろかった。
    まだまだ続けてほしいシリーズですが、古書にまつわる話を作るには、相当の調査が必要なのだろう。"

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著者プロフィール

『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが累計700万部を超えるベストセラーとなる。同シリーズで、文庫作品初の『本屋大賞』候補、『本の雑誌』が選ぶ「この40年の書籍 第1位」に選ばれるなど、幅広い層からの支持を集める。

「2022年 『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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