シアター! 2 (メディアワークス文庫 あ 1-2)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 11256
感想 : 1110
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048702805

作品紹介・あらすじ

「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」-鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。そんな中、主宰・春川巧にも問題が…。どうなる『シアターフラッグ』!?書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • あまりにも大きくなり過ぎて
    あえて最近避けていた(笑)有川さんの魅力を、
    今一度読み解こうじゃないか月間の第二弾。


    前作がかなり好きだったので
    不安もあったけど、

    なんのなんの
    忘れかけていたキャラたちが鮮やかに蘇り
    面白過ぎて
    もう一気読みでした(笑)


    借金返済のため
    前へ前へと進んでいく
    シアターフラッグの劇団員たち。


    今回は一人一人の劇団員の心情と恋愛に
    スポットを当てたストーリーにより
    読ませる読ませる。


    シアターフラッグの看板女優、牧子に憧れ
    目標とする千歳と

    女優としての実力は認めつつも
    焦がれる巧が夢中になる千歳に
    女として複雑な感情を抱いてしまう牧子。

    この女優二人の
    斬るか斬られるかの緊張感あふれるやりとりは
    今作のキモであり
    読み応えアリ!
    (特に牧子の心情が切ないんよなぁ)


    そして関西弁のゆかりと
    二枚目担当小宮山の
    まさかのムフフな展開と
    二人の心情を吐露した
    嬉し恥ずかしい電話での会話には
    悶絶させられました(笑)
    (有川さんのキャラはすべて甘え上手。気の強い女の子やぶっきらぼうで媚びない男がたまに放つ優しい言葉や柄にもない気遣い、勇気を出した弱音や甘え方がとにかく上手い。ギャップ萌えの威力を誰よりも解ってる人なんだろうな笑)

    諦めさせるために
    全力のサポートをする司のスタンスがまた
    カッコ良すぎなのですよ…


    それにしても
    牧子といい、ゆかりといい、スズといい、
    これだけの劇団員を上手く書き分け
    血の通ったキャラを紙面狭しと駆けめぐらす
    有川浩恐るべし!


    実はファンシーグッズ好きなスズや
    料理上手なゆかり、
    意外にいい男な小宮山、
    いつの間にかテレビの再現ドラマに出てる秦泉寺(笑)、
    パジャマの裾はズボンにイン派で(笑)
    ホットケーキやアップルパイが好きだった司など

    前作より遥かに深く
    劇団員のパーソナルな部分が描かれ
    ファンにはたまらないだろうし、
    続編としては申し分ない出来なのではないでしょうか♪


    次がいよいよ最終巻ということで
    借金返済の結末は勿論だけど、
    個人的には
    司と千歳の淡い恋の行方や
    牧子の想いにようやく気付いた(笑)巧は
    どんな決断を下すのかが
    非常に気になるところです!

    • ゆりさん
      大好きな本です。
      劇団員ってほんとにこんな感じのやつらばっかだもんな~・・・。
      でも、このシアターフラッグの劇団員はみんな芝居に対して前向き...
      大好きな本です。
      劇団員ってほんとにこんな感じのやつらばっかだもんな~・・・。
      でも、このシアターフラッグの劇団員はみんな芝居に対して前向きでいいですね。
      そんなみんなが創る芝居はきっと面白いに違いない。

      タイトル忘れましたけど、作中の千歳と牧子の芝居のやりとりを凄く見てみたいと思いました。
      この実際にシアターフラッグのモデルになった劇団子さんの芝居も面白かったです♪
      2013/08/13
    • 円軌道の外さん

      ゆりさん、たくさんコメントありがとうございます!

      有川さんの小説って
      どの物語も
      登場人物たちが
      生き生きしてますよね(^...

      ゆりさん、たくさんコメントありがとうございます!

