大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ (アスキー新書)

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著者 : 石井彰
  • アスキー・メディアワークス (2011年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048706971

大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ (アスキー新書)の感想・レビュー・書評

  • 大枠として、これからの日本のエネルギー政策は、原子力から天然ガスへシフトしていくべきという論はうなずける。

    しかし、少々、天然ガスに傾倒しすぎている点が気にかかった。

    原発や他のエネルギーにおいてもだが、エネルギー政策を考える際には、日本の特異な事情を勘案する必要がある。

    パイプラインについては、島国日本において実現するには多大なコストがかかるし、ロシアとの関係が重要になる。

    バーゲニングパワーを獲得すべきと言いつつ、再生可能エネルギーへの投資に対して消極的な姿勢なのもよく分からない。

    天然ガスは今後、世界中で400年程度は使い続けることができるということだが、「400年」という期間を「無尽蔵に近い数字」と言ってしまうのはいかがなものだろうか。

    極端なことを言えば、そのツケを後にまわす姿勢が、再生可能エネルギーなど長期的に必要な技術への投資を後ろ倒しにし、短期的に利益を得られる原子力を推進し、原子力ムラなどの利権構造を作ってきたと言えるのではないだろうか。

    また、シェールガスの開発については、地形変化や水質汚染、地震誘発などの課題が指摘されているが、本書においてそれらの問題に対してほとんど触れられていない点が気にかかった。

    本書の最終章における「供給サイドの省エネ」やスマートコミュニティなど、これから必要となる技術や考え方についての示唆が多いことはよかった。

    ただし、本書の発売から2年が経ち、大枠として変化はないと思うが、その間に原子力や再生可能エネルギーに関しては環境が大きく変わってきている部分があるため注意が必要かもしれない。

    全体的に、天然ガスを持ち上げすぎている感はあるものの、天然ガスを知り、脱原発に向けた新しいエネルギーを考えるために読んでおいて損はない一冊。

  • 脱原発の切り札になるのは、再生可能エネルギーでは無く、実は天然ガスを使用した新時代の火力発電が一番現実的であると述べた本です。

    ガス発電のメリットをざっくりあげると

    ・シェールガス革命により、燃料となる天然ガスはほぼ無尽蔵に供給できる。
    ・石炭、石油と比較して環境負荷が小さい。
    ・安定的に電力の供給が可能。
    ・日本企業の高い技術力が発揮できる分野である。

    エネルギー問題イコール原発反対か否か、という短絡的な議論を卒業して、日本のエネルギー戦略を建設的に考えるために多くの人に読まれるといいと思います。

  • 天然ガスが期待できるのは分かった。けど、その前に電力改革が必要なんだろうなぁ。あと、CGSを使いこなせるのは、熱需要が集中する都会だけな気がする。

  •  福島原発の事故以来、反原発の本が多く出版されている一方で、経済界は原発なしでは日本経済は成り立たないとばかりの発言を繰り返している。その中で、本書は比較的実現性のある「脱原発」の具体性のある提案として「天然ガス発電」を取り上げている。これが実現すれば、素晴らしいと思えた。
     しかし、問題は現実性である。本書の著者は、エネルギーアナリストという専門家であり、アメリカにおける「シェールガス革命」なども報道等である程度は知られてきてはいるが、本書で主張しているほど、脱原発を担保できるほどの規模のものなのだろうか。技術的にも政治的にも、多くの課題はあるのではないかと思えた。
     また、専門家は、いわゆる「再生可能エネルギー」では脱原発は無理との主張をすることも多いが、その詳細な内容もあまり聞いたことはないし、まだまだエネルギー問題は多くの議論が必要と思えた。
     本書は、「脱原発」が夢物語や遠い未来のものではなく、「天然ガス」資源という手の届くところに解決策があるかもしれないと思わせる希望の書であると思えた。ただ、この問題は、もっと検証の必要があると思う。

  • エネルギー問題は脱原発というだけでは解決出来ない。短期・長期の視点から天然ガスを論じた書。

  • 著者さんは、エネルギーアナリストの石井彰さん。

    石油公団、米ハーバード大学国際問題研究所客員研究員などの経験を活かし、1992年から石油・天然ガスを中心としたエネルギーの国際動向分析を行っているんだって。

    これからは、天然ガスだと。

    アメリカでは「シェールガスと呼ばれる新世代の天然ガスの生産量が急増しているらしい。
    とにかく安くなり始めているらしい。

    なのに、世界のLNG市場の急変に取り残されるような形で、日本は、世界一高い天然ガスを輸入し続けているんだって。
    これって、やばいよね。

    おすすめ度は、5点中3点。文字のタイミングと図表のタイミングがずれています。読みにくかった。

  • 電気を利用する人たちの近くに設置する小型発電機として、もっとも有望なのが燃料電池。
    燃料電池とは電池と名前はついているが、水素と酸素による発電装置。乾電池は使えばなくなるが、燃料電池は水素と酸素が供給される限り、電気を出し続ける。

