小説家の作り方 (メディアワークス文庫 の 1-4)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.62
  • (50)
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  • (125)
  • (23)
  • (3)
本棚登録 : 928
感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048704731

作品紹介・あらすじ

「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです-」。駆け出しの作家・物実のもとに初めて来たファンレター。それは小説執筆指南の依頼だった。出向いた喫茶店にいたのは、世間知らずでどこかズレている女性・紫。先のファンレター以外全く文章を書いたことがないという紫に、物実は「小説の書き方」を指導していくが-。野崎まどが放つ渾身のミステリー・ノベル改め「ノベル・ミステリー」登場。

感想・レビュー・書評

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  • レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    大学を卒業して、アルバイトをしながら小説を書いている、小説家の物見のところに紫依代という女性から、ファンレターが届きます。
    初めてのファンレターに物見がメールを返信すると、「小説の書き方を教えていただけないでしょうか」とメールの返信がきます。

    会ってみると、紫依代は明裏大学文学部の2年生でたいそう可愛い女性でした。
    紫依代は「物見の小説はキャラクターがよい」といい、物見から「小説を学びたい」と言います。
    そして「この世で一番面白い小説のアイデアがある」と言い放ちます。

    物見は、小説の個別指導という聞くからに詐欺っぽいアルバイトを始めます。週に1度下北沢の喫茶店で、小説を教え始める物見ですが。紫さんは今までに五万冊の本を読んでいるというのに驚きます。
    週に1度、2カ月の講義を続けていくうちに物見は可愛い紫さんにちょっとした下心も持ちますが。
    紫さんは物見の誘いには一度ものらず、すぐに帰ってしまいます。

    何度も出てくるフレーズの”この世で一番面白い小説”とは一体何なのか興味津々で読みました。
    ストーリーの展開はこの作品がSFであるらしいことを視野に入れて読めば最初からヒントはたくさん隠されていたと気づいたと思います。

    ”この世で一番面白い小説”を生むために必要なもの。
    ”小説を読むこと”と”小説を書くこと”
    きっと世界を変えてしまうポイント。
    ターニングポイント。
    この世界とその小説の前と後の二つに分けてしまうような、読んだらもう二度と前の世界に戻れなくなる。

  • 個人的には面白かったです。
    小説の書き方を教えてほしいと言ってきた紫さんが、実はAIでしかも見た目全く気付かないロボットで。
    全てを掌握できそうな能力を有しているのに全て小説を書くという事だけに費やす人工知能。しかも十分自我あるようにしか見えず。
    お母さんの手を離れて突き進む様は思春期という言葉では言い表せない。
    一番面白い小説を書き上げたとき彼女はどうするのだろう。さらに面白い小説を目指すのか満足して自ら消えるのか想像が膨らみます。

  • とにかく登場人物のキャラクター設定がぶっ飛んでいて、それだけで面白い!
    特に紫さんの微妙なズレが面白い。
    例えば小説を書くにあたり、キャラが普段と違う一面を見せることが、演出の一つだということを教える場面。

    「例えば、学校では怖くて誰も近寄らないような不良生徒。でも実は…?」
    試しに紫さんに振ってみる。
    彼女は少し考えてから答えた。
    「下半身が馬」

    もう、破壊力最強。ツボりました。これは電車で読んではいけないやつ!!
    真面目な感じの表紙に騙された!これも一つの演出なのか?!
    そして予想もしない展開へ。
    とにかく面白くて一気読み。エンタメを思う存分楽しみたい人にオススメです!