      有川さんの小説って
      どの物語も
      登場人物たちが
      生き生きしてますよね(^O^)

      キャラが生きてるっていうのかな。


      前作のシアター!で
      活躍の場がなかった
      キャラたちが
      今回はそれぞれ重要なエピソードが与えられていて
      ニヤニヤしながら
      読んでましたよ(笑)


      つか、劇団子の芝居観たなんて
      うらやまし過ぎます!(>_<)

      ゆりさんは芝居には
      詳しいのかな?


      自分は興味はあるけど、周りに詳しい人もいないので
      敷居が高くて(笑)
      なかなか観に行けずにいます(^_^;)

      また良ければ
      いろいろ教えてくださいね。

      2013/08/18
  • 劇団を主宰する巧くんと、彼の劇団がつくった借金を2年の期限付きで肩代わりした兄、司さん。

    前作よりも劇団のお金に対する感覚が現実的になってきて、無駄も減ってきた。お金だけでなく、巧が団員の出番に気を遣いながら書いていた脚本も無駄がそぎ落とされてますます面白くなってきた。
    このまま、とんとん拍子に完済の日を迎えられるのかと思っていると、次々に小さな事件が起こって・・・。
    どいつも、こいつもしょうがねーなーと思うようなことだけど、現実にはそういうことが小骨のように引っかかるものなのだよね。


    毎日は、まるで昨日と同じように続いていきながら、ほろ苦さや辛さを含むできごとがあって、ときおり訪れる甘酸っぱい気持ちや湧きあがるような喜びで彩られている。
    もちろん、それはたまになんだけど。だから、いいんだけどね。
    そういう彩りをより鮮やかに読ませてくれる読書の楽しみ。

    有川さんは、人の弱さや関係性からくる辛さはありつつも、いい人たちが集まるコミュニティーを描いてくれる。ひとりひとりが魅力を持ち、君とお近づきになりたい、お話ししたいという気持ちにさせてくれる。
    それは表面的な人物造形による長所ばかりが並んでいるのでは決してなくて、その人の持つ弱さや短所と思えるような側面さえもかわいらしさに見えてくる。
    結局有川さんの人に対する視点の温かさによるものなのかもしれない。
    ときおり有川さんや三浦しおんさんのお話に浸りたくなるのは、
    ちょっと人を責めたくなってしまう自分の弱さを受け止めて、
    どいつも、こいつも、いいやつだね~と、
    人を信じて、しゃんと生きていきたいという気持ちの表れなのかもしれない。

    • だいさん
      日常と非日常
      演劇=非日常
      読書≒非日常?

      こんな事を考えてしまいました。
      日常と非日常
      演劇=非日常
      読書≒非日常?

      こんな事を考えてしまいました。
      2013/08/22
    • nico314さん
      だい▽さん、こんにちは!

      なるほど!!

      読み始める前は、有川さんの語り口と状況設定の非日常性から、
      一瞬腰がひけることがあるの...
      だい▽さん、こんにちは!

      なるほど!!

      読み始める前は、有川さんの語り口と状況設定の非日常性から、
      一瞬腰がひけることがあるのに、読み始めると
      ごく普通に思えてくるから不思議だと感じていました。

      前提が日常的でありながら、「そりゃ、ないよね」と思わせたり、その逆も。

      読書≒日常とも考えられるなら、
      日常≒非日常となってしまうパラドックス。
      2013/08/22
  • 表紙と中にある11人のイラストがいいね。11人のキャラ作りがぱぱっとできる有川さんはさすがです。
    このほかに3人やな奴が出てくるけど深刻な展開にはならずホッとした。自分としては司と巧の母登場あたりが盛り上がったかな。あとがきに3を書く予定とのこと。待ってます。

  • 有川さんだ~!と思っていそいそ借りたら、2でした。でも2からでも全然問題なし。
    劇団員て身近にいないな~と思ったけど、そう言えば学生時代に演劇サークルみたいなのはあって。
    そこで監督をしているのが友達の彼氏だったので何度か見に行ってたんだった。