  • 著者がJOGMECの人ということもあり、天然ガス偏重で、我田引水な印象を受けるが、様々なデータを用いて解説していて勉強になる。

    本書の主張は、今後原発の新増設が難しくなるので、その穴埋めとして天然ガスを使ったコンバインドサイクル発電および分散型のガス発電の導入が良い、というもの。


    以下メモ


    火力発電の種類は「汽力発電」「内燃発電」「ガスタービン発電」「コンバインドサイクル発電」の四つに大きく分けられる。

    「汽力発電」は、蒸気の力でタービンを回転させる最もポピュラーな発電方式。LNGや重油、石炭などを燃焼させた熱を利用して発電する。
    「内燃発電」はディーゼルエンジンなどの内燃機関で発電し、小規模発電として使われている。
    「ガスタービン発電」は、軽油や灯油、LNGを燃料にして、燃焼ガスでタービンを回す。高出力のため、電力の需要ピーク時に活用されているほか、小型で起動時間も数十秒を早いため、災害時の非常用電源として活躍している。
    「コンバインドサイクル発電」は、ガスタービン発電と蒸気タービンによる発電を組み合わせたシステムで、発電した後に排気されたガスの排熱を使って、もう一度蒸気タービンを回す非常に効率の良い発電方式。


    ここ数年で世界のエネルギー地図は大きく変わり、天然ガスの利用機運が日増しに高まっている。その背景には、採掘技術の革新に基づく「シェールガス革命」がある。硬い岩盤層内に存在し、これまで商業生産は不可能だとされていた天然ガス(シェールガス)が、米国で開発されたハイテク採掘技術により、低コストでの採掘が可能となった。このシェールガスは世界中至る所に大量に埋蔵されていることが確認されている。また石炭層に含まれるメタンガスであるコールベッドメタン(CBM)などの新型ガスも含めると、採掘可能な天然ガスは膨大な量に上ることが判明している。


    天然ガスは環境性で見ても埋資源量からみても、将来のエネルギー源の切り札となる可能性は高い。

    一方、天然ガスのCO2排出量は実質的に石炭と同じ、というメタンリーク(漏洩)説も存在する。天然ガスは燃焼時のCO2排出量は石炭の約半分であるが、パイプラインから輸送される際にメタンが2~3%漏れるため、これを含めると天然ガスは石炭と同じ温暖化効果があるというもの。他にも、天然ガスには他のエネルギー源に比べて貯蔵性、輸送性が悪いという欠点がある。

    天然ガスの一般的な輸送手段はパイプラインによるもので、数百kmごとにコンプレッサーで高圧をかけて輸送する。この方式がコスト的にもエネルギー効率的にも有利であることから、世界の天然ガスの9割以上はパイプラインを使って輸送されている。もっとも、パイプラインにも採算分岐点は存在し、陸上であれば4000km、海底で1000kmを超える長距離輸送の場合はLNGによる輸送に比べてコスト高になる。

    LNGは天然ガスをマイナス162度まで冷却して液化し、600分の1の体積にまで圧縮したもの。近隣に大ガス田のなかった日本では、天然ガスは100%LNGの形で、専用の保冷タンカーによって輸送されている。

  • サハリンからの天然ガスパイプライン計画を再開すべしというアイディアに賛成。本文中に引用されているチャーチルの言葉どおり、資源調達の基本戦略は「多様性、多様性、多様性」。東京都の天然ガス火力発電所計画もあり、こな話題はますます面白くなる。

  • 電気料金を値上げする前に、電力会社はもっと企業努力により改善すべき点があるのではないかということを考えるための参考図書です。

  • "双方が自分に都合のいい材料ばかりを考えるために、経済合理的な側面が置き去りにされ、バランスのとれた考え方もできなくなる"「認知的不協和によるバイアス」。『脱原発』→「再生可能エネルギー』というイエスとノーという単純な思考では、いずれ現実的に原子力に戻るだろうと筆者は警告を放つ。生産の面からは天然ガスというエネルギーに着目し、消費の面からはスマートコミュニティーへの社会改革へという提案は広く知られていくべきではないか。

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