  • なにげにさらっとメディアワークス文庫にはそぐわない(失礼)ようなSF要素をどんとつっこんできたな。さすがは野崎まどというところ。SFだって言っちゃったらネタバレしたようなもんだけど、野崎まどなんだからそのくらいでおもしろさが減じられることはない(というより、むしろ身構えないで読むだけ楽かもというレベル)でしょう。
    思えば、こういうネタを繰り出すための思考をやってるとknowとか書いちゃうようになるんだろうなとか。
    えー?SF?という人たちも居るだろうけれど、とはいえ、手がかり、仄めかしはいくらでも散らばってるので、そういう謎解きだと思って読んでいればミステリにならないでもないし、基本的にはラブコメ未満的な、ラノベに良くある場面展開。にやにや笑ってればいいのです。ラスト付近、よく考えるとちょっと怖い気もするけれど、きっと大丈夫ですよ。野崎まどだし(ちっとも大丈夫じゃないな)。

  • 星3.5くらい。

    西尾維新っぽい感じの天才ばかり出てくる
    キャラクター小説に淫した感じがあって
    それなりの面白さはあったけど、
    個人的には評価は低め。

  • 野崎まど時系列リーディング中。「[映] アムリタ 」の次に面白い。この本のテーマである”世界で一番面白い小説”があったとしても、それは誰にも語れないのと同様に、この本の面白さをネタバレなしに伝えることは私の技量では不可能だ(笑) 実は、作者と同じようなことを発想したことがある、というか同じテーマの作品を昔読んだような気がするが思い出せない。批評家的なコメントをすると、他の方が指摘するように、前半にもう少し伏線がほしいところか。Ruby 愛好家としては、メタ○○○○な話は大好物。

  • 大学卒業後にファンタジー小説でデビューした物実は、4作品の小説を
    出版したまだまだ駆け出しの小説家である。
    ある日、一通のメールが届き、女性ファンからのメールだった。
    返信をしたことで、後日会うことになる。
    そこで、小説の書き方を教えてほしいと言われ、私は"世界で一番面白い小説"
    のアイデアを思い付いたとのこと。お金を支払うからどうしても教えてほしい
    ということで、引き受けるも・・・。

    今作は、積読して読んでいませんが同著者の作品で、TAITANという
    作品にも通ずるものがあると思ってます。
    タイトルや表紙からは、全くと言っていいほど、自分も読むまではSF感は
    1ミリも感じさせまんし、読んでいっても3分の2くらいまでは、
    本当にタイトル通りな内容が展開されていきます。
    これが良い展開だったのかは読み手によって変わると思いますが、
    残り3分の1ほどでしょうか、色がガラッととまでは言いませんが、
    ジャンルが変わってしまう形になります。
    あくまで複線的なところはそれまでもあるのですが、
    これをスルーしてしまうと、本当に変わってしまってそこに対して、
    賛否が分かれると思います。
    自分としては2023年に読んでることもあるし、過去にもA.I.って映画も
    あったし、アイ・ロボットなんて映画もあって、おっとこれ以上は
    読んでみてください。自分的には楽しめました。

  • いつもの野崎まどシリーズです。

  • 作中で「読者の予想を外すことで~」とあり、自己言及的な指摘かと思いつつ読んだ。結果、今作は確かに「人格上書き」要素がなく今までの”お約束”を外れてはいるし、なんだったら準恋愛的関係も維持されたまま終わるが、しかしそれを逆手に取った展開もなく、そもそも主人公による恋愛関係に対する願望の言及もあまりないので、結局自己言及的だったのかはよくわからないまま終わった。「この世で一番面白い小説」についても『〔映〕アムリタ』以上の掘り下げがなく、読んでいて退屈ではないけど、面白いかといわれるとよくわからない話だった。

  • 2011年刊行。前3作と比べると、どんどん読みやすくなっている。それとも僕自身が慣れただけか。著者自身の職業を扱っているので、語られる一つ一つに力がこもっているように感じる。

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著者プロフィール

【野崎まど(のざき・まど)】
2009年『[映] アムリタ』で、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりデビュー。 2013年に刊行された『know』(早川書房)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた。2017年テレビアニメーション『正解するカド』でシリーズ構成と脚本を、また2019年公開の劇場アニメーション『HELLO WORLD』でも脚本を務める。講談社タイガより刊行されている「バビロン」シリーズ(2020年現在、シリーズ3巻まで刊行中)は、2019年よりアニメが放送された。文芸界要注目の作家。

「2023年 『タイタン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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