    いかにも国文学専攻の男子学生特有の太宰めいた暗い世界観に「あー、はいはい」みたいな気持ちでシレーッとさめた目で見ていた私と対照的に彼女はうっとりうるうる「こんな世界を作る○○さんて、、、ステキ!!」みたいに恍惚としていたわけです。

    ○○さんに感想を求められ「別役実とか、いしいしんじ、お好きでしょ?」と訊いたら「え、なんで分かるの?そもそも君みたいなキャピっとした子はそんな作家は知らないはずじゃ、、、」なんて失礼な反応をされ、だから見た目で判断する奴は好かん!と憤慨しきり、だったのです。

    巧の場合は泣き虫だめっ子でも、人の本質を見抜く目は確かなようですが、、、ほんに主催とか監督って人種はモテますのう。
    古田新太さんもモテモテですし。あそこまで有名な売れっ子劇団ならともかく、熱血宰相に泣きついて借りた300万円を2年で返せなければ潰れてしまう貧乏中堅劇団シアターフラッグ。

    なんだろーな、最近有川さんの心情描写、過剰に思えてしまう部分が。。
    このあたりがラノベっぽいって言われちゃう部分なんだろうなぁ、とようやく分かりました。

  • とても面白かった!登場人物に個性があって、特に司がビシッと締めるとこが好き。続編がないと知った時は残念に感じたが、自分の中で想像を膨らませたい。有川浩先生の他の作品をもっと読みたいと思った。

  • 鉄血宰相が堂上教官とかぶるのはわたしだけだろうか。
    そして鉄血宰相を「好きだなあ」と思ってしまったあたり
    わたしは堂上教官が好きなのだと再認識。
    でも堂上教官のほうがすこし大人ですこしわかりやすい、気がする。

    1を読んだときはものたりなさを感じていたから
    2はどうだろうと若干1のときよりも期待度が低くなっていたのかもしれない。
    2はよかった。1よりもページをめくりたくなる気持ちが加速させられた。
    登場人物が多いけれど、わかりやすい。
    (わたしは多いのは苦手です)

    1を読んだからこその2でのおもしろさだから
    2から読んでもそれなりにおもしろいだろうけれど
    やっぱり1から読むことをオススメ。
    3もいつかでるようで楽しみ。

  • 「行こう、遙かなるあの山へ」「海より来たる夢の通い路」「走れ!ボート部」の3本立て。と言っても、短編集ではありません。
    この3つの演目を順に上演するにあたっての劇団員のどたばたが描かれています。
    シアター3を書きたいようなことを有川さんは書いていますが、まだ出てないみたいですね。

  • この作品の続きが読めないことがとても悲しく、そのことを引き起こした読み手がいるということが酷く残念で仕方がない。
    作り手になれない私たちが楽しむことができるのは、作り手になることができる人たちに作ってもらえているからで、そのことに感謝こそすれど、邪魔をする権利など何一つない。
    例え金を払っていても、作り手となれず楽しさを享受するしかない側は、作品に抱く気持ちが良くも悪くもあったとして、それを作り手に発散させることはあってはならないと思う。
    願わくば、受け手の身勝手な行動で作品が未完成になるようなことがなくなりますように。

  • 表紙が司、巧、千歳の3人だった1作目は
    あくまでも3人を中心にストーリーが展開していたけれど、
    表紙に他の4人が登場したこの2作目は
    シアターフラッグのみんなが、それぞれの悩みやこだわりを抱えて
    より生き生きと動き出して、楽しい。

    取るものもとりあえず、神戸まで巧を迎えに行った牧子の
    「何で牧子が迎えに来たのって訊いて」 とか

    ふだん頼りない弟よりも、意外にファザコンの司の
    「すごいな、君は」 「声だけで俺を救っちゃうんだな」 とか

    転げまわっちゃうくらい胸がきゅんきゅんするセリフ満載です♪

    高飛車な支配人が君臨する大手劇場を蹴って
    特設会場を設営して挑む舞台が描かれるであろう第3巻、
    とてつもなく楽しみです!

