深い深い水たまり

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048730761

作品紹介・あらすじ

かわいくて恐い目を持つ子どもたち。今では世界中で愛好される奈良作品であるが、本書が史上初の画集である。作家自ら厳選して丁寧につくり込んだ記念碑的作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 1997年発表。


    大きなつり目の女の子をモチーフにした、
    かわいくてこわい独特の画風で
    アジア・アメリカ・ヨーロッパなど、
    世界の美術愛好家を魅了した
    奈良美智、初の画集です。


    よしもとばななさんの小説の
    表紙や挿し絵でもお馴染みですね(^_^)


    奈良さんの作品は
    その時代時代によって雰囲気が違うんやけど、

    悩める子供や
    犬などの動物をモチーフにした、
    ポップでピュアで
    パンクスピリッツあふれる
    胸がきゅい〜んとなる初期の作品が
    一番好きです(^O^)




    包帯を巻いた少女。

    口から血を流す子供。

    水の中沈んでいこうとする子供。

    ギターを持って歌う少女。

    ウサギの着ぐるみ姿の子供。

    悪意に満ちた笑顔を浮かべ、
    攻撃的な武器を手にした少女。



    奈良さんが描く
    鋭い目をした子供たちは、
    イライラして
    恨めし気で
    陰険で
    イタズラっ子で
    破壊者で
    センシティブで
    焦燥感を抱えていて
    空を飛ぶ夢を持っていて
    誰もがみな残酷で
    孤独の中にいる。


    また絵に添えられた
    想像力を刺激する
    奈良さんのメッセージが
    いいんですよ♪



    誰もが
    彼が描く幼い子供たちに
    過去の自分の姿を重ねずにはいられないだろうし、

    今も自分の中にいる
    痛みを抱え血を流す子供たちに気付かされ、
    自己と対話する機会を与えられる。


    アーモンド型の目をした憂鬱な少女たちは、
    今の自分たち自身を映す
    鏡のようなものなのかな。
    (だからこそ、何度となく眺めて見たくなるのです)



    物分かりがよく
    無味無臭な
    クリーンな大人になるくらいなら、

    傷だらけで
    ワガママで
    夢見がちな子供の方がいい。


    もっと想像の世界を飛び回ろう。

    不可能は
    自分が作った錯覚に過ぎないし、
    想像こそが
    現実を作るんやから。


    誰もがみんな
    子供だったと思い知らされますよ♪

  • ずっと気になっていたけれど、作品を実際に観たことがないのでちょっと図書館で借りてみた。
    一方的にワザに圧倒される・・というのとは違って、こちらの心に親密に近づいてくる感じ。しかし、毅然とした作品。
    さすが国際的なアーチスト。うまい。

  • ココロの中をカタチにしながら葛藤したり、泣いたり、悩んだり
    笑ったり、希望を見出したり、未来を思ったり。

    当たり前だけど、奈良さんの日常の中で生まれてくる
    絵たちをすごく実感できます。あまりに赤裸々で
    少し照れてしまったりもするけど、そんなむき出しのカタチが
    いいなぁと、何度も読み返してしまう本です。

  • 奈良さん38歳の時の「初めての作品集」とのことで購入。

  • 現代絵画でおなじみ奈良美智さんの画集。
    1989年〜1995年の作品が収録され
    奈良さんの日記から引用する文がちらほら書かれています。

    奈良さんの独特な世界に触れる本でした。

  • その目には何がうつるんだろう。

    何を思うのだろう。
    何をのみこむのだろう。

    深い深い水たまり、に寄せられた文章がいい。

  • 何度も見て噛み締めたい。

  • 何だか救われたい時に眺める一冊。

    評論家のレビューは不要。

    奈良さんの顔写真も。。。できれば不要。

  • 中学のときはじめてよんで
    また時間がたってよんでみたら全然違う感じがした

  • 初めて、異質なものと同化するということを知った。

    もっと簡単に言うと。
    「この人は、ワタシじゃないか?」
    という感覚に落ち入ること。

    アートのいろはも分からぬうちに、彼に洗礼を受けてよかった。とても癒された。


    志す道は定められたが。
    その後、続く茨道は長く険しい。知らなかった・・・

    そんな中、ひょうひょうと世界をわたりあるく奈良サンは、やっぱりすごいんだと思います。うん、すげーよ!

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著者プロフィール

1959年青森県生まれ。1987年愛知県立芸術大学修士課程修了。1988年渡独、国立デュッセルドルフ芸術アカデミー在籍・修了。ケルン在住を経て2000年に帰国。1990年代半ば以降、ヨーロッパ、アメリカ、日本、そしてアジアの各地で規模に関わらず様々な場所で展示発表を続ける。見つめ返すような印象的な絵画、日々自由に描き続けるドローイング作品のほか、木、FRP、陶、ブロンズ、そしてインスタレーションなど多様な素材や空間に生命を吹き込む様な彫刻作品を制作。また、制作の日々や旅先での出会いを収めた写真作品も発表している。
作品はニューヨーク近代美術館、ロサンゼルスカウンティー美術館、ボストン美術館、ナショナルギャラリー(ワシントンD.C.)、大英博物館(ロンドン)など世界中の美術館に所蔵されている。
2023年には青森県立美術館で個展を予定している。

「2023年 『Slash with a Knife 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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