    • まろんさん
      ううっ!好みを完全に見抜かれている。。。

      鉄血宰相の司さん、大好きです♪
      自分で思ってるほどクールじゃなくて、
      仏頂面しながらも巧や千歳に...
      ううっ!好みを完全に見抜かれている。。。

      鉄血宰相の司さん、大好きです♪
      自分で思ってるほどクールじゃなくて、
      仏頂面しながらも巧や千歳に救いの手を差し伸べちゃうところとか♪

      あと、1巻目では、シアターフラッグの中では一番、
      そつがなくて世慣れたイメージだった茅原が
      2巻目では意外な趣味趣向の持ち主であることを表明してて
      1巻目の5割増しで好きになりました(笑)

      でもやっぱり、一番は司だけど♪

      2012/05/23
    • 永遠ニ馨ルさん
      こちらでは、はじめまして♪
      1作目に輪をかけて盛り上がってまいりましたね、2作目!
      周囲の人間模様にもスポットを当て、それぞれが大なり小なり...
      こちらでは、はじめまして♪
      1作目に輪をかけて盛り上がってまいりましたね、2作目!
      周囲の人間模様にもスポットを当て、それぞれが大なり小なりのそれぞれの悩みを抱えているさまを浮かび上がらせて、物語に深みが増した気がします。
      私は、牧子の、オトコマエなのに健気なところが大好きで憧れます。あんな女性になりたいな、って。
      小宮山の、2枚目な見た目のクセして想いを寄せる相手のために全力で支えたい、という縁の下の力持ち的な部分に打ち抜かれちゃいましたよ(笑)

      いよいよ返却期限の迫る第3巻が、本当に楽しみですね!
      2012/05/28
    • まろんさん
      永久に馨ルさん、いらっしゃいませ~♪

      そうそう、牧子、凛としててカッコイイんだけど、
      時々こっちが照れちゃうくらい、かわいいですよね。
      牧...
      永久に馨ルさん、いらっしゃいませ~♪

      そうそう、牧子、凛としててカッコイイんだけど、
      時々こっちが照れちゃうくらい、かわいいですよね。
      牧子が、千歳の力量を認めた上で、
      それならずっと自分は彼女の先を走って追いかけさせてやる!
      と決意するところは、心を鷲づかみされました。

      いちばんモテそうな小宮山が、ぜんぜんチャラチャラしてなくて
      あんなに地道かつ気長にチャンスを待っていたとは、
      またもや有川さんにヤラレター!という感じです(笑)

      早く第3巻が読めるよう、有川さん宅に向かって
      一緒に呪文を唱えましょう!(*^_^*)

      2012/05/29
  • 前作で個人的に抱いた「もうちょっと登場人物のことが知りたかった」という願いが叶えられた『シアター2』だった。
    騒動を乗り越えた劇団員同士の絆が見えて良かった。ゆかりはカッコイイし、牧子の弱い部分も見れた。スズはビジュアルからおっとり系お転婆娘かと思っていたが意外と感情の起伏が激しいし、茅原のユーモアある部分もよく書かれていた。そして小宮山は本当にいいやつだと思う。

    恋愛も仕事(演劇)もちょうどいい割合で書かれていて、飽きずに最後まで読める。嫌なキャラも出てきたけど、1人目は勧善懲悪で小気味良かった。2人目は痛い目見ろと思うが、あちらからすると十分屈辱的であるためギリ許せる。

    私はこの本をかなり昔に読んでいて細かいところまで覚えていなかったので、「シアターは3巻で完結」というあとがきを読み、自分が知らないだけで3巻出ているのかと調べたら…色々あったんですね。すごく残念ですが、いつか有川先生がシアターを書いてもいいなと思える日が来ることを願っています。本当に面白かったです!

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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